第105話 へルカ王国での冒険(2)

ハヤト達はラッティーとクリエラたちとのコンビネーションを蜜にするためと、クリエラのさらなるランクアップのために難易度の高いダンジョンをギルドマスターのケントさんに聞いて、へルカ王国の”不落のダンジョン”の5階層迄来ていた。


5階層で昼食を取って、1時間ほど休んだ後、6階層に向かった。


6階層は海のステージで、砂浜に『万能乗用車』を出して全員で乗り込んだ。


5メートル程進んで、潜航し始め150メートル行くと、クラーケンが1匹こちらに敵意を向けてきた。


車からレーザービームを一発放って、顳かみを撃ち抜き回収する。

更に進むと今度はシールワームの群れ30匹がいる。


車の前方より、スチール製の投網を放ち、全てを網で捉え、高電圧を流して殺して回収した。


更に進み、陸地がみえて来た時に、前方にケートスが現れた。


ドリスがつかさずレーザービームを2発、頭の部分と胴体に放ち、静かになって浮き始めたところで回収した。


陸地に上がり、車を【ストレージ】に回収して7階層に向かった。


7階層にはゴーレムが20体も居る。


ハヤトが【鑑定】すると倒しても直ぐまた再生すると出ている。


ゴーレムを生み出す本体の魔石を破壊しない限り永遠に、20体は死なない。


「ドリス、アレン、ラッティー、クリエラ4人でゴーレムを倒している間に、僕と

セリーヌ、グラッセが本体のゴーレムの居場所を見つけて破壊するから・・・」


ドリス達はゴーレムに向かって、切りかかり手足を切り落としたり、首を切り落とすがその都度直ぐに切り落としたものがゴーレムに吸い付くようにもとに戻って再び襲ってくる。


「ハヤト様、あそこの奥にいるひときわ小さなゴーレムにだけ魔石が異常に大きく2つもついているわ」とグラッセが10ふ分近く戦闘を開始してから見つけてくれた。


その小さめのゴーレムの周りには3体の屈強なゴーレムがへばりついており、【転移】でそのゴーレムの後ろを取ることが不可能な状態だ。


ハヤトは急いで『魔石師』のスキルを発動、小さいゴーレムの魔石に念を送り込む。

強烈な拒否の思念が来るが、それを押し返すべくさらに思念を強めて、念を送り込み魔石は奪わずに2つとも粉々に砕いた。


20数分間の死闘の末、全てのゴーレムが動かなくなり戦闘は終わった。


「グラッセ、お手柄だよ!よくあの中から、あの小さなゴーレムを見つけ出したね」


「えへへへ、とても微弱でわかりにくかったけど、ゴーレムを動かす念のながれ?

気の流れのような物を感じたの。魔力ならハヤト様やセリーヌ様のほうが直ぐに見つけられると思うので、魔力の流れでない物を感じようとしていたら、分かったの!」


「そうなんだ、まるでグラッセと知り合ったときの街に流れる気の流れに似ているね」


「そうそう、全くそんな感じだわ。あれも魔力で魔物を使役していたわけではないもの・・・」


「今後家に戻ったら研究する余地が有るね?魔族も同様の力を持っていて、使われると、なかなか検知しづらいよね」


ハヤトはアイメールでの街で起こった魔族による魔物の使役の”気”のながれと、今回のゴーレムを操る”気”の流れの研究を戻ったらしようと、考えて先に階層に向かった。


8階層は火山ステージで硫黄の匂いが鼻を突くステージだ!


ラッティーやクリエラには酷な環境かもしれないが、ここは二人に任せる。


「ラッティー、クリエラ、前方のバジリスク2匹とキマイラ1匹は二人で倒してくれる?」


「「わかりました」」と二人は先ずはバジリスクに間合いを詰めて斬りかかる。


石化の魔眼の持ち主のバジリスク、真っ先にふたりとも【ファイアスピラッシュ】を放ち、相手の目を潰しにかかる。


しかし、相手もそれを察知するかのように姿勢を変えて【ファイアスプラッシュ】を避けるが二人はそれさえも読んで、【瞬足】を使い一気にバジリスクの懐に入って、剣で両眼を潰して、あとは首を余裕で切落した。


残るはキマイラだ。


クリエラがキマイラの炎を『シールドの指輪』で防ぎながら、間合いを詰めて獅子の首の硬い部分も何のその、上段から鋭く切り落として胴体と首が分かれた。


「クリエラ、今の上段からの剣捌きは素晴らしかったよ、以前では硬い獅子の首に跳ね返されていたよね」


「はい、ハヤト邸でのドリスさんとの模擬戦のおかげです。自分でも気持ちよく剣を振れるのが嬉しいです」


9階層に向かう。


9階層は平原ステージにマンイーターが7,8体、ミノタウロスの上位変異体が1匹いる。


マンイーターは人を食物とする肉食植物だ。


「グラッセ、木の精霊としてマンイーターを頼むよ、ミノタウロスはラッティーとクリエラが相手するから」


「ハヤト様、マンイーターは私に任せて」と言ってグラッセが近くまで飛んでいき、平原の草木に語りかけて、マンイーター8体を蔓の縛りで身動き出来なくさせて、最後は魔石を取り出して、8体を無効化した。


一方上位種のミノタウロスは流石上位種だけ有り、盾とハルバードを巧みに動かして、ラッティーとクリエラに肉薄してくる。


動きも、【瞬足】と同様の凄い早い動きをしている。


ラッティーもクリエラも『100倍時計の指輪』のお陰でしっかり対応ができているが通常の冒険者ではSランク当たりでないと難しいのではないか。


ラッティーが『魔剣風のダガー』でミノタウロスの首を狙い、『魔剣炎のダガー』で足を狙い、その両方を盾とハルバードで防いだところを、クリエラがハルバードを持つ手を切り落とした。


その隙きをついて、ラッティーがミノタウロスの首を切り落とした。


「かなり強敵だったね!」


「はい、一人ではかなりの時間がかかったと思います」とクリエラが答えた。


「でも二人の動きは良かったよ!」とハヤト。


遂にボス部屋に到達した。


大きな扉をアレンがゆっくり開けると、40メートルを超える黒竜が5000度近くの『炎の息吹』を吐いて威嚇してくる。


ハヤトの肩に停まっていた『銀龍』が巨大になり、相手の黒龍に負けない巨大さになって同様に『炎の息吹』を黒竜にぶつける。


ハヤト達はドリス、アレン、ガードマンを除き全員がシールドを掛けて見守っていると、後ろから『スラ』と『イム』がプルルンプルルンと可愛らしい音を立てながら黒竜の前足2本にまとわりつき、食べ始める。


黒竜が慌てて何度も『炎の息吹』を吐いても5000度の程度ではびくともしない化け物スライムだ。


足に気を取られているうちに銀龍に頭を加えられ、噛み砕かれてしまった。


スライムに前足2本を消化されて、消えてなくなった黒竜はあっという間にその生命を落とした。


「『スラ』『イム』食べるのは足だけにしてね、素材として大事だから」


「プルルン、プルーン!はぁーい、御主人様」と二人は答えて倒れている黒竜の後ろ足にもへばりついて食べ始めた。


側に宝箱があり、”『魔道砲』、魔王や全てのこの世界、異界の生き物をも分子レベルに分解して、死に至らしめる強力な武器。シールドさえも分解する”と【鑑定】された。


ハヤトは『万能乗用車』に取り付けて、来たるべき決戦に備えようと考えた。


ダンジョンコアが巨大なコアで【次元収納ボックス】にかいしゅうする。


既に夕方近くなっていたので、ここで皆と夕食をとって、転移盤に乗って1階層の出口にたどり着いた。


車に乗り冒険者ギルドに戻って、素材置き場の方に狩り取った魔物の素材を全て納品して、食堂で野菜ジュースと果実ジュースを頼んで待つこと1時間、納品書が出来たので受付に持っていくと、未達成のダンジョンを踏破したと騒ぎになったがハヤト達はスルーして、ダンジョンコアと地図、納品書を提出して、精算をお願いした。


「ハヤト様精算が出来ました、”不落のダンジョン”踏破おめでとうございます。清算金は白金75枚、金貨68枚、銀貨38枚、銅貨88枚になります。カードにいれますか?」


「はい、そうして貰えます?」と言って、皆のカードを受け取り、その際にクリエラがSランクになっているのを確認して皆にカードを戻した。


「クリエラ、おめでとう!ランク昇給で遂にSランクになったよ」


「ありがとうございます。これも皆さんのお陰です、これからも精進して来たるべき決戦に備えて更に腕を磨きます」


ハヤト達は激闘を終えて、宿に戻って行った。


  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る