💔実験★動物★反逆★日記💔 世界を裏で牛耳る榎本 毅の魔科学人体実験研究所の実験体のオレは、仲間とともに、闇を暴いて、真相に迫り榎本をコテンパンにやっつけ、ミルカと幸せな日常を取り戻す(/・ω・)/!
10 死んだと思ったが、首だけで、命を繋ぎとめていた。
10 死んだと思ったが、首だけで、命を繋ぎとめていた。
どれだけ眠っていたのかはわからない。
私は意識を取り戻すと、液体の中にいた。
むろん、首からしたはない。
助かったのか。
一体だれが僕を生かしたのか。
わからない。
わからない。
わからない。
目を開けると、
「おう、目を覚ましたか。」
どうして吉兵衛がいるのか。
「
液体の中にいた、透明な、
「どうやって僕を助けたのですか、普通だったら死んでいますよ。」
首から斬られていたので、声帯もなくなったはずなのだ、どうして話せるのであろうか。
「御前を助けるのに莫大な金はかかったが、幸いなことに、御前の脳が脳死するまえに、橋 冬一の奴が、
自動修復液体とはいったい、何なのであろうか。
「自動修復液なんてきいたこともありません。」
「ああ、だろうな、一般には普及してねえ
どこで、入手したのであろうか、高価な液体だ。
「ま、こうなることは実はわかってたのさ。
「どこで、入手したんです。」
「ああ、価格が上がる前に、大量に買っておいた、のが、あるんだ。自動修復液は万能薬ではねえんだ。あくまで、神経細胞を活性化させて、長持ちさせられるだけの薬品、開発されたのは、10年ほど前さ。実用化には至らなかったし、今じゃあ、本当の
「へえ、だとしても、どこに、うん十億の金があったんですか。」
「実は、俺あ、大金持ちの子供だったんだ。いわゆる、世界の中でも、別格のね。産まれも実は外国なんだ。親の遺産が腐るほどあったってわけだ。」
はじめてきいたことだった。
てっきり、親も、僧侶をやっていて、親の寺を引き継いだのかとばかり思っていた。
「初耳だ、吉兵衛さんの親は、てっきり、
「だろうね。」
吉兵衛は、仕方のないことだといった様子であった。
「儂は、かつて、金持ちの
吉兵衛は、何歳くらいなのだろうか。
40くらいだろうか。
若くみえなくもないが、わからない。
「へえ、滅魔大明神寺はいったい、いつからあったんですか。」
「寺は、前の僧侶から受け継いだんだ。孤独な僧侶でね、後継ぎもなかったんだ。八崖 扇形いう、名前の僧侶でね、ちゃんとした人だったよ。」
かつて、吉兵衛が犯した、数多くの犯罪。
罪から逃れるためには、神や仏を信じることくらいしかできなかったのかもしれない。
「深刻な顔だな。おいらが、過去にやったことは、
どうして、吉兵衛は、言わなくてもいい、過去に犯した
「俺はア、生きていていい存在なのだろうか。いつも考える。捕まってもいい存在なんだって、裁かれなくてはならない存在なんだって、思える、どうしようもなく、恐ろしい、感覚に
あの、吉兵衛も、また悩んでいたのだ。
「はあん。時代によって、何が悪で、何が正義かは変わってしまう。吉兵衛のおっさんは、普通だったら、ムショいきで、
吉兵衛は、泣いた。
どうして、吉兵衛が泣いたのかはわからなかった。
「儂は、御前の実の父を助けたかった、母もな。もうどうしようもないことじゃ。」
「いい大人が、かっこ悪い様だな。吉兵衛。
「ま、俺の力だけでは、あの二人をどうすることもできなかったが、御前なら、何か変えられるかもしれんと思っておったのじゃ。お前の実の母、黒世は、草野丞に、やられてのち、オカシクナッタ、気が狂ってしまった。儂の前にも姿を現さなくなってしまった。心に深い闇を抱えておるのじゃ、深い心の闇が、あやつを、悪の道に走らせてしまった。」
吉兵衛は、上を見上げた。
遠くから足音がきこえた。
近づいてくる
「吉兵衛さん。彼の
若い、白衣姿の男だった。
「ああ、そこそこナイスじゃよ。」
そこそこナイスとはなんだ、そこそことは。
「おい、創戦、儂の右横に立っておる、白衣姿の男が、御前を治療し命を繋いでくれたのじゃぞ。やぶ医者の得手ノ
「どうも、創戦くん。僕は、
「いいや、御前はやぶ医者だ。人を救ったことなんてない、
「へへへ。普通の病院じゃあ、できない治療ですからねえ、へへへへへ、適当に直しておいて、また病院に来させることで、
「かー。質の悪い、お人だことー。」
また、変な人が出てきてしまった。
どうして、こう、僕の周りには変な人が集まるのであろうか。
「世界中の金持ちたちが、どうしても、助けたい命を救うときに、得手ノ坊先生の手を借りるのじゃ、彼は、
悪魔の医者。
本当に、漫画の世界によくある、医者がいたものなのだなあ。
と感心していた。
ずっと、世界は僕が思っているより、広くて、知らないことで、溢れている。
僕は、得手ノ坊先生に、疑問に思っていたことを、たずねた。
「あの、はじめまして、得手ノ坊さん。賀籠六 創戦です。どうして僕は、声帯がないのに、話せるのでしょうか、一生体はもとに戻らないのでしょうか。」
首だけになった僕。
体はもうない。
どうすればいいのであろうか。
千代さんは、きっと僕のことを心配している、ミルカさんも、賢も、学校の友達も。
得手ノ坊さんは、答えた。
「残念だが、いつも通りの変わらない日常を送るのは難しいだろうね。体は、機械人形の身体で代替はできる、人間の肌と
ああ。普通の学生生活は終わるのであろうか。
幸せだった、当たり前の日常が日常でなくなる音がした。
「中学校じゃあ、健康診断だとか、検査があるだろ、心電図もクソもねえ、機械の身体じゃあ、厳しいわなあ。電池が切れると、死ぬから、コマめに、充電もしなきゃならねえと来る。」
もう、厭だ。
ひどい。
ひどい。
ひどい。
死んだ方がましだ。
「深刻な顔をするなよ。死んだ方がましだって、顔してるぜ。おめえ。大丈夫さ。検査の時は、
得手ノ坊さんは、僕の肩に手をまわして、僕を励ました。
もう、中学校にも通えないと思っていた。
千代さんの待つ家にも帰れないと思っていた。
けれど、まだ、手はあった。
話をきいていた、吉兵衛が口を開いた。
「おめえが。留守になっていたのは、本の10日ほどだ。どうにでも、説明はつく。」
ああ、まるで、十年以上の時に感じられたが、たったの、10日程度しか、経っていなかったのか。
にしても、中学生が10日以上も、いなくなったと来れば、大騒ぎだろう。
育て親の千代さんにも言っていないことだ、どう説明すればいいのやら。
「女と遊んでたって言えば、いいじゃあないか、旅に出てたでもいいか。」
吉兵衛が厭な笑みを浮かべた。
女と遊んでいないし、仮に遊んでいたとしても、中学生が学校を休んで、育て親から姿をくらませてもまで、することではないし、未成年が、大人の女と、10日も家を空けて遊んでいるのは犯罪ではないのだろうかと思った。
「犯罪だよ。架空の女じゃないか、仮にいたとしても、女側が警察に捕まっちゃうよ。監禁してたんじゃあ、ないかってね、旅にしたって、寝泊りするお金も、ごはんを食べるお金ももっちゃいないよ。」
大人の
子供には使えない大人の詭弁だ。
「冗談だよ。ったく。」
吉兵衛はつまらなさそうにいった。
子供が、大人と恋愛をすることは許されない。
任意であったとしても、逮捕されるかもしれないことだ。
学校は恋愛においては、自由にみえて、不自由なのだ。
まだ、認識がはっきりしていない、判断能力がしっかりしていない、子供が、大人に言いくるめられて、悪いことに巻き込まれないためである。
子供は子供らしくしておけということであるし、むしろ、僕のような早熟すぎる子供の方が珍しいのだ。
世の中、異性と遊ぶのが好きな人間で溢れているが、面倒くさい不純異性交遊を楽しめるだけのエネルギーに感心するし、むしろ、結構なことだと思った。
インターネットの普及によって、ネットで出会う人間が増えてきたし、中学校で
お小遣いをもらえるらしい。
まだ働けない子供からすれば、大人の女性とできて、お金ももらえるとなれば、得しかないのであろう。
少年のことが好きな女や、少女が好きな大人が世の中にはいるのだ。
誰にも言えない、
「じゃあ、どうするんだよ。何か、いい、言い訳でも思いついたか。」
吉兵衛は困った様子で、いった。
わからない。
どう説明すれば、10日間の
僕が出した答えは、一つだった。
「だんまり、を決め込むよ。」
つまり、口を開かないということだ。
決して口を開かない。
何があったのかも言わない。
元通りの日常を何もなかったことにして過ごすのだ。
「ふうん。お前らしい、答えだね。」
吉兵衛は、うなずいた。
都合の悪いことは黙っていればいいのだ。
便利な権利だと思う。
僕は嘘つきにはなれない。
僕は正直ものだ。
できるだけ、嘘をつかずに、済ませられればと思う。
時に、人間にとって、嘘は必要かもしれないけれど、愛のある、優しい嘘に限られる。
「御前は、真面目過ぎる、いい意味でも悪い意味でもな。もう少し、自分勝手に、羽目を外して生きていてもいいんだぜ。俺なんて、本来、生きていることさえ、許されちゃあならねえ存在なんだ。」
吉兵衛は心配そうに、僕をみた。
「僕は、そういう人間なんだ。」
「君の嘘は、悪い気がしない。君は自分を犠牲にした嘘しかつかないんだね。早死にしちゃうよ。」
吉兵衛は、昔そうとう、悪いことをしていたのであろうと、思った。
吉兵衛が若い頃は、犯罪ばかり犯していたのであろうと、思った。
だからこそ、吉兵衛は現在、仏や神に仕えているのかもしれなかった。
若い頃の反動で、丸くなったのかもしれなかった。
「僕は普通になりたい。普通に生きていられれば、それでいいんだ。」
「そうかい。」
吉兵衛と僕が話し込んでいると、得手ノ坊さんが、話を遮って割って入ってきた。
「おい。おめえら、どうでもいい下らねえ話は、やめなあ。機械人形の身体ができた、さっそく、創戦くんの、脳の神経回路につなげるよ、しばらくの間意識を失うが、じきに、意識が戻ってくるはずだ。」
いったい、どういう技術力があれば、できるのかもわからないが、別の身体を動かすことができるようになるらしい。機械の身体と首を繋げて動くようにするのだ。
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円柱・・・平面上に,平行な2直線 a,bをとり、aを軸にして回転したとき、bがつくった回転面のこと つまり、デカルト平面において、aぶんのxの2乗足す、bぶんのyの二乗=1の方程式で表せる図形のこと。
声帯・・・脊椎動物の咽頭と気管の狭間に位置する喉頭の上部にある気管で、発声を司る。
自動修復液・・・架空の液体で、実験動物反逆日記という作品においては、細胞を活性化させ、長持ちさせる液体。
PTSD・・・
神経細胞・・・神経系を構成する細胞、機能は情報処理と情報伝達に特化している。ニューロンともいう。
僧侶・・・仏の道を教え広める者、他の宗教を教えるものにおいても用いられることもある。
富裕層・・・一定以上の比較的大きな、経済力、購買力を持った人たちの事。
薬剤・・・薬のこと。
神髄・・・そのものの本質。
聖人・・・徳が高く、人格が高潔で、他の模範となる人の事。
容態・・・病気の具合
黙秘権・・・供述したくないことに対して、沈黙する権利、沈黙して不利益を受けない権利。
やぶ医者・・・適切な診療能力や治療能力を持たない 医師
闇医者・・・医師免許を持たず、非合法で医療行為を行う医者
偽造・・・偽物のこと。
心臓・・・血液循環の要となる器官のこと。
血管・・・血液を送るための管
趣味・・・繰り返し行うこと、熱中すること、物の持つ味わいや趣を観察すること。
失踪・・・
神経回路・・・ニューラルネットワークのこと。
不純異性交遊・・・結婚前の男女がしてはいけないとされている行為のこと
詭弁・・・間違っていることを正しいと証明すること。
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