第37話 王様のケープ訪問
『製塩』を成功させて二日で1トンの塩を作り出し、『快速魔動鉄道車』を製塩工場のケインズからケープまでレールの敷設を終えて、王様達に見てもらう為『空飛ぶ船』で王都まで迎えにいく。
ハヤトとセリーヌ、ドリスとアレンは『空飛ぶ船』を取り出して侯爵様の中庭から王都に向けて侯爵様と騎士団を乗せて飛び立った。
1時間半程で王宮の中庭に到着して、王様一家と公爵様一家に宰相殿と騎士団を乗せて再びケープに向かった。
1時間半で侯爵邸の中庭に着いた一行は、早々『快速魔動鉄道車』に乗り込みケインズの街まであっという間に走って、『天日塩方式』と『イオン膜方式』の両方の製塩方式の工場を視察した。
王様も宰相殿も公爵様も皆2日間で此処まで作り込んだ事に信じられないと驚いている。
まして見たことのない『イオン膜方式』の立釜などを見てこれで塩が作れるのかとハヤトの力と共に古代人の文明の高さに驚いている。
「王様、『天日塩方式』は確かに古代人の文献ですが『イオン膜方式』は当時でもまだ開発はされず、これは私の考えたアイデアです」
ハヤトは異世界から転生で来たことは奥さんしかしらない事なのでその辺はごまかした。
製塩された其々の塩の味見をしてもらう。
「『天日塩方式』の方は少し苦味があり、岩塩に近い味かもしれません。ミネラルという不純物の栄養素もこちらの方が多いです。一方『イオン膜方式』は純粋なNaで
塩そのものです。人によって好みはありますのでどちらが良いとは一概に言えません」と説明した。
其々皆が舐めて見て味を確かめてみる。
王様が”Naとは何だ?”と言うので”塩そのものの事を言います”と簡単に説明しておいた。
王様や宰相殿は『イオン膜方式』が良いといい、公爵様、ギルバート侯爵様は『天日塩方式』の方が好みだと言っていた。
女性陣も意見が分かれて王妃様は『天日塩方式』エミリー王女は『イオン膜方式』
公爵夫人は『イオン膜方式』娘さんも『イオン膜方式』とバラバラだった。
ハヤトはどちらも塩には間違い無いのでこれを『空飛ぶ船』或いは『快速魔動鉄道車』で運んで王都で流通させるのかは皆さんでお決めくださと伝えた。
『快速魔動鉄道車』でケープまで数分で戻り、侯爵邸で打ち合わせに入った。
その間、奥方と娘さん達は騎士団に守られてケープの街に繰り出して買い物を楽しむようだ。
ハヤトは「先ず塩を今の様にケインズで作成して、国中に流通させるのかどうかと『快速魔動鉄道車』を交通手段として街々に走らせるのか決めてください」と皆に投げかける。
王様も宰相も『塩』の販売を国が一括して請負、グランデで取れる岩塩の料金が
暴落しない程度に王都が一元化して調整するという事になった。
また『快速魔動鉄道車』はケープからグランデそしてジュネべ迄を今年度中に鉄道を敷設してケインズでできた『塩』を運搬することにする。
王様と宰相が相談して、『快速魔動鉄道車』一車両を白金25枚として計白金75枚を、鉄道敷設作業とレール製作を王都まで含めて白金200枚でハヤトに委託する事で決まった。
ハヤトはケープから王都迄で停車する街を決めて貰えればある程度の日にちでレールを敷設して走らせることは可能だと伝えた。
ギルバート侯爵とブレット公爵が今は街がない所でも『魔動鉄道車』が通れば王都まで行き来が楽になり街もできるので1、2箇所は新たに街を起こしたら如何だろうと提案して来る。
ケープ→ロゴニー→新設の街→グランデ→新設の街→王都として止まる駅はケープから王都迄で4駅を設置する事に決定した。
ケインズの街の『天日塩方式』と『イオン膜方式』其々の工場に雇う人はケインズの人達を雇う事でギルバート侯爵が引き受け、塩だけでなく海産物も大量に新鮮なまま王都に運ばれる事になった。
『空飛ぶ船』を王様に引き渡して、今後は王宮の城門脇に製作中のドッグに停泊させて毎日1往復ケープとグランデそして王宮を人と物資を運ぶ事になった。
王妃様達が侯爵邸に戻って来て、お昼を皆で侯爵邸の食堂でいただく事になりギルバート侯爵一家、ブレット公爵一家、王様ご一家とハヤト家が揃って昼食を食べる。
帰りは『空飛ぶ船』で騎士団長のハロルドさんが運転して侯爵邸の中庭からゆっくりと飛び立って、王都に向かった。
ハヤトも侯爵邸を辞してケープからロゴニー迄の鉄道レールを敷設すべく家に一旦戻って『マジックアイテム創造ボール』で400本のレールをこしらえた。
夕方までにロゴニーまで『魔動鉄道車』を走らせようと、ドリスとアレンに頼んでケープからロゴニー迄レールを敷設し終えて『魔動鉄道車』を走らせて見る。
問題なく加速もし、停車もでき、ロゴニーまで数分で到着し、ケープに戻って来た。
ハヤトとセリーヌは家に戻って、ドリスの作った夕食を頂いてやっとのんびりと
寛ぐことが出来た。
『空飛ぶ船』を古代文明の資料から作ることに成功したハヤトはギルバート侯爵や王様達から請われて売ることにしたために、スタンピードも解決して、船も売ったために思わぬ大金が一度に転がり込んできた。
セリーヌとも相談して、あまり派手な動きはせずに地味に冒険者活動をしていこうとケープをベースにもう少し地味なクエストを受けることにする。
翌朝は『魔動鉄道車』に関して何もせず通常の冒険者の生活に戻った。
そして今日も二人でクエストを見に行き初心者のクエストのエノキカズラの採集と
希少種の”ユーカラ”という薬草の採集のクエストを受けることにした。
”ユーカラ”は抗炎症作用が強くしかも消毒作用も非常に高いため高級ポーションの
薬剤に使用されるがワイバーンの生息地近くに生えているためにとても貴重な薬剤
となっていた。
”ユーカラ”1本で金貨1枚になっている。
クエストは”ユーカラ”2本以上ということで受けることにした。
ケープの西城門を出て北の山岳地帯の頂上近辺の辺りに生えていると聞き、『万能乗用車』でセリーヌ、ドリス、アレンと四人で向かった。
先にエノキカズラを採集しに行く。
冒険者なりたての頃によく採集していたので【サーチ】で群生地を確認して『万能乗用車』を走らせて20分ほどで群生地に着き、【サーチ】を掛けてあっという間に四人で250束分を採集した。
「ハヤト様、この辺は景色も良いし、のどかなので少し早めの昼食をここで食べてから移動しませんか?」
「そうだね、ここで食べると気持ち良いから美味しく食べれるね」ハヤトは【次元収納ボックス】から照り焼きオークバーガーと野菜ジュースに野菜サラダを出して
『万能乗用車』から机も出して野原で昼食にした。
こんなにのんびりとピクニック気分で楽しみながらクエストを受けるのは初めてだと二人で話しながら昼食を食べた。
いよいよもうひとつのクエスト"ユーカラ"の採取に向かう。
四人は『万能乗用車』に乗り込みワイバーンが生息する山に向かった。
山のふもとに着いた四人は、山頂目指して歩いて向かう事にした。
"ユーカラ"を【サーチ】すると山頂の手前500メートルあたりの岩場の間にかなり群生しているが、そばにはワイバーンが3匹もいるのが見てとれた。
セリーヌが3頭のワイバーンの頭に魔力を込めた矢を放ち、ハヤトが【エアカッター】を放ち首を切断して殺して【次元収納ボックス】に回収する。
”ユーカラ”も50本も採集出来て、山をゆっくりおりていき麓まで来たところで『万能乗用車』に乗り込んで冒険者ギルドに戻って来た。
ワイバーンは魔石が金貨20枚本体が同様に金貨20枚なので1頭当たり金貨40枚だ。
3頭なので金貨120枚と”ユーカラ”が50本で金貨50枚、エノキカズラ250束で銀貨125枚になった。
ケープのギルドでは品薄だった”ユーカラ”が50本も入荷してとても喜ばれて受付嬢からもお礼を言われてセリーヌもハヤトも嬉しそうにギルドを後にする。
ハヤト達は帰りに市場によって、野菜と、マナバイソンのヒレ肉、ファングボアのバラ肉を少し多めに購入して、自宅の【次元収納ボックス】に貯蔵した。
ファングボアの肉を使って、ハヤトが回鍋肉(ホイコーロー)を夕食として作って
みる。
味醂と味噌とファングボアのバラ肉をフライパンで炒めてそこにキャベツの葉を加えて、味見をしたらまあまあなのでセリーヌに夕食として出して見ると大好評で喜んで食べてもらえた。
翌日も、朝練を済ませ朝食を食べてからケープの冒険者ギルドに行き掲示板をランクに関係なく簡単なクエストから高ランク対象のクエストまでくまなく見て行く。
近くの農場からの依頼でファングボアの群れ討伐があったのでセリーヌが掲示板から引き剥がして取り敢えず確保した。
更に眺めていると、ケープの西城門から5キロ先の森に”サウンドラー”出没するので討伐依頼が有った。
これをハヤトが剥がして、二人でこれら2件のクエストを受けるため受付のキャロルに提出した。
ファングボアの依頼の農場は幸い西門のすぐそばの農場だと聞いて、二人でのんびり歩いて行くことにする。
西城門で冒険者カードを出す前に衛兵から「ハヤトご夫妻、おはようございます!」と挨拶され、顔パスで通してくれた。
西門を出て、依頼の農場はすぐわかった。
農場主のボルグさんがセリーヌとハヤト二人きりなのを少し心配している様子でセリーヌに「二人だけで本当に大丈夫ですか?」と聞いて来た。
「ボルグさん、ご心配なく農場には絶対に被害を出さずにファングボアを全て討伐して差し上げますから」と言って、冒険者カードのSランクカードを見せて安心させてあげる。
「それじゃ、私らはファングボアを討伐するまでは外での作業を止めて農場内での作業をしておるで、討伐したら声を掛けてくだされ」と言ってボルグさん他数人は家の中に入ってしまった。
ハヤトは【サーチ】を掛けながら周りを見るが未だファングボアはこの近くには来ていないようだ。
柵の中の葡萄畑全域に【バリア】を掛けて農園を先ず守ることを優先させる。
屏に座り込んでセリーナと待つこと10分ほど、【サーチ】にファングボア8頭が農園に向かって進んでくるのを確認した。
セリーヌがマジックアイテムの弓”連射の弓”を構えて8本の矢を射ると、ファングボアの頭に当たって全てのファングボアが瞬殺されてしまった!
その後も一応【サーチ】で調べるもそれ以上は居ないのでファングボアの死体をボルグさんに見せて、殲滅した旨伝えた。
農場の【バリア】も解いて、ボルグさん達が作業に入れるようにした。
依頼書にボルグさんのサインを頂いて、もう一つのクエストのサウンドラー討伐にいく。
サウンドラーはここから更に行った5キロ程先の森にいるらしい。
【身体強化】を掛けて二人はあっという間に目的の森についた。
直ぐにハヤトが【サーチ】すると2匹のサウンドラーがいる。
「セリーヌ、1匹づつ討伐しようよ」
「はい、わかりました」
ハヤトは【エアカッター】で首を綺麗に切断する。
一方セリーヌは頭を狙って”連射の弓”に魔力を込めて矢を射るとサウンドラーの頭を砕いて一瞬で殺した。
ハヤトは念のため今一度【サーチ】を掛けて確認しこれ以上いないことを確かめた。
2匹の血止めをして【次元収納ボックス】に回収した。
二人でのんびり西門に向かって手を繋いで周りの景色を楽しみながらギルドに帰って来た。
素材置き場に行ってファングボア8匹とサウンドラー2匹を納品して納品書を受け取り受付の獣人族のアルマちゃんに農家のボルグさんのサインと納品書をカードと
共に渡した。
アルマが「ハヤトさん、ファングボア8匹が銀貨680枚にクエストの金貨1枚とサウンドラー2匹で金貨10枚にクエストの金額が金貨2枚でトータル金貨19枚に銀貨80枚になります」
「カードにお入れしますか?」
「そうですねお願いします」
「カード内に白金357枚金貨729枚銀貨584枚銅貨450枚となりました」
「アルマさん、ありがとう」そうハヤトは言って、セリーヌと冒険者ギルドをあとにして自宅に帰って行った。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます