君に私はまだ早い!!~保健室の先生として働いている私なのですが、まるでラブコメの主人公の如くモテまくる男子生徒に言い寄られて困っています。私は一体どうしたらいいのでしょうか?~
第28話 恋愛脳、強制矯正相談室 Vol.5
第28話 恋愛脳、強制矯正相談室 Vol.5
「そっか……会長さんの告白も断ったんだね……」
「はい……でも、想いは伝える事ができました。ずっと尊敬してるって……たぶん、先生に発破をかけられなかったら言えなかったと思います。ちゃんと向き合おうとしたから、悔いなく終わる事ができて……だから、その……ありがとうございました」
「あはは、お礼を言われる筋合いなんてないよ、教え導くのが教師の仕事だし……それに、七月君が頑張ったから、全部上手くいったんだと思うよ? きっと、会長さんも真剣に考えてもらえて嬉しかったはず」
「そう……ですかね?」
「もちろん!」
「何か……難しいですよね」
「というと?」
「皆が幸せになれればいいのに、絶対にそうはならないんだなって思って。誰かの幸せは誰かの我慢でできるし、誰かの悔しい思いで誰かの喜びができるようで……世の中って不条理ですよね」
「あはは、随分また難しい事考えてるね」
「方法ってないんですかね? 皆が幸せになる」
「うーん……あるって言いたいところだけど、実際のところは難しいよね。ましてや、一人二人の人間がそれを願ったところで絶対に実現しないよそれは」
「やっぱり……」
「だから、私達にできる事って、自分が一番幸せになる方法を考える事だけなんだと思う。誰かを喜ばせれば、誰かが傷つくっていう仕組みは覆せない。だったら、せめて自分だけでも幸せになったほうがいいよ。それが一番手っ取りばやくみんなが幸せになる方法だと思う」
「でも、自分に正直に生きてたら、より深く誰かを傷つけることに……」
「じゃあ、仮に七月君が自分の気持ちを偽って会長さんや森原さんと付き合ったら、彼女達は喜ぶと思う?」
「……思いません」
「だよね。最初は良くても、嘘に気付いてしまった時により深く傷ついちゃうと思うよ。だったら、真剣に向き合ってフラれた方が何倍もいいよ。その経験が、これからの彼女達を支え守っていくものにもなるし。だから、それをしてくれただけで、君は凄いし、正しいと私は思うよ」
「そう……ですね……はい……先生の言う通りかもしれないです」
「だから、七月君がしっかり女の子達に向き合ってくれて、私は嬉しいし誇らしいよ。いい教え子を持ったなったって、そう思う。」
「そんな……照れるんでやめてください……でも、やっぱり先生は凄いですね。なんかこう、考え方が大人っていうか……」
「あはは、そりゃあ、君よりも何年も長く生きてるからね」
「すいません、この前、尊敬できないとか言っちゃって。やっぱり、先生は俺の……ん?椅子の下、何か落ちてますよ?」
「えっ? ………あ」
「何ですかこれ……」
「あ、ちょ、待っ、」
「……これ、俺が女装してる時の写真じゃないですか。しかもこの解像度……スマホとかじゃなくていいカメラで撮って、ご丁寧に現像までして……一体どういうつもりですか」
「あ……あはは~……えっと……これはあの~……」
「……やっぱり尊敬できないです」
「い、いいじゃん写真くらい!」
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