第31話 グランデの街でその1

ロゴニーでダンジョンを制覇したためにお昼が遅くなり途中、車の中で野菜サンドイッチと野菜スープを飲みながらアレンの運転でグランデを目指して走っていく。


途中シルバーウルフの群れに合うも、『万能乗用車』のレーザービームで28頭を

刈り取って回収し、夕方遅くにグランデに入った。


城門の兵士に乗り物が珍しいので色々聞かれたが、魔道車だと答えて街に入った。


宿を以前泊まった”鏡月亭”にして、『万能乗用車』にはキラービー3匹と銀龍、ドリスにアレンが残って【結界】を張って裏の空き地に駐車させてもらった。


宿は二人で1泊銀貨1枚と銅貨20枚なので一応3泊分銀貨3枚銅貨60枚を先払いして2階の203号室にハヤトとセリーヌは落ち着いた。


夕食を食べに食堂に降りると、冒険者らしい連中が上機嫌でお酒を飲んでいる。


食堂の猫耳のお嬢さんに今日の夕定食を2つ頼んで、周りの雑談をそれとなく聞いている二人だった。


ハヤトは神様から頂いたスキルのおかげでどんなに小さい声の話し声でもしっかり聞けるのでここのギルドのうわさ話とか領主の評判などもつぶさに聞くことができる。 


特にグランデの領主のエドガー侯爵様を悪く言う声はどこからも聞こえてこない。


ブルネリア王国第三の都市で人口もケープに次いで70万人もの人達が暮らす大都市だ。


ここが発展しているのは王都から近く、岩塩の山が街の直ぐ側にそびえており、ブルネリア王国の半分以上の塩の生産をまかなっているからなのだそうだ。


そのため、エドガー侯爵領内では塩を他の領地よりも安く購入できる。


ハヤト達もグランデを去るまでには、塩を買おうと思っている。


また、ブルネリア王国の他の領地から来た人でも、この街にお金を落として帰ってくれるのだからと言う理由で安くしているそうだ。


なかなか切れる侯爵様だ!


治安も良く特に問題が有るとは思えない状況だ。


夕食を食べ終えて、ハヤトとセリーヌは街に出て夜の雰囲気を見てみようとドリス、アレンも呼んで4人で街並みを歩いている。


錬金術師の店や魔道具屋、武器屋の店が軒を連ねて存在している。


何でもこのグランデの街の地下には”迷宮古代都市ダンジョン”が50階層も有りそこを冒険者たちはこぞってお宝を目当てに潜るので、魔道具屋や武器屋が軒を連ねて存在してるらしい。


明日の朝ハヤトたちも冒険者ギルドに行って”迷宮古代都市ダンジョン”を潜って見ようと皆で相談した。


ギルドによって道中で討伐したシルバーウルフ28頭を納品して受付嬢から銀貨

420枚を受け取った。


夜も更けて来たので宿に戻って明日に備える4人だった。


朝、いつもの朝練をしてセリーヌと食堂に降りていくハヤト。


既に何組かの冒険者達が食事を済ませギルドに向かうようだ!


冒険者達が席を立ちながら話している声が聞こえてきた。


”昨日”迷宮古代都市ダンジョン”に潜ったパーティーの3人のCクラスの冒険者が重症を負って担ぎ込まれたそうだ”


”何でも5階層のボス部屋の魔物が半端ない強さだと言っていたそうだぞ”


そんな会話が聞こえてきた。


「セリーヌ、此処のダンジョンはなかなか難しそうだよ」


「何だか聞こえてくる声を聞くとそのようですね」


「1日で踏破などと考えずに何日か掛けて頑張ろうよ!」


「そうですよ、急ぐ旅でもないですから」


そんな会話をしながら朝食を済ませた二人はドリスやアレン達を連れ立って冒険

者ギルドに皆で向かっていく。


冒険者ギルドの受付嬢に”迷宮古代都市ダンジョン”に潜るのでよろしくと伝え入り口を聞いてギルドをあとにした。


入り口はギルドのすぐ近くのメイン道路に面した所に入り口が有った。


入り口には兵士が4人立っており、数人の冒険者が並んで順番に冒険者カードを見せては入り口から階段を降りていくのが見えた。


直ぐにハヤト達の順番になり、ハヤトもカードを見せて4人のパーティーだと伝えて入って行く。


入り口は思ったより間口が広く大人4人が横並びに入って行けるほど広い。


階段は緩やかな螺旋階段で魔石による明かりがついており、地下の階段でも明るい。


先頭にアレンが居てその後ろドリス、そしてセリーヌでしんがりをハヤトと銀龍

が行く布陣だ。


アランの前にキラービーの3匹が赤外線複眼の目で50メートルほど先の様子を

映像で皆に見せてくる。(ハヤトと念話が通じるセリーヌ、ドリス、アレン、銀龍

にはキラービーの映像も念話同様に送受信できるのだ)


1階層に降り立った。


広い平原にオークが群れている。


ハヤトたちの前に入った冒険者グループ5人組がオークと戦っているのが見える。


彼らの戦いが終わるまで、1階層のステージに降り立つことができないようになっているようだ。


ずいぶん待たされて結局前の組は1ステージでリタイアして戻ってきた。


ハヤト達がやっと1階層開始だ。


オークの群れは前の組と同じだがオークキングもいるようだ。


全部で27頭の群れだ。


アレンが10頭をレーザービームと剣で殺し、ドリスも剣で7頭殺し、セリーヌが

弓で10頭の頭を狙い撃ちして殲滅した。


2階層にいく。


2階層も平原ステージだがファングウルフ13匹にリザードマンが10匹とリザードマンジェネラルが2匹いる。


ファングウルフ13匹はアレンとドリスが剣で斬り殺していき、リザードマン7匹をセリーヌが弓で射止めて、残りの3匹をハヤトが【エアカッター】で首を切り落とし、リザードマンジェネラルは【ファイアボム】で2匹とも首から上を吹き飛ばして殺した。


3階層、4階層も順調に進み5階層に来てボス部屋の扉が立ちはだかっている。


順番待ちもなくアレンが慎重にゆっくり扉を開けるとそこには5メートルを超える

トロールが剣を構えている。


アレンが瞬時に間合いを詰めて、片足を切り落としジャンプして首を切り落として

あっという間にトロールを倒した。


そこには宝箱が有り、罠はないのでアレンが開けると『ミスリル製の剣』が有った。


ハヤトのチームには余り必要ではないが、一応【次元収納ボックス】に入れて回収した。


「セリーヌ、このボス部屋で昨日Cランクのパーティーが重症の怪我を負ったと言っていたけど然程強い魔物でもないよね!」


「旦那様、我々の強さが一般的だと思ってはいけないわ、規格外の4人ですから」


「そうなのかな?もう少し歯ごたえないと魔界龍が再出現したら人類も獣人族も殺られてしまうよね」


「そうならないために、私達は更にスキルアップしておかないといけませんわ」


「うん、油断せずに頑張るよ!」


6階層に行くと地下にもかかわらず海のステージだ!


『万能乗用車』に皆で乗り込み、潜航すると50メートル先にシーサーペントが1匹いる。


レーザービームでは弱いので強めのレーザー砲を放ち瞬殺する。


回収して更に進むと100メートルほど行ってクラーケンに出くわす。


かなり大きなクラーケンで10メートルを超えてきている。


銛で眉間に打ち込み高電圧放電で気絶したところをハヤトの『魔石師』のスキルで

魔石を奪い取って回収した。


陸地が見えてきて7階層に向かう。


7階層は岩場のゴツゴツした地形で岩竜が3匹もいる。


上からの攻撃は甲羅が岩のように固く剣が通じない。


セリーヌが土の精霊ノームの力で【アースニードル】を放ち比較的弱い腹から串刺しにして2匹を葬った。


もう1匹はハヤトが背中に飛び乗り硬い甲羅の上から”掌底破”を放ち内蔵を破壊して殺した。


8階層は火山が噴煙を上げ硫黄ガスが充満する火山ステージだ。


4人全員が毒ガスにも耐性が有るので活動には何ら支障はない。


キマイラが2匹いる。


セリーヌが獅子の頭を狙い魔力を強めに矢を放った。


獅子の額に刺さった矢は頭蓋骨さえも粉砕して一瞬で1匹を殺した。


もう1匹をハヤトが比較的柔らかな山羊の体の部分を正拳で撃ち抜くと、胴体を一瞬で撃ち抜いて手が向こう側に突き抜ける程の破壊力だった。


汚れた手を【クリーン】魔法できれいにして2匹とも回収して9階層に向かう。


9階層は山岳地帯のステージでサウンドラーが2匹とアクスビーク1匹いる。


アレンとドリスがサウンドラーを剣で首を切断して殺し、アクスビークはセリーヌの矢が葬った。


10階層のボス部屋に来た。


既に此処まで来てる冒険者は誰も居ない。


アレンが罠などを確認しながらゆっくりと扉を開けるとミノタウロスの上位種のミノタウロスジェネラルがハルバードを持って構えている。


ハヤトが前に出て対峙する。


素手でハヤト得意の体術で相手をしようと沖縄空手紅流の龍神の構えに入った。


間合いを詰めてきたのはミノタウロスジェネラルだが、ハヤトはそれを凌駕する速度でミノタウロスの懐に入って3段蹴りを胸に叩き込む。


ミノタウロスの骨が砕ける音がして、倒れ込む。


瞬時に首に手刀を放ち、首を切断した。


血止をして【次元収納ボックス】に回収した。


宝箱を罠を確認後に開けると、又もや『遠距離通話器』が入っていたので回収してこのボス部屋で一息入れながら昼食休憩を取る。


『遠距離通話器』、これでこのマジックアイテムは2個目だ。


『美食の皿』からピザのマルゲリータの大判サイズを出して、【次元収納ボックス】から果実ジュースを出してセリーヌと食べて休憩する。


11階層から14階層迄順調に進み15階層のボス部屋に来た。


その間2箇所に罠が有り、階段を踏むと3段ほど崩れて別の次元の空間に強制的に

移送されてしまう罠も有り、なかなか油断できない作りのダンジョンだった。


15階のボスは黒竜が立ちはだかっている。


4人に向かって【火炎咆哮】を吐く準備で口に炎の玉が集結し始めていた。


ハヤトはその時間も許さず【ブリザードスプラッシュ】を放ち首から上を凍らして

ドリスが硬い首の鱗さえも切断して瞬殺する。


金色に輝く宝箱は罠もなく開けると『魔拳銃』と【鑑定】に出た。


更に詳しく見ると、どうやら魔力を流しながら引き金を引くと今でいう拳銃の弾が

発射される。


その弾の種類は引き金を引いた人間の、魔力で念じた性質の弾で、例えば当たって体内で爆発したり、殺さないが自白を強要したり、傷を治す弾など思い通りの銃弾が飛び出すチートなマジックアイテムだ。


ハヤトはこれを腰に挿すべくガンベルトを【モデリング】で作り込んでセリーヌに合わせてサイズを変えれる魔法を付与して彼女に与えた。


「セリーヌ、弓でも十分だけど咄嗟に相手を気絶させるとか、黒竜辺りを一撃で倒すにはこの『魔拳銃』を使えばもう怖いものなしだよ」


「私には『連射の弓』で充分ですが、まじかな敵のときにはこの『魔拳銃』の方が使い勝手がいいかもしれませんね!有り難く身につけて使用します」


その後16階層17階層は若干上位種の魔物だったがオークやオーガなどでアレンとドリスで難なく対処して進んだ。


18階層は久々に再生力が早く、破壊光線を放つゴーレムが出現する。


全員が【シールド】をして破壊光線を防ぎつつ相手の魔石をハヤトのスキル『魔石師』を発動して【スティール】で魔石を奪い取って回収した。


19階層ではヒュドラがおり、火を吐きつつもう一つの首は毒ガスを吐き9種類の

首がそれぞれ単独で動きつつも連携も取れる上位種のヒュドラだった。


此処でセリーヌが”連射の弓”で夫々の首の頭を矢で一瞬にして破壊して夫々の首を

アレン、ドリス、ハヤトがレーザービームで再生を防いで首の切り口を焼いた。


20階層は黒竜が2匹いる。


此処は先程手に入れた『魔拳銃』を連射してセリーヌが頭を破壊する破壊力大の魔弾を放って瞬殺してしまった。


何だか余りにもすごい破壊力の弾で通常の人ではここまで魔力を拳銃に流せないだろうとハヤトは思った!


宝箱が金色に輝いて置いてある。


罠等を確認してハヤトが開けると『100倍時間の腕輪』と書かれたメモが有り、1秒間が100倍になるため相手の攻撃が止まって見える腕輪だ。


この腕輪もセリーヌにしてもらって、あとでドリスとアレンにもハヤトがコピーを

作ってあげてはめてもらえば、ハヤトの光速体術攻撃も受けられるようになるだろうとドリスたちに伝えた。


もともとアンドロイドのドリスとアレンは人間よりは遥かに動態視力はいいのだが

ハヤトの攻撃を避けきれず体に穴が開くばかりなので光速に近い攻撃を持つ魔物では穴だらけになる可能性があった。


この腕輪をつければそれさえもスローモーションを見る感じで避けられる様になる。


20階層迄踏破したところできょうは切り上げようと言うことになり、転移盤に皆が乗って、出口まで戻って来た。


明日は今度21階層から始められるので楽だ。


ギルドの素材置き場に持ち込んで20階層迄制覇を告げて納品書を待つ。


ギルドの食堂で待つこと30分あまり、納品書ができて受付嬢に20階層まで地図

と納品書を渡したら吃驚された。


20階層迄を1日で踏破したパーティーは今だかつておらず通常は2ヶ月程掛けて

踏破できるかどうかだと驚いていた。


金額は白金50枚金貨48枚銀貨70枚銅貨55枚となった。


ハヤトのお財布に全部入れて、また明日21階層から潜りますと伝えてギルドをあとにした。



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