第107話 ヘルカ王国の冒険(4)
ヘルカ王国の難易度の高いダンジョンでハヤトファミリーのレベルの底上げすべく”不落のダンジョン”を攻略し、次の目標の”古代遺跡ダンジョン”攻略に来ていた。
1階層、に降りていく。
周りは真っ暗で、ラッティーが【ライティング】魔法で周りを明るくし、キラービー3匹が先頭にたち、暗視カメラ付きの複眼から映像を念話で送ってきている。
1階層はバンパイアバットが飛び回って、隙きあらば血を吸おうと襲ってくる。
勿論、ラッティーもクリエラも【シールド】をしているので何ら問題は無いのだが
暗がりから、真っ黒の吸血の魔物が飛びかかってくるのは嬉しくはない。
ラッティーが『魔剣炎のダガー』で半分近くのバンパイアバットを焼き殺し、残りはクリエラが精霊術でサラマンダーを召喚し、全ての吸血コウモリの魔物を焼き殺した。
更に2階層にすすむ。
昨日街の定食屋で冒険者達が話していた魔法が効かない、硬い殻で剣さえも弾くという魔物が出てくるところだ。
1階層よりは広く、少し明るくはなったが未だ周りは暗い、洞窟のステージのままだ。
キラービーから”人工物体のキラーアント5匹が向かって来ます”本体はダマスカス鋼で作られた人工物体だ。
何故魔法が効かないかといえば、話をしていた冒険者達が放った魔法が【ファイアボール】や【ファイアスプラッシュ】など火の系統の魔法ばかりを放っていたようだ。
キラーアントの硬いダマスカス鋼には火系の魔法を放っても対して効果はない、銀龍程度の高温の息吹であれば一瞬で溶けてしまうだろうが・・・。
ハヤトは『魔石師』のスキルを発動して、5匹の人工キラーアントの魔石を【スティール】して奪い取り、かなり大きめの魔石5個を回収し、動かなくなった人工物を回収した。
2階層は平原ステージで、マナバイソンが5匹、人工オーガが2体いる。
ラッティーとクリエラがマナバイソンをあっという間に首を切り落として瞬殺する。
残るオーガはドリス達の剣で斬り倒せない強度を持っているので、ハヤトが『白兎』を抜いて示現流兜割りの姿勢で迎え撃った。
1体をジャンプして頭から真二つに切り、もう1体は胴を横に薙いで切り捨てた。
再生はしないが、念にはねんのため、魔石をくり抜いて回収した。
3階層は海のステージで浜辺からみても人工物のクラーケンが見えている。
『万能乗用車』に乗り込み車からレイザー砲で魔石のある位置を狙ってうちはなった。
クラーケンの体に10センチほどの穴が空き、魔石が砕けてクラーケンが沈み始めたので回収し、更に潜航していく。
陸近くに人工物でない、海竜が1体いる。
大きめの銛を打ち放ち、高圧放電して回収した。
4階層は人工ゴーレムで3メートルを超えるオリハルコン製の再生能力が早いゴーレムだ。
ラッティーとクリエラで正面からゴーレムの相手をし、アレンが背後に回って、魔石の位置に手刀でオリハルコンを破壊して魔石をぬきとることにする。
相手の動きがかなり早いので二人の攻撃も相手を躱しながらの攻撃だ。
【エアカッター】や【ファイアアロー】等は全く相手には効かない。
アレンが【隠蔽】を掛けながらゴーレムの背後をつき、手刀を叩き込んで魔石を上手く掴み取った。
あれ程素早い動きをしていたゴーレムがピタッと止まった。
【ストレージ】に回収する。
5階層はミノタウロスが盾と剣で構えて仁王立ちしている。
剣技レベルはそこそこ高いが、再生能力とか特別のスキルはない。
クリエラが対峙して、剣を抜いた。
【ブースト】を掛けて、一気に間合いを詰め横一閃に剣を薙いだ。
ミノタウロスが盾で払い、上段からクリエラの頭を狙って、素早い攻撃が襲いかかってくる。
余裕を持って躱し、裏を取り盾で守りにくい両足のヒザ下を切り落とす。
グギャーと悲鳴を上げて倒れ込むミノタウロス、つかさず間合いを詰めて首を切り落とした。
「クリエラ、今の動きは素晴らしかったよ、盾で守りにくい下段への攻撃から首への攻撃、洗練された攻撃だった」とハヤトが褒める。
顔を真っ赤にしてうつむくクリエラ・・・。
ラッティが”二番目は私、ラッティー、三番目がクリエラさんです”と一人で呟いている。
6階層はアンデット系の魔物がいるようだ。
死臭が立ち込めて薄暗い道が続く。
ミイラとバンパイアが30体以上むかってくる。クリエラが精霊サラマンダーを召喚して焼き尽くす。
更にスケルトンが10体、剣を構えて向かってくる。
ラッティーとクリエラで首を切り落とし、ガードマンの盾が上から全てを粉々にして消滅させた。
7階層は石化の魔眼メデューサがいる。
髪が毒蛇で近づくと飛び跳ねて襲ってくる。
後ろからセリーヌが『連射の弓』で矢を放つと、2本になったやがメデューサの両眼を射抜いて潰し、それを待ってクリエラが首を切り落とした。
8階層には罠が仕掛けられていた。
壁際に巧妙に施されてわからない様に魔法陣が描かれており、それに触れた途端天井から岩が崩れ落ちて全員が岩に埋まってしまう罠だ。
斥候を務めていたラッティーはいち早くそれを見抜き、壁に手を当てぬように皆に伝える。
行き着く先には鋭いくちばしと鋭い爪を備えたグリフォンがいる。
ラッティーが【エアカッター】を放つが翼で跳ね返される。
クリエラが【ファイアアロー】を放ったが簡単に吹き消されてしまう。
ドリスが羽の付け根にレーザービームを放って、先ずは空にと見立てぬようにしてから足元を【アイスロック】で足元を氷漬けにしてうごけないようにした。
ドリスが剣でおおきく振りかぶって、首をはねた。
9階層は岩肌のある丘ステージでワイバーンが4匹も群れている。
ラッティーとクリエラが1匹、ドリスが1匹、アレンが1匹、ガードマンが1匹を担当して、【縮地】で一瞬のうちに間合いを詰めて、羽を切って飛べなくさせてからラッティーは尻尾を切り取りクリエラが足を、最後に首をお落とした。
ドリス達は羽をレーザービームで穴だらけにして、夫々炎を吐くワイバーンを物ともせず首を切り落として回収する。
10階層は人工のヒュドラでオリハルコン製の9個の首が有り、夫々に魔石が埋め込まれ、再生速度がかなり早い。
ここはドリス達に任せることにする。
ドリスが先ず端から首を切り落とし、アレンがレーザービームで魔石の部分をえぐり、ガードマンが『霞』で脆くなった魔石部分に剣を刺して、魔石を切り取っていく。
かなり時間が掛かったが9本の首は動かなくなり、魔石は9個完全体で回収した。
側に宝箱が有り、噂では魔王が最後まで持っていた、魔王の最終兵器ではないかとの噂のものだが、果たしてその様なものなのか、ハヤトは心踊らせながら開けてみる。
中には、オカリナの様な金属でできた笛が入っており、この笛の音を聞くと一瞬で魔石や心臓が破壊される、魔笛と鑑定に出た。
耳に魔笛が聞こえなければ効果はまったくないが、音を聞いた瞬間には魔物も、人間も一瞬で死ぬらしい。
側に、魔笛を吹く人用の耳栓も付いており、それをつけて魔笛を吹かないとならない。
スタンピードなどには効果があるが【シールド】や【結界】のように音を遮断する遮蔽物なら良いが、盾で防ぐとかの類では全く効果がない。
また、【シールド】や【結界】でも音が聞こえるようにした場合は【結界】内の中で死んでしまうことになる。
魔王が持っていたのかは定かではないが余り使わないほうが良いだろう。
【ストレージ】に入れる前に【結界】で包み込んでハヤト以外開けれないようにしてから【ストレージ】に入れて回収した。
ダンジョンコアを持って、転移盤に乗り出口へと全員で戻ってきた。
『万能乗用車』に乗り込んで、ゆっくり冒険者ギルドに戻り、素材置場に討伐品を納品して、食堂で昼食を頼んで待つことにする。
今回は人工物も多く『スラ』と『イム』は食材として魔物を食べてないので、ギルドの食堂でオークの照焼を4人前頼んで二人に食べさせた。
精霊のグラッセは車の中で既にマソをたくさん食べたので大丈夫だといい、ラッティーとクリエラ、ハヤト夫婦の4人が定食と野菜ジュースを頼んで、納品書を待っている。
昼食を終えてから20分程してやっと納品書が出来てきた。
ハヤトが代表で全員のカードとダンジョンコアに地図を受付嬢に渡した。
”古代遺跡ダンジョン”が踏破されたことに驚いている受付嬢だが慌てて精算作業に入り白金78枚、金貨80枚、銀貨97枚、銅貨26枚をハヤトのカードに入金して全員のカードを戻した。
クリエラがラッティーたちと同様にSSクラスになり、ハヤト夫妻がSSSクラス、ラッティーとクリエラとドリスたち3人衆がSSクラスになっている。
パーティーとしての”熱き絆”はSSSクラスのパーティーとしてとうろくされている。
この街にはもう1泊しているのでシドンが管理しているもう一つのダンジョン”大峡谷ダンジョン”を明日潜って見ることにした。
「明日朝から”大峡谷ダンジョン”に挑戦しようと思うのだけどおおよその場所を教えてくれる?」とハヤトは宿に帰る前に受付に聞いた。
「”大峡谷ダンジョン”はハヤト様達が踏破した”古代遺跡ダンジョン”寄りさらににしのオルバル帝国との国境近くのチルル山脈の大渓谷にあります」
「渓谷がかなり深く入り口に降りるには長いロープが絶対に必要で、戻ってくるときもかなり時間がかかります、又谷底には特別な磁場が働いて、魔法が弱体して魔力が弱い人は発動できなくなるようなのでくれぐれもお気をつけください。ある意味”古代遺跡ダンジョン”より難易度があるかも知れません」
「いろいろ情報をありがとう、気をつけて行ってくる」とハヤトは冒険者ギルドを出て”隠れ家”に戻って行った。
宿についてハヤト達は自分たちの部屋に戻りシャワーを浴びてヒャと太刀の部屋に集まりお茶とケーキを出して食べながら明日の話などをしている。
「セリーヌ、今日の”古代遺跡ダンジョン”だけど少しおかしくなかった?」
「私が感じたことは、確かに古代文明の人工物が多く出ていましたが、ダンジョンそのものの作りが全く今までの古代文明絡みの作りと違って、普通のダンジョンなのが不思議でしたよ」
「そうなんだよね!古代遺跡というぐらいだから、古代人の遺跡の中にダンジョンが有るとばかり思ってのだけどごく普通のダンジョンに取ってつけたように人工の魔物を配置して古代人の残した魔物のように見せているだけのような気がしてしょうがなかったよ」
「それに、最後の魔王の持っていたという魔笛は耳栓さえしていたら全然効果をはっきしないのでしょ?最終兵器にしてはあまりにお粗末だよね!」
「それに最後のボス部屋は何となく大渓谷の不思議な磁場のある場所とつながっているような気がしてしょうがないんだ」
「それこそ、最近分かるようになった、気の流れというか大地から流れてくる地脈が僕にそう伝えてくれている気がする。だからもしかしたら大渓谷の中に逆に古代人の文明の建物などが残っているのじゃないかと思うんだ」
「師匠、何故そんな込み入ったことをするのでしょうか?」
「恐らく大渓谷のラスボスの部屋に行けばその答えが分かるような気がするな!」
「明日のほうが面白い冒険ができそうだよ」とハヤト。
4人で食堂に降りていき、夕食を食べて明日に備え4人は早めに部屋に戻った。
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