第120話 アーティファクトを求めて


ハヤト達は古代人が作った『アーティファクト』の武器が2年後に復活する魔王や異界の魔物に対抗できる武器が有るかもしれないと古代人遺跡がらみの所をブルネリア王国内で3箇所を踏破して、次にアルトリア王国の中に有るのか『賢者の本』に書き込んで調べて見た。


アルトリア王国にダンジョンが1箇所と遺跡が1箇所存在する事がわかった!キース獣人国に近い海沿いの街モーリシヤという街にダンジョンが有り、矢張り海辺沿いの街ギロスに古代人の遺跡がある事がわかった!


ハヤト達は『万能乗用車』に乗り込み全員で王都ジュネべをたってアリトリアとの国境近くのハーゼルに昼前に降り立ち、地上を走り、無事出入国手続きを終えてアストリア王国に入った。ブリンデンの街で昼食を食べ再びギロスの街に向かって空を飛び、ギロスの街の入口手前で街道を走って、街に入った。


ハヤトは【サーチ】を掛けてギロスの古代人の遺跡を検索すると、街に入った門と反対側の門を出て3キロ程北東に行った所の海岸線の草むらに埋もれているのがわかった!


ハヤトは車ごとその場所に【転移】して再び【サーチ】を掛けると遺跡は全て地下に埋もれているようだ。


入口を【サーチ】で直ぐに見つけ、ドリスが重たい扉を開けた。

カビ臭い湿った空気が皆の顔を抜けていく。


ラッティーが【ライティング】で足元を照らしながら皆が入って行った。


ハヤトは『アーティファクト』が有ればと【サーチ】を欠かさず掛けながら進む。


通路の両側に何かを研究していたのか、或いは古代人の学校だったのか教室のような同じ作りの部屋が10部屋、全部で20部屋もある。


中には机と椅子が並んでいて、まるで中学校の教室だ。


机と椅子以外は全く何も無い、もちろん隠し扉や棚も存在してなかった。


廊下は左に折れて、実験室のような部屋が一つある。


容器が棚に入っているが、特に『アーティファクト』的なものは見当たらない。


その先に行くとなんとなく職員室のような感じで、何枚かのノートと書類が有るので回収した。


このギロスの古代人遺跡は此処までしかなく結局ほんのわずかな資料を回収しただけで終わった。


入口に戻り外に出て、再び隠蔽を掛けて、分からないようにしてこの場を離れた。


『空飛ぶ乗用車』で古代ジョンのダンジョンのあるモーリシヤに向かった。


高速で飛んだので数分でモーリシヤの門近くに降り立った。


冒険者カードを見せて街に入り冒険者ギルドにとりあえず行ってみる。


「すみません、このモーリシヤの冒険者ギルドで管理しているダンジョンはどちらにありますか?」


「東門を出て海岸沿いに2キロほど行ったところに”古代都市ダンジョン”が有ります。未だ誰も踏破出来ずに残っております」


ハヤトは皆のカードを出して「私たち”熱き絆”が潜ります」と言ってダンジョンに向かった。


【身体強化】を掛けてあっという間にダンジョン入口について、衛兵にカードを見せて中に入った。


中は魔石によって照らされていてとても明るい。


1階層目は人工物のゴブリン5匹が出て来た。


「ラッティー、君の剣でこのゴブリンの金属を切れるか?」


「一応魔法を纏わせて切ってみます」


ラッティーが剣を一閃すると、ゴブリンの首が落ちて動かなくなった。

本来ゴブリンは耳が討伐部位だが、人工のゴブリンは全て魔石を内臓しているので全て回収する。


2階層は今度はオークの人工の魔物が5体とオークキングが1体出て来た。


オークはラッティーとクリエラで対処したが、オークキングはドリスがオークの首と魔石の部分を破壊して回収した。


3階層にはドラゴントカゲの人工物が3体いる。

再生能力があり、魔石を破壊しないと直ぐに再生してしまう。


「ドリス、アレン、ガードマン、魔石の位置は頭の部分で目と目の間に埋め込まれているぞ!先に魔石を破壊すれば動きが止まるから、魔石を狙え!」とハヤトが指示を飛ばす。


3人は瞬時にドラゴントカゲの眉間の部分を剣で突き破り、魔石を破壊して動きを停止したドラゴントカゲをストレージに回収した。


4階層はファングボアが3匹突進してくる。

セリーヌがファングボアの顳顬に『連射の弓』で3発を射った。


顳顬に有った魔石が破壊されてその動きを止めた。


5階層にはトロールの人工物2体がいる。

大剣を持っていて動きも早い。


ハヤトは『魔拳銃』でバレット弾で体内で爆発して魔石も破壊する弾丸を発射した。


トロールに当たった弾丸は回転して、金属をえぐり体内の中で爆発した。

体を構成している金属が粉々になり、魔石も破壊されて2体とも大きな空洞を晒して横たわっていた。


宝箱には罠もなく開けると『魔法無効化装置(マジック・ポイズン)』が入っていた。


これこそハヤトが欲していた物でなんとか魔王の魔法や異界の龍の黒いシールドを無効化できる自信がついた。


6階層はオーガが1体いたがドリスか簡単に魔石を破壊し回収した。


7、8、9階層と全て人工の魔物たちだったが、逆に剣が通らなくても、魔石さえ奪えば活動を停止するのでなんとか9階層まで踏破した。


10階層はラスボスの部屋だった。

人工物体のヒュドラで9本の首から炎、毒ガス、魔眼持ち、とそれぞれ特徴を持つ9本の首がそれぞれ再生能力もあり、9個の魔石を破壊しないといけない。


ドリスが首を切り落とし、アレンが魔石を破壊する担当でひとつずつ切っては、魔石を破壊しと繰り返して、約30分以上かかったが全てを切り魔石を破壊して回収できた。

巨大なダンジョンコアも手に入れて、宝箱を開けてみる。


『魔拳銃専用の弾丸(魔界龍のシールドを貫いて致命傷を与える)50発』とある。


このダンジョンはおそらく、魔王や異世界の魔物対応のためのダンジョンだったのかもしれない。古代人に感謝しつつハヤトたちは1階層に戻ってきた。

モーリシヤのギルドの素材置き場に全てを納品して食堂で待って納品書とダンジョンコアに地図、それとカードを提出した。


「ハヤト様、清算金が白金55枚、金貨95枚、銀貨85枚、銅貨95枚となりました。カードに入金しましたのでご確認ください」


「ありがとう」と言ってハヤトは『空飛ぶ乗用車』に全員で乗り込んでブルネリアの王都の家に戻って来た。


今回の最大の目的である『アーティファクト』を手に入れてあとは2年後か3年後の対決を待つばかりだとハヤトは思った。



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