第4話 ギルドの初クエスト

俺は『次元ストレージ』の中身をいろいろ調べて、夕食を食べたら疲れが出たのか

すぐにベットに横になり意識を投げ出していた。


朝まだ薄暗い5時ごろ起きて、俺は学生時代から欠かさずしていた刀による

示現流紅(ジゲンリュウクレナイ)の型を中庭で【次元収納ボックス】に入っていた日本刀を持って、始めた。


しかし本当にこの日本刀は手にしっくり馴染む。日本刀に『白兎(ハクト)』と銘がしてある。


日本刀に向かって念を放ち独り言の様に(君の名前を『白兎(ハクト)』と呼ぶので宜しく)と念じるとヒヒイロカネの日本刀が返事を返すが如く白い光を放った!


示現流紅(ジゲンリュウクレナイ)の型は俺の家に代々伝わる薩摩示現流の型を基本にして大祖父が変化をつけて改良された紅家(クレナイケ)の秘伝だ。


一通り終えて、次にバスターソードで素振りを始める。


日本刀の重さの5倍強あると思うが、俺は軽々と素振りを始め5000回ほど

して終えた。


その次に『体術』の型を始める。体術も日本神話に興味を持ち始めた小学校の頃から近所の道場に通って習い、高校を出る頃には8段迄段位が上がってそこそこ全国でも10本の指に入るほどの腕前にはなっていた。


俺が習っていた体術は沖縄古来の琉球空手と合気道を融合させた古武術だ。


ゆっくり、日舞を舞うが如くまるで中国の太極拳に似ているが、突きとか手刀で斬る動作は空手に似ており、目にも留まらぬ速さで動作を繰り返す。


一通り終えて呼吸を整えながら体術の型を終えた。


部屋に入り坐禅を組んで丹田に意識を感じつつ魔素(マナ)の流れを感じつつ全身に行き渡らせてなんども繰り返し、終えた。


何となく昨日から魔法の使い方の感覚がわかりかけてきていたので更に突き詰めて

マスターすべく繰り返しその動作をした。


まだ魔法らしい魔法は何もできないが【鑑定(アプレイザル)】のスキルは使えていたようだ。


冒険者ギルドに行く前に基本的な初級魔法だけでも出来る様にしようと考え、【身体強化(ブースト)】魔法、【探査(サーチ)】、【地図(マッピング)】を宿の

部屋で実際に念じて、やってみる。


【探査(サーチ)】は魔力の強弱でサーチできる範囲が違ってくる様だ。


またサーチの魔力によって、敵対する魔物の種類もある程度わかった。


【地図(マッピング)】も同様で軽く少量の魔力だとケープの町を出るか出ないか

ぐらいの広さの範囲だった。


神様から貰ったステータスが異常なので少し【隠蔽(ハイド)】と【プロテクション】で隠して【鑑定(アプレイザル)】が出来る人が居ても大丈夫な様にレベルの数値も改竄しておく。


【名前】ハヤト・クレナイ :冒険者


【年齢】16歳


【体力】6


【知力】7


【魔力】5


【能力】5


【レベル】1


【魔法】


火魔法:Lv5


(水魔法:Lv3)


土魔法:Lv3


風魔法:Lv4


(光魔法:Lv7)


(闇魔法:Lv2)


無属性魔法:Lv4


(亜空間魔法:レベル4)


(次元魔法:レベル4)


生活魔法:レベル5


【スキル】


(次元収納ボックス:∞ 無限)


(鑑定(アプレイザル):レベル6)


武術:Lv7


体術:Lv7


(物理耐性:Lv7)


(魔法耐性:Lv5)


(毒物体制:Lv7)


(魔石師:Lv6)


(結界師:Lv6)


(全神のサービススキル:7)


( )の部分は全て【隠蔽(ハイド)】で見えなくしておいた。


とりあえず、この程度に改竄して後は経験しながら増やしていこうと朝食を食べてギルドに向かった。


掲示板を見て、Fランクができる依頼(クエスト)を見ると薬草『エノキカズラ』というポーションの素材になる薬草の採集依頼(クエスト)がある。ひと束当たり銅貨50枚でひと束はエノキカズラ10本だ。


これを掲示板から剥がして、受付に行く。


「はい、ハヤトさんおはようございます。私は受付のキャロルです。今後とも宜しくお願いいたします」


「このエノキカズラは此処から5キロほど南に行った丘の辺りに群生しております、ただこの辺はゴブリンがよく出るので注意してください」


「わかりました。それでは行ってきます」俺は出かける前に食堂でジュースを頼み

【地図(マッピング)】魔法でエノキカズラの群生している丘の場所を調べてから冒険者ギルドを出た。


【身体強化(ブースト)】で5キロ離れている丘まで数秒で着いて、【探査(サーチ)】をかけるとすぐにエノキカズラの群生地がわかり50束を刈り取り終えた。


未だ時間も有るので更に50束刈り取り帰ろうとしていたら、近くからゴブリンが10匹も出てきた。


逃げるには距離がなさすぎるので、覚悟を決めて【身体強化(ブースト)】をして

『白兎』を鞘から抜いて構えた。


ハヤトは一気に間合いを詰めて1匹、2匹と倒していき、何とか10匹を倒してゴブリンの耳をそぎ落として死体は【土(アース)】魔法で穴を掘ってその中に埋めて、討伐証明の耳を【次元ストレージ】にエノキカズラの束100束と一緒に入れて、冒険者ギルドに戻ってきた。


「キャロルさん、エノキカズラ100束持ってきました。それと途中でゴブリン10匹に襲われたので倒して耳で良かったですよね?討伐の証拠品は・・・」


そう言ってゴブリンの耳10個とエノキカズラの束100束を渡した。


「ハヤトさん、凄いわ!100束全て上級品だって!銀貨50枚とゴブリンの分で1匹当り銀貨1枚なので銀貨10枚、トータル銀貨60枚です」


そう言って、ギルドカードと銀貨60枚を受け取ったハヤトがキャロルさんに

「キャロルさん、この銀貨60枚をギルドに預かってもらえるのですか?」と聞いてみた。


「勿論です、ギルドカードに登録され、出納帳もカードを翳せば履歴がでます」


「キャロルさん、このカードを出して支払いを出来るのですか?」


「全ての店ではありませんが、大きなお店やギルド近くの定食屋や宿屋ではカードの貯金額から支払いが出来、使った分だけカード内の金額は当然減ります」


「それじゃ、この銀貨60枚をギルドに預けます」

(この世界の銀行カードみたいで便利だな!)

そう思いながら、キャロルに渡して、カードを再度提出し、しばし待って・・・


「はい、ハヤトさん確かに銀貨60枚お預かりしました。またのお越しをお待ちしております」


俺は冒険者ギルドを出て近くのいい匂いがする定食屋に行き、昼飯を食べるのだった。


未だ時間が早かったが基礎魔法くらいはマスターしておこうと宿に戻り『魔法全書(初級』を必死に読んだ。


神様がくれたスキルなのか一度読んだら全て頭に記憶され、何となく魔法も使えると確信がもてた!


早速宿の裏庭に行き初級の魔法を放ってみる。


【火球(ファイアボール) 】と頭の中で思い、手のひらを10メートル程先の木に向かって翳すといきよいよく火の玉が幹に当たり火球が当たった所から木は折れてしまった。

(ええ? 今のが初級?)

慌てて俺は木を元に戻そうとするが、折れた所から直ぐにまた幹が折れ曲がってしまう。


焦った俺は【回復(ヒール)】をやってみる。


すると手の平が光出して折れた幹が前の通り戻ってくれた!


無属性魔法は本でも未だ読んで学んでいないのに出来てしまった。

これも異世界ファンタジーの本のお陰かな?


流石に宿の裏庭を破壊してしまうのはまずいと思い、街外れの森に向った。


誰も居ないのを確認して、先程と同じ様に【水球(ウォーターボール)】と頭の中で思い、手の平を幹に向けると水のボールが勢いよく幹を砕いた。木はドサッと音をたてて倒れた。


(おかしいなぁ!これって初級の魔法のはずだけど!)


【空気刃(エアカッター)】と念じて木に向かって手を翳すと1メートルあろうかという大木をスッパっと切断してしまった。


【岩球(ロックボール)】と念じて手を木に翳すと凄い勢いで木に当たりやはり一瞬で木が折れて倒れた。


【風力刃(ウィンドカッター)】と念じて木に向かって手を翳すと疾風が吹きながら木に当たりやはり木が倒れた。しかも鋭利な刃物で斬り倒されたような切り口だった。


これで一応初級の攻撃魔法と回復魔法は出来るようになった!


俺自身は未だ気がついていないのだが、回復魔法は【最上級回復魔法(エクストラハイヒール)】で折れた木を元に復元していた事を・・・。


次に俺は初級魔法の生活に関係する魔法を色々試してみる。


汚れたズボンや汗臭いシャツ等を綺麗にする【クリーン】魔法、明かりを点けたりする【照明灯(ライティング)】、火をつけるのには少し苦労した。


【火(ファイア)】と念じると物凄い炎が出てきてしまい、魔力の調整をそれで学ぶ事が出来た。


可燃物であれば【点火(イグニッション)】と念じれば魔力調整も要らないで出来たが、魔力を大きくするのは簡単だが、小さく放つ事は意外に調整が難しかった。


何度かやって、やっと魔力の放出を抑えて自由に出し入れ出来る様になった。


次に身近だが重要な【地図(マッピング)】だ!頭の中で念じると目の前にステータスボードの様に自分がいる位置を中心に半径10キロ四方の地図が現れた。


エノキカズラのクエストの時はごく少量の魔力でマッピングを見たが、普通に念じると全部で20キロの範囲を表すことができる事が分かった。


これで初級魔法はだいたい出来ると確信した。


そろそろ戻らないと夕食の時間になってしまう。


急いで宿に戻り、夕食を食べた。オークの甘辛く煮込んだオーク煮込み定食でとても美味しかった。


部屋に戻ったハヤトは次に『魔法全書<中級>』の本を読み始め、全部読み終えると、今日の疲れからかそのまま着替えもせずに眠りについた。


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る