No.2
明るい秋がくると暗い秋がくる。冬が完全に訪れるまでの間、季節はいそがしいのか、はたまたゆっくりなのか、いつもわからずじまいだ。わたしは午後の習慣でなじみの店で食事をした後、うろうろと通りをぶらついていた。
頭上を黒いカラスが、ふっくらとしたお腹を見せて、風景に絵の具のあとをぐっと押しつけるようにバサバサと飛び去っていった。やれやれ。イメージのとりこの習慣までもがこびりついてしまったか。
わたしはポケットに手を入れながら嘆息した。
黒い羽根のカラス。秋の黄色い葉。枯葉に埋もれた濃い緑。赤い車。――そんなものを生きがいにして生きるわけにはいかない。
わたしはおもむろに、入口のガラスが影のようにくぐもったレコードショップに入っていった。
店の名前は"Grey December"
わたし向きの店だ。
「Grey December」
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