第34話 デルミロの街

フェルトンの街を出て1時間半ほどで人口7万人ほどの街デルミロに着いた。


入門する時、衛兵に「凄い魔道具の乗り物だな」と感嘆されたがすんなり入門できた。


いつもの通り真っ先に冒険者ギルドに向かいカードを提示してお勧めの宿を紹介してもらう。


「このギルドを出て城門と反対方向に20メートル程行ったところに”旅の寛ぎ”という宿がお勧めです。ハヤト様達はAランク以上なのでカードを提示すれば半額で

宿泊可能です」


「ええ?半額なの!それは凄いね、ありがとう」と礼を言って宿に向かった。


宿はすぐわかり、入ると可愛い娘さんが「お泊まりですか、お食事ですか?」と聞いてくる。


「とりあえず2泊お願いします、それと冒険者カードがこれです」とハヤトが

Sカードを出すと


「わぁーすごーい!Sクラスの方って初めてです。感激!!」と興奮して言う。


「お二人で半額なので銅貨50枚です。食事は朝は6時から10時、夜は5時から10時で共にラストオーダーは9時半です」


「部屋は2階の202号室のダブルの部屋をお使いください」と言って鍵をくれた。


「お嬢さん、魔道具の馬車を裏庭に停車したけど良いかな?」


「問題ないですが馬は餌とかご自分で管理してください」


「馬はいないで魔石で動く魔動車ですから」とハヤト。


2階の202に入って未だ夕食には時間が有るので二人でシャワーを浴びてのんびりコーヒーとケーキを出してくつろいだ。


『賢者の本』でデルミロの街と書いて、内容を見てみると領主はフェルトンと同様ダーレン男爵が統治して主産業は農作物のジャガイモとキャベツがメインとでている。


ダンジョンは無いが近くに森が多いため魔物の存在が多く人口が増えないのもそのためだとしるされている。


それなりにクエストがありそうなのでハヤトは内心喜んでいる。

夕食の時間になり二人でいつものように【認識阻害】魔法を掛けて食堂に降りて行く。


周りの人たちもハヤトがみる限りほとんど冒険者達でやはりこの街はクエストが多いのだろう、商人は2組ほどしかおらずあとは皆冒険者だ。


二人で目立たず夕食を終えて、2階の部屋に戻って来た。


明日のクエストのために早めにベッドに入って静かに寝た。


早朝に起きて、朝練を終えて二人で食堂に降りて朝食を頂く。


早々、ギルドに4人で行き扉を開けると既にかなりの冒険者でごった返しの状況だ。


ハヤト達が掲示板で眺めているとワイバーン2匹の討伐、アースワーム討伐等多数の討伐依頼がある中でハヤトはワイバーン2匹のクエストとアクスビーク3羽の討伐、ドラゴントカゲ5匹のクエストを剥がして持って行く。


順番待ちで並んで待っている間にハヤトの後ろで騒ぎがおこっていた。


後ろでクエストの紙をお互いが奪い合ってもめている。


ハヤトがドリスに何をもめているのか見ておいでと言ってドリスを行かせると今度は一人の冒険者の男がドリスに殴りかかる剣幕で襲いかかって来て、逆に気絶させられている。


ハヤトの順番になりクエストの紙を出して受付を済ませてドリスのところに来てみると最初にもめていた女の子の冒険者一人と男の冒険者二人がクエストの奪い合いをしていたのだ。


聞いてみると最初に女性がとったクエストを男性二人が女では無理だらから俺たちによこせと言って来た事が発端だそうで、女性は一人でも十分に対応できるので嫌だと断ったがしつっこくよこせと言って聞かないそうだ。


ドリスが「本人が一人でできるというものをできないと決めつけて横取りはダメでしょ?」と男性にいう。


「うるせい!女がこのクエストを受けるのは無理に決まっているだろ?」


「そんなものは本人が決める事で他人がとやかく言うものでは無いわ、さっさと自分たちのクエストを見つければ?」


「うるさい」と言っても一人も殴りかかってくるが結局二人とも気絶してドリスは

ハヤト達と一緒にギルドを出て行った。


ハヤトは達は『万能乗用車』に乗り込み先ずはワイバーンの生息する場所に向かった。

走る事10分程度でワイバーンが2匹いると言われている場所に向かう。


『万能乗用車』のサーチに50メートル先の草地に2匹いると出て、4人で向かう。


アレンとドリスが首を一瞬で切り落とした。


二人ともワイバーンの【火炎咆哮】には全く傷つくこともなく大丈夫だ!


【次元収納ボックス】に入れて、次のクエストのアクスビーク3羽の場所に向かう。


『万能乗用車』で垂直上昇後森を抜けて1キロ行った岩場に着陸して画面を見ると20メートル先の岩の陰の窪地に3羽いる。


ここはセリーヌが『連射の弓』で一度に3羽を殲滅。


「奥様、やり過ぎでーす!」とドリスが叫ぶ。


次のクエストはドラゴントカゲのいる岩場に向かう。


『万能乗用車』に乗り込んで岩場のクエスト場所まで垂直上昇して3分ほどで飛行して岩場に着陸した。


それぞれ1匹ずつ刈り取ろうと言い、アレン、ドリス、セリーヌ、ハヤト、銀龍が

一度に5匹に襲いかかって数秒で5匹が死んだ。


【次元収納ボックス】に入れて冒険者ギルドまで地上を走って30分ほどで戻って来て、素材置き場に納品して、クエスト完了の納品書を受付に出した。


「ハヤトさま達のカードをお預かりします」と言われ4枚のカードを出し、納品書もその際に渡した。


「ハヤト様、先ずは皆様のカードをお返しいたします。清算金はワイバーンで金貨80枚、アクスビークで銀貨60枚、ドラゴントカゲで金貨10枚です。カードにお入れしますか?」


「そうだね、それじゃカードに入れてくれる」


「はいかしこまりました、それでは今一度ハヤトさまのカードをお預かりします」


しばらく待って受付嬢がハヤトにカードを返して「カードの預かり金額が白金37

2枚金貨440枚銀貨274枚銅貨450枚となりました」と言ってカードをくれた。


ハヤト達は少し昼には早いが近くの定食屋に入り昼食を食べることにした。

店の前に『万能乗用車』を止めてハヤトとセリーヌで入り定食を頼んだ。


オークジェネラルのシチューに黒パン、それにケルピーのスープとサラダで銅貨20枚だった。


昼食を食べて”旅の寛ぎ”に戻って来た。


車を裏に駐車してドリス、アレン達に任せてセリーヌと2階の202号室に戻って来た。


二人でトワイニング紅茶のアールグレイを出して、ショートケーキ2個を出して二人でゆっくり別腹のケーキを食べる。


セリーヌは本当に幸せそうな顔で食べている。


「ハヤト様とこうしてケーキをいただく時間が本当に幸せなひと時です」


「僕もですよ、セリーヌ」


「私このところ魔力も増えて『連射の弓』の威力がまして驚いています」


「そうですよ、先ほどのクエストは殆ど僕の出る幕が無かったもの!」


そんな話をしながらセリーヌはハヤトに寄りかかってキスをしてきた。


「セリーヌ、明日も午前中にいくつかのクエストを受けて次の街に行って見る?」


「明日午前中クエストを受け終わったら一旦ケープの家に久しぶりに帰りませんか?せっかく家を建てて未だゆっくりあの家で過ごす時間が少ない気がします」


「そうだね、冒険者ギルドに行かずに少し僕も古代人達の残した資料をもう少し整理したり、『快速魔動鉄道車』の設計図とレールを図面化してみたりするよ」


二人はベッドにダイブして夕食までお昼寝と称して愛し合い合体した。


翌日はいつもより少し早く起きて4人でギルドに向かいクエストを見た。


ホーンラビトの群れ10匹とファングボア5頭のクエスト2枚を剥ぎ取って受付に持って行く。


冒険者ギルドを出ようとしたら、昨日の朝女性と揉めていた冒険者の男性二人がドリスを待ち構えていて襲ってくる。


ドリスが再び当て身を二人に当てて気絶させ、ギルドの職員にハヤトが「気がついたら今度襲って来たら両足がなくなるよと言ってくれ」と伝えて出て行く。

クエストのファングボア5頭を先に片付けようと『万能乗用車』で城門を出て3キロほど走って、【サーチ】画面に100メートル右前方と出たのでドリスとアレンが車から降りて剣で5頭の首を切り落として回収する。


次のクエストは更に2キロほど行った丘にいると聞いていたので向かうと10匹ではなく15匹のホーンラビットがいる。


ハヤトが【結界】で15匹を閉じ込めて空気を抜いて全部のホーンラビットの頸動脈を切り、血抜きしてから回収し、1時間ほどでクエストを終えてギルドに戻って来た。


受付に納品書を渡し清算を待っていると再び朝絡んで来た男達が今度は剣を抜いて来たので、ドリスは一瞬で彼らの片足を切り落として血止めした後縄で縛って衛兵に引き渡した。


その時ハヤトはその男達の冒険者カードを剥ぎ取って、「受付にこの程度はきちんとギルドで取り締まれないとダメですよ」と言ってカードを渡した。


生産額はホーンラビト15匹で銀貨30枚ファングボア5頭で銀貨75枚だった。


カードに入れてもらいギルドを後にした。


4人は『万能乗用車』に乗ってしばらく走って浮上し、ケープを目指して時速600キロでお昼近くにケープの東門手前で降りて、街に戻って来た。


定食屋のダニーの店で昼定食を久しぶりに食べる。


ゆっくりハヤトの自宅まで行き【バリア】を外して家の中に入りリビングで皆がゆったりする。


キラービー3匹はテラスの観葉植物の葉に泊まり、銀龍はリビングの棚に寝転び、ドリスとアレンはソファーに座る。


セリーヌとハヤトがドリスにお茶とケーキを頼み、ドリスがいそいそと準備を始めた。

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