第5話 上級魔法の取得

昨夜読んだ中級魔法はほぼ実感として使える気がしている俺。


中級は初級ができればイメージを更に膨らませて威力を強くさせればできそうだ。

朝食前に『魔法全書<上級>』を読み始めた。


上級魔法に関しても中級同様攻撃魔法は中級魔法を更に強めたイメージで放てば

できそうだ。


まぁ、中には名称が違ってくるものもあるが中級を強めるイメージは全く同じなので魔力の調整でできそうだ。


ただし、『無属性魔法』に関しては色々新しい魔法が加わってきている。


これに関しては『無属性魔法全集』を並行しながら読み進めてわかった事だ。


先ず【結界(バリア)】これはなかなか取得が難しそうだ。


自分を中心にある程度の周りを守る【結界(バリア)】なのか、自分だけを守る【結界(バリア)】なのか範囲を広くしたり、自分を囲う範囲でいくならおそらく魔力の調整と範囲をイメージすればできそうだが、俺は自分だけの【バリア】の時は体の1センチ程の空間で自分を包み込む【人型バリア】を自分自身には掛けたいと思っていた。


手始めに自分を半球のバリアで囲うイメージで念じてみる。


宿の中なのであまり派手なことは出来ないが、ベッドに頭をぶつけてみる。


薄い膜のような物がベッドに当たり、俺には当たった感覚が全く無いのでこれ

は成功かな?と感じつつイメージを半球状から俺を包み込む洋服的なイメージ

で今度は試してみる。


ベッドの足に自分の足のスネを当ててみる。全く感じないのでもしかしたら成功?


でも、瞬時に自分だけと周り全体を守る盾のバリアはどう頭のなかで念じようかと悩んでいると、朝食の時間になり階下に降りて先ずは腹ごしらえにした。


朝食を食べながらも【盾(シールド)】魔法と【結界(バリア)】の違いや使い方の違いの事を考えていて結局は自分を守るのは【盾(シールド)】魔物等を囲い閉じ込めたりするのには【結界(バリア)】を使おうと決めて、自分なりのイメージを持てば問題無いと結論付けた。


この【盾(シールド)】とか【結界(バリア)】とは異質な魔法だが、俺は神様から貰った多くのスキルを早く自分の物にしようと頑張る。


【鑑定(アプレイザル)】して分かった事は、この世界の魔物達は全て人間以外は心臓以外に命と同じ程重要な魔石というものを持っており、ランクが高い魔物程魔石のランクも高い。


『魔石師』は相手の心臓と魔石を思念で持って止めたり奪い取ったりすることができる特殊な能力を持った人たちの事をいい、この世界の古代の時代に栄えた文明の古代人の中には数人がいたらしい。


離れて居る人間の心臓を念で潰して殺すことも、可能で魔物であれば魔石に念を送り自分の意のままに従魔とすることも魔石を奪い取ることもできる最強のスキルだ。


実際に魔物退治をこのスキルを利用してうまく使いこなせれば従魔使いにも簡単になれるのだ。


朝食を食べながら色々魔法やスキルの事を考えながら朝食を終えて、冒険者ギルドに向かう。


扉を開け真っ先に掲示板に歩み寄りFランクで受けられる魔物討伐を探すとホーンラビット5匹討伐クエストが有った。


討伐証明部位は角だが、毛皮や肉も需要が有り、全てギルドで買い取るという話だ。5匹討伐で銀貨10枚だ。

食肉にも使えて、毛皮や角も使えるので結構買取価格が高く設定されていた。


早速どの辺りに多く生息しているのか聞くと、町の城門の西門を出て5キロ程南西に行った草原地帯に居ると聞いて、西門に向かう。西門は俺がこの町に来た時にくぐった門の反対の門が西門だそうだ。


【身体強化(ブースト)】魔法を掛けず体力をつけるために、小走りで目的地まで向かった。


40分弱で目的の草原に着き、【探査(サーチ)】をすると50メートル先に7、8匹のホーンラビットがいた。


8匹を一度に囲い込むために【結界(バリア)】魔法で囲い込んで、バリア内の空気を抜いて窒息死させて片っ端から首の頸動脈を切り、血抜きしてから何とか全て刈りとり【次元収納ボックス】に回収した。


せっかく町から5キロも出て来たので、他の魔物が居るか【探査(サーチ)】をしてみる。


ハヤトの所から100メートル程進んだあたりにマナバイソンが3頭が草を食べて居る。


マナバイソンの突進力はすごいので先ず3頭のバイソンの足を隠れて近づき【空気刃(エアカッター)】で3頭の足を切断する。


そのあとは夫々の首の頸動脈を切り落として血抜きして【次元収納ボックス】に入れて、冒険者ギルドへと戻って来た。


「キャロルさん、依頼達成して来たのですがこちらに討伐のホーンラビットを出せ

ばいいですか?他にもマナバイソンが居たので3頭狩って来たのですが・・・?」


「マナバイソンは大きいから裏の解体などをする作業場に納品してくれる?依頼書

を出せば受領書をもらえるわ!」


ハヤトは一旦外に出て、裏にある作業場に行って討伐したホーンラビット8匹と

マナバイソン3頭の魔物を納品した。


「見かけない顔だな? 新人君か?」


「はい、昨日ギルドに登録したハヤトです。今後ともよろしくお願いします」


「おお、頑張って一杯魔物を持ってこいよ!ところでマナバイソンは綺麗な切り口

でお前、剣の達人か?」


「いえ、未だ初心者の冒険者ですが剣は小さい頃から習っていたので得意なんです」


「そうか!上等なマナバイソンだ、少し色をつけて納品書に書いてやるからな!」


「ほんとですかぁ、ありがとう御座います」


「ああ、俺はここのチーフのクリフォードだ。よろしくな!ハヤト」


「はい!こちらこそよろしくです。クリフォードさん」


俺は丁寧にお辞儀をして納品書をもらい、ギルドの受付に依頼達成書と一緒に

受付のキャロルに提出した。


「ハヤトさん、凄いですわ!ホーンラビットも8匹だし、マナバイソンが極上で

これでランクがFランクからEランクになります」


キャロルはそう言うとハヤトのアイアンカードをとって後ろの事務所に消えて行った。

暫くすると討伐依頼の銀貨50枚をくれた。


「あれっ?キャロルさん銀貨46枚じゃないの?4枚ほど多いけど・・・」


「マナバイソンの状態が凄くいいので銀貨4枚分だけ上乗せになってるわ!」


「おお、クリフォードさんのおかげだな。ありがとう、これもギルドに貯金してカードに入れてください」


「わかりました、それじゃ銀貨50枚お預かりします」


これでハヤトのカードは銀貨110枚となった。


ハヤトはこの異世界に来てすぐにランクアップは嬉しいが余り目立つのも良くないと思い、今後は地道に魔物を討伐して少しずつランク上げしようと思った。


実際には全ての上級魔法も剣技も最上級レベルだがあくまでも初心者の弱い冒険者の振りをしていようと決めた。


お昼少し前なので昨日入った定食屋に再び入ると、


「へい、いらっしゃい!あれっ昨日来てくれた冒険者のにいちゃん?」


「はい、ハヤトと言います。おいしのでまたよらしてもらいました!」


「嬉しいね、これからも贔屓にな!俺はダニーだよろしく」


「で今日は日替わり定食?」


「はい、定食でお願いします」


「あいよ!きょうはマナバイソンのステーキ300グラムだ。銅貨10枚ね!」


「はい、銅貨10枚」


暫くするとステーキにスープとサラダ、それにパンが付いて出て来た。


パンはおかわり自由なのでとてもリーズナブルな定食屋だ。


日本だと300グラムのステーキは千五百円ほど取られると思いながらたべた。


「オヤジさ、ごちそうさま。とても美味しかったです!」


「毎度ありー、また来てくれな!」


俺は手を上げてダニーに別れを告げて宿に戻って行った。


宿に戻りシャワーを浴びて汗を流し、早々に朝やっていた【結界(シールド)】を再び自分の身に纏った感じで掛けて、壁に体ごとぶつかってみる。


壁から1センチ程度手前で体が止まり、壁に当たらない。


『白兎』を出して手を切ってみるが、切れない。


つまり体がちゃんと【シールド】されているということなのだろう。


もっとも『白兎』をハヤトが構えて本気で振り下ろせば、普通の魔法師の【シールド】ぐらいは簡単に切れてしまう。


何せ、切れない物はない魔剣なのだから・・・。


次に離れた物へ【シールド】をかける練習をしてみる。


ベッドに座って、椅子に【シールド】を飛ばしてみる。


次にバスターソードを構えて上段から椅子に切りかかる。しかし椅子に当たる直前で刀が弾かれてしまう。


きちんと椅子に【シールド】が掛かって居ることがわかった。解除して元にもどしておく。


同様に椅子に【保護(プロテクション)】魔法をかけてバスターソードで斬りかかるも弾かれて【シールド】と同様に守られた。


ハヤトは【シールド】と【プロテクション】をとっさに使い分けするために、自分

を守るときは【シールド】で相手とか物とか保護や囲って捕まえるなどの場合は

【プロテクション】あるいは【バリア】魔法を使うようにすみ分けをした。


次に無属性魔法の最高峰の魔法【転移(トランスファー)】に挑戦してみる。


『無属性魔法全集』によると、一度でも行った場所でないと【転移】は出来ないと書かれて居る。


それならこの世界に神様から落とされた森の外れの所に行ってみようと思い【転移】と頭で念じると、周りの宿の部屋の景色が空間が歪み一瞬で森の外れの木の幹の側に立っていた。


再び、宿の自分の部屋205号室を思い浮かべると再び草原の景色がグニャと揺れて宿の部屋に戻っていた。


最初は乗り物酔いのような気持ち悪さを感じたが直ぐに慣れた。


【転移(トランスファー】って、凄い便利で凄い魔法だ!俺はできたことにえらく感動して暫くはベットに座って放心状態になっていた。


ただ一度行った所以外に行けない理由ははっきり座標軸が分からないからで、【マッピング】で場所がはっきり限定されて座標軸が決まれば【転移(トランスファー)】も出来るのでは?と考え、【マッピング】で知らない場所を指定して同時に【転移】をしてみる。


【マッピング】したポジションに見事転移出来た。魔法を組み合わせることで随分幅が拡がった!


次に無属性魔法で【飛翔(フライング)】をやってみる。


最初は1メートル程床から浮けるのかイメージを頭に念じて見ると床からハヤトは浮いて立っていた。


205号室の裏庭に降りるイメージで窓を開けて一応怖いので【身体強化】を掛けつつ、【飛翔(フライング)】と念じるとふわぁっと2階から裏庭に降りられた。


裏庭から今度は500メートルほど上空をイメージして【飛翔(フライング)】と念じると宿の屋根をはるかに超えて舞い上がり、横に移動するイメージでスーパー

マンの感じで飛んで見る。


最初はゆっくりにと思い徐々に慣れてかなりのスピードを出して飛んでみる。


あっという間に町を超えて3つ程の町を越えてしまい、慌てて戻って来て宿の裏庭に降りて、【転移(トランスファー)】で部屋に入った。


これで無属性魔法の転移と飛翔それに結界を完璧にマスター出来たことで俺は上機嫌だった。


ここに来てからコーヒーを飲んでいないので、宿のミーシャに声を掛けてコップを

借りてきて、コップを『美食の皿』の上に乗せて〝ホットコーヒー〝をイメージすると借りてきたカップの中にコーヒーが現れた。


少し濃いのでお湯を足してアメリカンで飲んだ。久しぶりのアメリカンの味だ!


コーヒーを飲んで頭がスッキリしたところで街に出て日常の生活に必要な物を買い出しに行く。


先ほど借りたのでまずはコップとお皿の大中小と砂糖、塩を買って来る。


残念ながら醤油とお酢は売って無かった!


長旅をして、塩などの調味料が必要になるかもしれないから。


あと、日常品でテント、寝袋を購入して、屋台でオークの照り焼き50本と果実ジュースをボトルに入れてもらって5本を【次元収納ボックス】に入れて、宿に帰って来た。

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