第116話 全ギルド統括会議(4)
午後からは各国毎に分かれて、国内の都市のギルドマスターと統括マスター達で夫々、対策を考える会議にあてた。
各国とも、Aクラスの冒険者、パーティーを全て洗い出して、彼らの動きを完全に把握出来るよう、すぐにでも招集が出来るような方策を考えていた。
夕方まで各国ごとの分科会を開いて、国ごとの対策を決めたことで2日目の会議は終わった。
3日目は午前中から各国の対策を発表して、他国からも意見を貰いまる1日質疑応答の時間で過ぎた。
4日目、ケントから「全ての国ごとに一応ギルドとしての対策を夫々出来る限りの事を決めたので、各国持ち帰って実施するようにして欲しい。それと先ず手始めに潜入されている国、都市は早急に魔族を葬ることが最優先で有るからして行動に移ってくれ」と統括を述べた。
オルバル帝国のデクスター統括ギルドマスターが「予定より1日早く対応策等皆さんの努力でほぼ見えてきたと思います。昼からは全世界の冒険者ギルドの重鎮がこの様に集まって久しぶりにお会いしたので、最後は懇親パーティーの昼食会にします。
懇親会が終わったら各国厳しい戦いの準備が始まるのでパーティーでせめてこのときだけでも仲間として懇親を深めましょう」
昼食会場に場所を移して、立食パーティーが開かれた。
ハヤトファミリーはあちらこちらで引っ張りだこだったが、各国の統括ギルドマスターと4大都市のギルドマスターと知り合いになれたのはハヤトたちにとっては本当に意義ある財産となった。
ハヤトにケントから相談がされた。
「ハヤト、今我が国とデクスターの国のみに『空飛ぶ船』が存在するが、残りの国5カ国、もしエルフの国を入れるなら6カ国だがその国に『空飛ぶ船』を作って遣ることは出来ないだろうか?」
「それはどうしてですか?」
「今後、この様な全国規模の大会を各国持ち回りでギルドとして情報を共有して話し合いを持とうということになったのだが、移動に数日以上かかると、皆統括をしていて忙しい身なのだ。ニュースは『遠距離通話』で共有出来るが、お主が見せてくれた古代人の映像等を見るにはやはり全員が集まって意見を出し合い話し合う必要が有ると皆から言われてな・・・、どうだろうか?」
「統括ギルドの管理下でしっかり管理が出来るのであればお作りしますよ」
「おお、頼めるか?出来たら各国2隻づつ作ってあげたいのだが!」
「国王様達用ですね?わかりました。各国ギルド管理用の船と国王管理用の船を作り、運用の仕方、利用方法は各国に任せましょう」
ケントはそれを聞いてホッとして、手を叩いて注目を自分に向けさせた。
「各国のギルドの重鎮の人たち、聞いてくれ。今後も時々この様な催し物を開くとして移動が数十日もかかるのは我々忙しい身としては、はなはだ不都合なのでハヤト君に頼み各国ギルド専属と王様、皇帝用として2隻の『空飛ぶ船』を作成して貰うことにした」
うぉーと歓声が上がり、「不正な使用法が出来ないようにハヤト君の方でその辺は考えてもらっているが、各国に戻ったら、船を停泊させるドックの建設を魔族殲滅と同時に始めてくれ。2ヶ月ほどで全国に2隻づつ渡すから各国1隻@白金30枚を各国の王様、皇帝殿と折衝してくれ」とケントが皆に披露した。
『空飛ぶ船』の販売提供は各国のギルド統括には吉報で仮に国王が必要ないと言えばギルドで2隻ともギルド管轄で購入するとまで言い出す国も出た。
全国のギルドが一つの目的をもって一致団結した。
統括代表のケントと副代表デクスターはホッとして、ハヤトファミリーにお礼を言って、解散の運びとなった。
その際、一刻も早く魔族対応に動かないといけない国々は、一応ハヤトが順番に【転移】で一瞬のうちに転移さしてあげていった。
キース獣人国、アルトリア王国、ヘルカ王国と次々【転移】を使い帰国していった。
全員を帰国させて、デクスターさん達も帝国の帝都に【転移】で戻してあげ、最後は
ケント達を『万能乗用車』に乗せて一瞬で転移して、王都ジュネべに戻って来た。
ケントが「ハヤト、ブルネリアは後1隻『空飛ぶ船』が有れば良いな?それとオルバル帝国はデクスターとも話したが2隻作って欲しいそうだ」
「わかりました、2ヶ月以内に全て作り終えれますのでドック建設が出来たとケントさんの所に連絡が来ましたら教えて下さい」そう言って、ハヤト達はケープの自宅に【転移】で戻ってきた。
「旦那様、今回のことで、各国のギルドには顔が売れたのは財産ですが、色々人外の人だということが浸透してしまって、大変じゃないでしょうか?」
「そうだね、それに関してはケントさんに愚痴りたいけどどう各国の統括ギルドマスターが動いてくれるかにもよるから様子見だな」
ハヤト達はリビングでドリスの入れてくれたアメリカンコーヒーとショートケーキにチョコレートケーキ、ハヤトはサバランで久しぶりにゆっくりした時をすごしている。
「旦那様、6カ国に2隻づつ全部で12隻を@白金30枚だとお金が使えきれないほど入ってきてしまいますよ白金360枚なんて、今でもかなりの枚数あって使えないのにどうしましょう・・・」
「王都とキース獣人国辺りに家を購入しようかな?」
「何故キース獣人国なのです?」
「ラッティーの生まれ故郷だし、人間族が比較的少ないので煩わしくないかな?って思ってね」
「王都に明日見に行ってみますか?さっき王都から戻らないで宿にでも泊まればよかったですね!でも、やはり我が家が一番落ち着きますから・・・」とセリーヌ。
「それじゃ、明日は朝食を済ませたら王都に行って建売住宅か建てるにしても土地を見に行こう」
こうして、翌朝朝食を済ませた一行は『万能乗用車』に乗って、1時間程で王都に着き、『商業ギルド』を尋ねた。
「いらっしゃいませ、どの様なご相談でしょうか?」
「中古の家か、家を建てる土地の購入をしたいのですが・・・」
「どのくらいの広さが希望でしょうか?」
「そうですね、土地だけで言えば2000坪、家の広さではリビングが全員で10名ほど居るのでみんなが集まって、座れ、個室は5部屋、二人部屋が2部屋ぐらいかな?」
「その規模となると、中古はもう元貴族の館ぐらいしか有りませんが・・・」
「出来たら訓練場が中庭か地下に有れば尚良いのですが」
「それでは、此方で暫くお待ち下さい。今ご希望の物件が有るのか調べてきます」
20分程して担当の女性が何枚かの資料を持参して持ってきた。
「中古物件は貴族の旧屋敷か元大商人の方の家とかですね、3件ほど持ってきました。後は土地ですが、王城の近くには無く、この近くの冒険者ギルドや図書館等の近くに2000坪の土地が残されておりますのでご紹介出来ます」
「旦那様、先ずは元貴族さんの旧邸宅を見に行きましょう」
「そうしようか」とハヤト達は皆で商業地区を出て、貴族街に行く。
王城から数分とちかく、門構えも豪華な作りで、旧侯爵邸だったそうで跡取りが耐えてからは、女性たちは実家に戻って商業ギルドが買い上げたそうだ。
広さは2000坪を超え、中庭には広い競技場があり、恐らく騎士団達が訓練をしていたのだろう。部屋は1階が食堂、客を迎え入れる大広間、客室が5部屋もある。
二階は夫婦の部屋で広い!奥様が着替えたりする部屋と夫婦の部屋はカーテンで遮れて、一つにも扱える。
個室は子どもたちの部屋だったのだろう、7室ぐらい有り、2階の両端にトイレとお風呂が有り、2箇所ついている。
1階にもトイレとお風呂は付いていて5部屋の両サイドにやはり2箇所付いていた。
3階は書斎が2箇所、武器庫と本の書籍庫になっていたそうで、本棚が作り付けでできていた。
「セリーヌはどう?僕はここでも良いよ」
「ラッティーとクリエラは?」
「私達は広すぎるし、こんなに立派なところじゃなくてもどこでも構わないのですが・・・」
「旦那様、トイレとかお風呂、キッチン等水回りを改良して照明関係もケープのようにLED照明などに切り替えて、ここにしましょう!」とセリーヌがいう。
貴族街なので治安は良いが買い物には商業地区から離れており大変じゃない?
「セリーヌ更地を冒険者ギルド近くに買って、ケープと同じ家では不味いかな?」
「とんでもない、本当はそれが一番良いのですが、旦那さまの負担が大きいと思って・・・」
「全然負担では無いよ、既に設計図は出来上がって居るから、地下室用に穴をほって、スライム君達を連れて来ればいいだけだからね」
「それじゃ、土地を見に行きましょう!」
「すみません商業地区の更地を見せてください」
「ハイ、良いですよ。一番オススメは冒険者ギルドからすぐ近くで図書館のすぐ裏なので静かだし、とても商店街には近いですから」
そう言って、向かった場所は冒険者の斜め前の図書館のうらに有る広大な土地でおよそ2500坪もある。
場所的に最適だがセリーヌに聞いてみる。
「セリーヌ場所的には申し分ないけど、広すぎないかな?」
「ラッティーやクリエラも増えたし、『スラ』と『イム』も居るので少しケープの家の広さを大きくしてここに建てましょうよ」
「そうするか!それじゃここを購入しますので手続きをお願い出来ますか?」
「ハイ、わかりました、それでは商業ギルドに戻り手続きのほどお願いします」
2階のソファーに座って待っていると、「おまたせしました、此方がこの土地の権利書と売買契約書です」
ハヤトが見ると土地代が白金2枚、金貨35枚とケープよりは流石に高い。土地も広いし場所的に王都ということで高いのだろう。
「今回の手数料と、今年度の税金等等を入れて白金2枚、金貨38枚、銀貨25枚となります。此方が権利書です」
「はい、ありがとう」とハヤトは権利書を受け取り、冒険者カードから支払った。
「きょうはこの購入した土地に『万能乗用車』を止めて今から僕は地下室用に土の精霊ノームにお願いして、地下室の広さに穴を掘ってもらうから、皆は車の中でゆっくりしていて」
ハヤトはノームに縦横50メートル、高さ5メートル程の大きな穴を掘ってもらった。
その後『マジックアイテム創造ボール』に前回ケープで作り込んだ設計図を元に二回り分広く全ての作り込みをして、図面を見ながら魔力を流し込んでボタンを押した。
ノームに掘ってもらった穴にすっぽり地下室が入り込み、空いた空間を再びノームに頼み、埋め戻して、2階建ての家を作り込んだ。
今回は人数がふえているのでリビングには15人ほどが座れる広さのリビングにコの字型にソファを作り出して置いた。
5人ずつが座れるようにキッチンを背に5人、両側に5人づつ計15人がゆったり座れる。
キッチンの【次元収納ストレージ】はケープの2倍の大きさにした。
1階のお風呂とシャワー室の洗面所も広めに作り、トイレは2箇所設けた。
2階はハヤトとセリーヌの夫婦の部屋は同じ大きさで、ラッティー、クリエラ、『スラ』と『イム』の部屋とドリス、アレン、ガードマンの部屋全部で6部屋に客室二人部屋を2つ、個室を4部屋と多めに作り完成させた。
2階のトイレとお風呂は夫々2箇所に作り、水回りも地下1階にスライム30引きを入れて、汚泥処理、廃物処理に【眷属】スキルで連れてきて処理をお願いした。
水回りは水の精霊ウンディーネにお願いして、絶え間なく湧き出る水源からキッチン、地下、1階、2階のトイレ、お風呂までを完成させた。
途中セリーヌがドリスが作ってくれた昼食を差し入れてくれて、午後3時頃には全てが完成して、全員が新居に移り住んだ。
精霊のグラッセは相変わらず観葉植物が沢山置かれているテラスに小さな家を作って貰って、寝床もふかふかな小さなベッドをこしらえてあげた。
ラッティーもクリエラも自分の部屋が気に入った様子だ。
ドリスやアレン達も一応休めるように部屋を与えてのんびりしてもらう。
夕方ドリスが夕食を用意して、皆で食べて王都の自宅で初めての夜を迎えた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます