第117話 オルバル帝国皇帝に謁見

全国冒険者ギルド統括大会を無事に終えて、全員が魔王復活と異界龍の再現に対して統一した危機管理意識を持つことが出来た。


また、定期的に持ち回りでギルド統括の代表大会を開きその移動のために各国へハヤトが『空飛ぶ船』を2隻づつ作ることをケントから依頼され了承した。


ハヤトは王都にも家が有ったほうが何かと便利だと、冒険者ギルド近くの広い土地を購入してケープと同じ程度の家を建てた。


ケントからオルバル帝国向けにデクスターから連絡があり、すぐにでも『空飛ぶ船』を購入したいと連絡を貰ったので、2隻は早急に作ってくれと『遠距離通話機』での連絡を受けた。


「ケントさん、未だ今は王都にいらっしゃるのですか?」


「ああ、王都の自宅にいるぞ」


「私も王都の冒険者ギルドの近くに土地を購入して家を建てましたよ。今王都なんですよ」と返答した。


「明日、船を2隻オルバル帝国に持っていけますがケントさんもご一緒に行って、デクスターさんに引き渡して貰えれば嬉しいですが」


「おう、それじゃ、明日午後一番でギルドに来てくれ」


「わかりました。1隻は【次元収納ボックス】に入れて1隻で飛んでいきましょう」


そう言うと、ハヤトは早速外に出て、庭で『アイテムボックス創造ボール』のボタンをおして『空飛ぶ船』を2隻作り出して、1隻を【次元収納ボックス】に入れて、もう1隻に魔石を設置して問題なく浮いて、走るのか実験をしてみる。


問題もなく走行確認を終えた。


翌日の午後ギルドの前に巨大な『空飛ぶ船』が姿を現していた。


「ケントさん、甲板に【転移】で上がりますよ!」ハヤトが声を掛けてケントを甲板上に転移させた。


「ケントさんも操舵室にいてください。ドリス、悪いけど個室に魔石を設置してくれる?」


「はい、御主人様」


ハヤトは準備を整え、垂直上昇をさせて上空800メートルまで上がり『空飛ぶ船』は通常モードの運行に切り替えて、時速1000キロの猛スピードでオルバル帝国の帝都ベロニカに向かった。


1時間弱で帝都ベロニカ上空に来て、宮殿の中庭に徐々に徐々に下降して、停泊した。


ハヤトは備え付けのタラップを降ろし、ケントとドリスを降ろして、自分は10メートル程を飛び降りた。


下にはすっかり改心した皇帝ハンニブ皇帝とギルド統括副代表のデクスターが迎えてくれた。


ハヤトとケンとドリスは一応皇帝に膝を折って礼を尽くし、デクスターに『空飛ぶ船』を先ず1隻引き渡し、皇帝の部下が運転して、帝都のギルドに急遽作られたドッグまで運転していった。


「それではハンニブ皇帝様、今より皇帝様にお渡しするもう1隻の『空飛ぶ船』をこの中庭にお出しします」


ハヤトは【次元収納ボックス】からもう1隻の『空飛ぶ船』をだした。


デクスターも【ストレージ】の巨大さに驚いていたが、皇帝は初めて見る【次元収納ボックス】なるマジックアイテムにびっくりしていた。


中庭に、全長70メートル、高さ10メートル、幅20メートルの巨大な船が忽然と中庭に浮いている。


「ハンニブ様、既に浮くための魔石レベル6以上を2個予備をつけて左右に2個づつ設置し、個室の温度調整、耐圧調整異様の魔石レベル3は各部屋に設置しておりますので直ぐに運行出来ます。以前納品したものと全く同じものですので運転も問題なく騎士団ができます」


「ハヤト殿かたじけない。取り敢えずケント殿と宮殿でゆっくり話をしよう!」


ハンニブ皇帝を先頭にデクスター、ケント、ハヤトとドリス達は執事長の後について宮廷の中に入っていった。


皇帝が玉座に座り、側に騎士団長スティーブンス、そしてデクスターが何故か宰相の所に立っている。


改めてケント以下3名は皇帝の前で膝を折って挨拶を交わした。


「ケント殿、ハヤト殿堅苦しい挨拶はもうよろしい!お茶の用意をしたので隣の部屋でお茶を飲みながら語りたい、ブロス準備を頼む」と執事長のブロスに頼んだ。


皆で隣の客間に移り、騎士団長だけ立哨して、皆がソファーに座りリラックスしてお茶を飲みながら皇帝が先ず話を切り出した。


「先日デクスターとハヤト殿がいきなり現れて宰相のアーロンが魔族に乗っ取られたと言い、討ち取ってもらい本当に助かった、儂は今まで魔族に組みしてたのかと深く後悔と反省をした。今後はデクスターと共に、この国を魔王や異世界龍から守るべく協力する所存だ!今までハヤト殿には大変ご無礼ばかりしたが許して欲しい」


「とんでもございません、正当防衛とはいえ貴重な帝国騎士団の多数の命を奪ってしまい申し訳なく思っております。これからは私もこの国のため、世界の人類のため何としても魔王と異世界龍からこの世界を守ってみせます」


ケントから皇帝に話しかけてきた。


「ハンニブ様、デクスターから聞き及んでおると思いますが皇帝が中心に立って各国の重鎮と一度魔王と異世界龍対策を話し合ってください。ギルドとしての統一見解、対策は打ち出しておりますが、国民全体の避難とかはやはりオルバル帝国が中心になって動いていただきたく宜しくお願いします」


「勿論じゃ、そのために宰相不在では不味いので一番正義感の強いデクスターに儂の右腕になってもらい、帝都のギルドマスターを統括副代表の指名しようと思うがケント殿許してもらえるか?」


「許すも許さないも皇帝、それはベストアイデアです!デクスターであれば皇帝の右腕として騎士団長とともにこの国のために尽くしてくれるでしょう、帝都のギルドマスターも立派な人なのでギルドとしては申し分ない提案です」


「デクスター、皇帝のため、帝国の民のため頑張ってくれよ!」


「勿論だ、ハヤト殿にも力を借りて頑張るよ」


「ところでハヤト殿、今後は儂は領土などとの野望は全く無いので国民のために君の力をお借りしたい」


「勿論、ご協力します。今後は頻繁にお伺いしても命を狙われないと思いますので!」


「ハヤト殿・・・儂は恥ずかしい!その件を聞くと頭が痛いわ」


「皇帝、冗談ですよ。誠心誠意ご協力いたします」


「そうかぁ!ありがとう、ハヤト殿」


ハヤトとケントは皇帝の家族と宰相デクスターを交えて夕食をごちそうになり

三人は王都ジュネバに【転移】して帰国した。





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