第68話 ナルジェ王国のダンジョン(2)
ナルジェ王国の迷宮のダンジョン5階層でマジックアイテムをゲットしたハヤト一行はさらに下層の6階層に向かっ
6階層に行く道が左右二手に分かれていて、右は100メートルの断崖でひだりが砂漠ステージに通じる唯一の道だ。
6階層は砂漠ステージだった。
『万能乗用車』に乗り込み【サーチ】を掛けながら移動し始めた。
モグラに似たビッグモールが3匹【サーチ】に掛かった。
砂が邪魔になるのでハヤトはビッグモールが居る周辺の砂ごと数千度に熱して飛び出して来たところをレーザービームで3匹を瞬殺し回収した。
暫く進むとサンドワームが1匹向かって来る。
ミミズの化け物に似た奴だ!
同様に砂地を熱くして上に出てきたところを今度はアレンが剣で切り刻んで殺した。
更に進むと馬鹿でかいサンドスコーピオンが2匹も居る。
最初から砂地から全身を出して頭部の鋏と尾に付いている毒針を振り上げ威嚇して来る。
一匹をドリスが、もう一匹をガードマンが対応に当たる。
ドリスは頭部にレーザービームを放ち、怯んだ隙に一対の鋏を切り落とす。
更に毒針の有る尾の部分も切り落し回収した。
普通の冒険者ではスコーピオンの硬い身体に剣が弾かれて仕舞うがドリスのミスリルの手が変化した剣の相手では無かった。
ガードマンは先に尾っぽに有る毒針を切り落し無効化した後、スコーピオンの背にたくみに移動して頭と鋏を同時に切り落した。
7階層は山岳地帯になっていて上空にはハーピーが10匹程旋回してハヤト達を狙っているようだ。
『万能乗用車』の屋根に上がったセリーヌが"殲滅の弓"を構えて魔力を流し込み矢を放つと放たれた瞬間矢が銀色に輝き10本の矢となって旋回していた全てのハーピーに当たり、ハヤト達の周りにボタボタと落ちて来た。
全てを回収した頃山頂辺りから巨大な黒い陰が3体近ずいて来る。
その影を見た瞬間、ハヤトの肩から銀龍が飛び出し、直ぐに本来の巨大な龍になって黒い陰に向かって行く。
黒い陰は見ると通常のワイバーンよりひと回り以上大型のワイバーンだと分かった。
銀龍が2匹の頭を噛み砕き逃げ出すもう一匹の翼に【ファイアアロー】を放ち地上に落ちたところをドリスが頭を切り落して3匹の巨大なワイバーンをあっという間に刈り取ってしまった。
銀龍は再び小さくなってハヤトの肩に留まりハヤトの頬に頬擦りをして甘えて来る。
「流石銀龍ちゃん、ワイバーンとはレベルが違いすぎたね!」とハヤトが褒めると更に甘えてハヤトの頬に擦り寄せて来る。
8階層は螺旋階段を降りて途中で久しぶりに罠が有ったのを解除して進むと古代都市の残骸の様な遺跡群が目の前に広がっている。
一部は朽ち果てて建物の体をなしていないのが殆どだが完全体で残っている物も見られる。
ハヤトは瓦礫の中にも何かしらのマジックアイテムがあるかも知れないと【アイテムサーチ】を掛けて瓦礫の中を歩くと、2箇所に強力な魔力を感じ取った。
その最初の場所の瓦礫を取り除くと以前にもゲットした『魔拳銃』が出てきた。
魔力で思い描く効果が出る弾丸を発射する事が可能な恐ろしい武器だ。
ドリスに携帯してもらおうと彼女に渡す。
更にもう一箇所の所に行って瓦礫を取り除くと小さな指輪が有った。
【鑑定】をすると『インビジブルリング』と出て、これを嵌めた人とその人に触れている物、人が透明になり他人が認識出来なくなる。
これは便利な指輪だとハヤトは大事に回収する。
他の瓦礫には反応がなく、後は完全体で残っている建物に5人で向かった。
最初の建物にはグールがいた。
人間の死体を貪り食って快楽に酔いしれる魔物だ。
ドリスが切り刻んでセリーヌが【聖魔法】を掛けて消し去った。
二階にも悪霊のレイスが2体いる。
全く刀や剣、攻撃魔法は効かない!
セリーヌが【広域聖魔法】を掛けてこの建物内の全てのアンデッド系魔物を霧散させた。
実体の有る魔物はこの棟には居なかった!
次の建物に向かう。
平屋だが結構大きい建物で禍々しい魔力を感じる。
ハヤトは5人に【結界】を掛けて中に入って行く。
ひとましかない板の間にヒュドラが構えている。
アレンが左の首から切り落し、ガードマンが魔剣から炎を放って切り口を焼いて行く。
次の首を切り落しに掛かった時、アレンに向かって9番目の首のヒュドラから強酸の毒液が放たれるが、ガードマンの盾がそれを防ぎ剣で放った火炎刃で焼き切った。
アレンが切った首の切り口はドリスが焼いて再生を防いでいる。
4個め、5個めと全ての首を切り落とし、最後の残っている建物に向かった。
そこには1階にスケルトンジェネラルが盾と大剣を構えて待ち構えていた。
ガードマンとの戦いになりお互いの剣を盾で防ぎながら剣を交えているがガードマンの動きに徐々について行けなくなったスケルトンジェネラルは間合いを取るべく後ろにバックステップするがそれを見越したガードマンが【瞬足】を使い首を切り落し、更に肩口から斜め袈裟懸けに切りおろし盾を使って骨をことごとく砕いて再生さえも不可能にした。
2階にはバンパイアキングが薄ら笑いを浮かべ待っていた!
ドリスが細切れにして切り倒すも瞬時に戻ってしまう。
ハヤトが前に出て久しぶりに『白兎』を抜いて構える。
「馬鹿な人間達だ!幾ら切っても不死身の儂には通用せぬわ」
「それはどうかな?やって見なければ分からないよ」
ハヤトが抜いた『白兎』はハヤトに呼応する様に眩い金色に輝きを増し、ハヤトは目にも止まらぬ速さで上段からバンパイアキングを真っ二つに切り分けた。
しかし身体はドリスが切った時の様にはくっつかない!
二体に別れたバンパイアキングの身体から黒い霧の様な物が出て、次第に灰になって霧散してしまった。
「ご主人様の刀は何故バンパイアキングを一刀の元にきり倒せたのですか?」
「それはね、『白兎』に僕の思念を載せて斬ったからね。つまり、【聖魔法】と同じ効果を刀に纏わせたからだよ!」
「それって凄い事じゃないですか」ドリスが呆れ顔で言う。
「でも旦那様にとっては普通に出来てしまうから不思議よね!とセリーヌ。
「さあ、9階層に向かおう!」ハヤトが皆に声を掛けて進む。
9階層は火山ステージでキマイラが2匹いた。
アレンとドリスが【身体強化】を掛けて一瞬で間合いを詰め硬いキマイラの体をスパッと切り裂いてあっという間に倒した。
「何だか9階層にしては弱かったね」とハヤトが言うと、
「アレンとドリスが強すぎるのですわ」とセリーヌがぼやく。
遂に目標の10階層だ。
目の前に巨大な扉が有り、アレンがゆっくり開けるとそこには30メートルを超える巨大な黒龍がいた。
ハヤトの肩に止まっていた銀龍が黒龍と同じ大きさになって対峙する。
黒龍の口に魔力がどんどん集まり巨大な炎の息吹が一気に銀龍に向かう。
銀龍は口を大きく開けて氷のフリーザーブレスを吐き出した。
巨大な炎と巨大な氷の塊がぶつかり凌ぎあっていたが次第に氷の塊が黒龍の炎を押し返し遂には黒龍の首から上が氷に埋め尽くされて、銀龍が軽く前足で突くと首からもげて頭部が床に落ち粉々に砕けてしまった。
幸い牙は破損せずに残ったが、魔道具の素材となる目玉等は細く砕けてしまった。
やれやれと言った顔で回収するハヤトに銀龍が「褒めて褒めてと尾っぽをブンブン振って顔を舐めてきた。
そんな銀龍を見て怒る訳にも行かず銀龍の頭を撫でるハヤトだった。
そばにダンジョンコアと宝箱が有り、この階層が最下層だと分かった。
宝箱を開けると黒光りした50センチ四方の板が入っていた。
【鑑定】をすると転移板で【マッピング】【地図張】と併用することで行ったことのないところでも【マッピング】や【地図帳】に表示できるところには転移できる【転移装置】とでている。
これは以前ハヤトがダンジョンで得た【転移石】よりも応用範囲が広いのでこれも大事に【次元収納ボックス】に回収して1階層出口に転移して戻ってきた。
ハヤト一行は冒険者ギルドに戻り”迷宮のダンジョン”踏破した旨伝えると受付嬢は慌ててギルドマスターを呼びに行った。
しばらくすると男性がにこやかな顔をして降りてきて「お久しぶりです、ハヤト様、この度はダンジョン踏破おめでとうございます。流石SSSランクに昇格もして名実共に世界最強の冒険者におなりになりましたね」とロイスが挨拶をして来た。
「お久しぶりですロイスさん、魔族事件以来ですね!」
受付嬢が「討伐した素材は裏の解体作業場に持って行っていただけますか?それとダンジョンコアと地図制作と魔物の生産はいま少しかかるので2、3時間後に再度いらしてください」
「わかりました、近くの魔道具店でもみて回って後ほどまた伺います」
「ロイスさん、また後ほど」と言ってハヤトは解体場の向かった。
ハヤトは解体作業場に討伐した魔物を【次元収納ボックス】から次から次へとだして作業員を驚かしていたが、気にせず山積みに置いてボスノーの魔道具屋に向かうのだった。
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