第7話 冒険者ランクアップ

ハヤトはアイアンカードEなので早くブロンズカードにランクアップして、長期遠征とかできるようにしたいとDランクのクエストを中心に掲示板を見ているとリザードマン5匹の討伐依頼が出ていたので、それを取って受付に持って行った。


「このクエストは未だハヤトさんには荷が重いと思いますよ」とキャロルが心配して言ってくれたが、ハヤトは「できるだけ早くブロンズカードにはなりたいので、頑張ってみます」と言って、依頼先を聞いた。


「ここから東門を出て5キロ程行った森にリザードマンが出ているそうで、商隊が何度か襲われました。このクエストはギルドからのクエストで1匹あたり銀貨20枚です。


本当に大丈夫?」と心配しながらも送り出してくれた。


東門に行くとこの街に最初に入る時に居た兵士で「おお、坊主冒険者になれたのか?頑張れよ!」と言って見送ってくれた。


ハヤトは門を出ると【身体強化(ブースト)】を掛けて5キロ先の森まで数秒で行き、自身に【シールド】を掛け、【サーチ】をする。


500メートル程中にリザードマン5匹がいる。ハヤトは気配を消して近ずき、【バリア】を5匹のリザードマンに一気に掛けて中の空気をぬいた。


バタバタと倒れ込むリザードマン、全く動かなくなったのを見計らい、【バリア】を解いてリザードマンの首の頸動脈を斬り完全に息の根を絶った。


止血の為【点火(イグニッション)】で傷口を焼き【次元収納ボックス】に入れて東門にゆっくり歩いて戻りカードを出して街の中に戻ってきた。


ハヤトはギルドの素材置き場に行きチーフのクリフォードさんにリザードマン5匹の魔物を渡した。


クリフォードはリザードマンの死体が余りにも綺麗なので驚き納品書に何やら書いてハヤトに渡した。


ハヤトは受付に行ってキャロルに納品書を渡すと、キャロルはクリフォードが書いてきたメモを見て驚いて「ハヤトさん、クリフォードさんからランクDにする様依頼付きの納品書が来たわ!物凄く綺麗な魔物でお金もプラスだけど、Eランクでは勿体ない腕前だそうよ」


「なので1匹銀貨25枚で引き取り、ランクDのブロンズカードよ!」


「ええ、本当に? 嬉しいなぁ!」


キャロルはそう言うとハヤトのカードを受け取り、新しいカードに銀貨125枚を持って来た。


「キャロルさん、このお金もカードに入れますのでお願いします!」


ハヤトはDランクカードに銀貨308枚入っているのを確認して大事に【次元収納ボックス】にしまった。


ハヤトは未だ早かったので図書館に行って魔物図鑑でも見て魔物の性質や弱点を研究しようと宿の斜め前の図書館に行った。


魔物の弱点を知れば『魔石師』のやり方にも生かされるという思いがあった。


魔物の関係は4階に置いてある。

この世界には色々な魔物がいるのは前にも魔物図鑑を見てグロテスクな生物が居るものだとわかったりもした。


今回はそれ以外に魔物の解体作業をギルドの素材置き場の人にだけまかせず自分で

もしできれば、直接肉屋さんとか魔道具屋さんに魔石や毛皮を売ってもらえると思い見てみることにした。


殺した魔物はまず最初に放血をする。頸動脈か心臓の大動脈が最適で、血抜きをしたら次に洗浄して内臓を取り出し、腹腔に溜まった血を洗い流す。


頭や尻尾や足先を切り落としたら皮を剥ぐ。枝肉などを取って、脱骨をする。


一応読んで覚えたので簡単なホーンラビットやウルフ、ファングボアなどでやってみるつもりでいる。



魔物全集を読み終えると既に昼をだいぶ回って居て、いつもの定食屋に行って少し遅めの昼食を取った。


ハヤトは再び冒険者ギルドに行き、折角ランクアップしたのでCランクの依頼を見てみる。


流石にCランク辺りになると難度が高いクエストが多く冒険者も単独ではなく、パーティで依頼を受けるのが多いようだ。


オークの群れ討伐依頼が有りそれを取って受付に持って行く。


「ハヤトさん、流石にこれは無謀ですよ!4、5人のパーティで受けるクエストですよ。群れにはオークキングも居て一人では殆ど自殺行為に等しいです」


「大丈夫です、やばかったら直ぐに逃げますから」


ハヤトは無理言ってそのクエストをうけて西門を出た。受付で聞いた場所を【地図(マッピング)】で再確認し、【ブースト】を掛けて数分で現場に着いた。


【探査(サーチ)】すると100メートル程左前面に35頭の群れがおり、中にオークジェネラル2頭にオークキング1頭が居る。


35頭を【バリア】で囲い込み、いつもの様に空気を抜いて行く。


5分弱で動かなくなり結界を解除して首の頸動脈をいつもの様に斬ってとどめをさしていったがハヤトは甘かった!


自身に【シールド】をしてなければそこでハヤトは命が無かっただろうと思われる恐怖に見舞われた!


何とオークジェネラル1頭とオークキングが息を吹き返し剣を抜いて襲いかかって来たのだ。


咄嗟に【重力(グラビティ)】魔法で2頭を地面に押さえ付けて『白兎』で首を切り落として難を逃れた。


"魔物を人間と同じ感覚で考えたら駄目だな"と反省しながら【次元収納ボックス】に入れた。


身体強化をして冒険者ギルドに戻り素材置き場に持っていきクリフォードさんに出した。


「おいおい、ハヤト!まさかこれをお前一人でやった訳じゃ無いよな?」


「いえ、僕一人で討伐しました。危なかったけど何とかやっつけて・・・」


「何とかと言う割には随分骸が綺麗じゃないか!余裕が無けりゃこんなに綺麗に狩る事などできないぜ!」


そう言ってクリフォードはまたも納品書に何やら書いてハヤトに渡した。


ハヤトが見ると何やら記号が書かれているだけで意味は分からなかった。


受付のキャロルさんに出すと驚いて納品書をマジマジ見てからハヤトに少しだけ待っていてくれと言い、2階に上がって行った。


数分待って居ると、キャロルさんが降りてきて2階のギルドマスターの部屋にハヤトを連れて行った。


「ケント様、ハヤトさんをお連れしました」


「おお入ってくれ」と低い野太い声が聞こえた。


ハヤトが「失礼します」と中に入ると目の前にはゴツイ顎髭の男性が厳しい顔つきでハヤトを睨んでいる。


"スゲ〜怖そうなオッサンだぁ"


そう思ったら顎髭の男性はクスッと笑って「ハヤト君というのかな?立ってないでそこに座って貰えるか?」


「キャロル、お茶を頼む!」


キャロルは言われて部屋を出ていき、ハヤトはケントの前の席に座った。


「来てもらったのは他でもない、ランクアップの件なのだけどクリフォードがハヤトをアップさせないとバランスが保てなくなると連絡して来た!こんな事初めてなんだよ。普通、素材解体のスタッフからこの様なコメントは絶対に出てこない、で

も君の納品する魔物、薬草はどれもほとんど痛みもなく最高級品で買い取られ、ギルドに対しての貢献度が非常に高いと言って来た」


「俺も先ほど君が討伐したオークの死体を見たけど、魔法でも『火炎系』ではないし、剣で切ったのでもないし・・・」


「あれは窒息させて気を失った直後を狙って頸動脈を切って殺しました」


「窒息させた?」


「はい、あまり手の内を見せたくはないのですが相手にシールドをかける様にして

その内側の空気を抜いたのです」


「そんな魔法が有るのか?」


「・・・・」ハヤトは無言を貫く。


ケントがハヤトをじっと見つめているとノックしてキャロルがお茶を持って来てくれた。


「ハヤト君カードをキャロルに渡してくれ!」


キャロルはハヤトからカードを受け取り、「キャロル、彼のカードBクラスのシルバーカードにしてやってくれ」


キャロルはカードを受け取り階下に降りていった。


「ハヤト君、君のステータスは色々改竄しているね、能力値の数値は随分書き換えているようだけど本当はこの世界で最強に近い冒険者なんじゃないか?」


「えええ、ギルドマスターは僕のステータスが見えるのですか?」


「私は【鑑定(アプレイザル)】のスキルを持っているからハヤト君の全てではないがある程度のステータスは見えるぞ、大分書き換えた痕跡が有るので実際の君のステータスははっきりとは分からんがね」


「そうですか、君は全魔法特性を持っているのか!それならなんとなく分かる気がするな」


「やめてください、僕はただの冒険者で色々な国を回って冒険ができれば満足です

から」


「書き換えたステータスを俺に一度見せて見ろ、ランクA、Bクラスのステータースかどうか見てあげるから」


「わかりました、随分数字を下げています」


と言って宿で書き換えたステータスをギルドマスターのケントに見せた。


「それにしても、今の時代に君がこのケープに来たことの意味が俺は知りたい!」


再びノックしてキャロルがハヤトのBクラスのシルバーカードを持って来た。


「ハヤトさん、オークの討伐依頼達成のお金、金貨20枚も入れて有るのでトータル金貨20枚、銀貨520枚になっております」


「キャロルさん、ありがとうございます」


キャロルが「ハヤト君、前にも言ったけど、冒険者は敬語はいらないわ!普通の言葉で大丈夫よ。タメ口とまでは言わないけどね!」


「”わかった、キャロルありがとう” どうでしょうか?」


「それでいいわ!」と笑いながら受付へと降りて行った。


「ハヤト君、俺も君には君を外してハヤトと呼び捨てにするぞ、その方が言いやすいからな」


「全然構いません、ケントさん」


ハヤトは今日1日だけでEランクからDランクになり更にCランクを飛ばしてBランクのシルバーカードに一気にランクアップしてしまった。


これにはギルドマスターのケントさんの【鑑定(アプレイザル)】のスキルが働いてハヤトのステータスが一部分バレバレになってしまったことも一因だった。


ハヤトは嬉しさ半分、他人に自分のステータスを見られた不安半分の気持ちで宿に向かって冒険者ギルドをでた。


夕食をのんびり食べて裏庭で素振りを5000回ほどバスターソードでして、次に座禅を組んで魔素<マナ>を体の隅々まで行き渡るのを感じながら循環させて魔力の訓練をしてからベットに横になりながらステータスの改竄作業を事前にしといて良かったと思った。


まず自分の今のステータスを見てみる。


色々討伐依頼を受けたのでレベルも上がったと思うのだが・・・


ハヤト・クレナイ 転生者  全神の加護 神の使徒  年齢16歳


<体力> 無限


<知力> 賢者


<魔力> 無限

<能力> 無限


<レベル>測定不能


【魔法】


火魔法:測定不能


水魔法:測定不能


土魔法:測定不能


風魔法:測定不能


光魔法:測定不能


闇魔法:測定不能


無属性魔法:測定不能


次空間魔法:測定不能


生活魔法:測定不能


【スキル】

 

魔石師(マジックストーン・マスター):レベル無限


結界師:レベル無限


保護(プロテクション):レベル無限


鑑定(アプレイザル)スキル:レベル無限


消滅魔法(イレージング)スキル:レベル無限


奪取(スティール)スキル:レベル無限


モデリングスキル:レベル無限


シールドスキル:レベル無限


次元収納ボックス:無限


剣術:測定不能


体術:測定不能

物理耐性:測定不能


魔法耐性:測定不能


毒性耐性:測定不能


【加護】 全神の加護



”えええ?先日見たステータスから随分変わってしまっているな!測定不能ばかりに

なってしまっている”


ハヤトは絶対に見られたらまずい『転生者』『全神の加護』『神の使徒』の部分に【プロテクショ】を掛けて更に【隠蔽】もかけ、【鑑定】ができる者からでも見られないようにした。


ランクアップに関して、これ以上上げないで只管目立たずに普通の冒険者でいこうと思った!

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