4話 異世界に来た者達

召喚されて来た者達は3人いた。召喚されて鑑定し彼らの能力は確認されていた。


一人は直接戦闘や魔法の能力に秀でていた。生存能力が高くそしてスキルも応用性が高かった。だから彼を【勇者】と呼び称え彼らのリーダーにした。


一人は回復やサポートするのに秀でていた。彼女は回復魔法や味方を強化するバフをかけることができた。だから彼女を【聖女】と呼び称えた。


一人は守る事に特化していた。彼は守るスキル能力が高く、味方を守る事に関して強い能力を持っていた。だから彼を【守りの英雄】と呼び称えた


彼らは帝国の城で保護されこの世界の事を教える為私は教師役として抜擢されてしまった。


「私はこの帝国に仕える魔道士のグレイラットと申します。皆さんの教師を任されました。これから宜しくお願いします。」


私は城の一室を教室にして彼らにこの世界がどのような世界か教えに来ました。彼らは幼い顔立ちで不真面目そうに私の紹介を聞いていました。


召喚された時にざっとした説明を受けてはいるものの彼らはまだまだ理解しきれていないようです。この世界の厳しさを。


聞くに彼らの世界には戦争がなく魔物も外敵もいない平穏な世界なのだとか。魔法すらもない世界。完全にこちらとは違う異質な世界。

彼らは魔法や魔物を空想の物体として認識していたそうです。彼らは彼らのとこの空想の世界とここが同じものだと認識しきっていた。


似た部分があるからと言ってもそれとここが同じであるかなどきちんと情報を精査してすりあわせてみないと分からないのと言うのに。なのに彼らは決めつけていた。そのようにしか理解出来なかったのだろうがまずは情報をきちんと確認して欲しいものだ。


「皆さん、貴方方はこの世界についてなにも知らない、なにも理解していないのです。きちんと理解して頂かないと、うっかり死んでしまいます。貴方方の世界と違ってこの世界は死が身近な存在です。意地悪な悪友のように付き纏ってくるのです。そうして同じ世界へ引き摺り込もうとずっと手招きしているのです。」


私は甘い考えを持つ彼らにそう説明してみせた。


「俺たちにはチートがあるんだ!この力さえあればなんでもなんとかなるさ!!死ぬ訳ないって!!俺ら最強だし!」


彼らは完全に天狗になっていました。


元いた世界の時より何倍もの強い能力を得た為か完全に調子に乗っている。


「この世界では寿命を全うするまで生きられる人間は極一部だけです。大人になるまで生きられる子供は10人に1人です。貴方方と似たような能力を持った人もいましたが、彼らも志半ばで死んでいきました。この世界ではどのような能力があろうとも油断すれば死に直結するのです。」


まだ甘い考えをしている様子の彼らに諭すように語りかけつつ説明をしました。


「では、より理解して頂くために1からこの世界について説明させて頂きます。よく聞いて下さい。真面目にお聞きになって下さい。どれもこの世界で生きるのに必要な情報です。


この世界には凶悪な生物が沢山存在しています。魔物とは、魔力によって生み出され形成された生物です。魔物には実態を持たないものや不死の存在もいます。魔獣、魔力やスキルを扱える獣です。魔力によって変異した獣が多いです。」


私は魔法で幻像を浮かばせながら説明しました。


「この世界には魔法があります。これの扱いはとても難しく自由自在に扱う事は難しい事です


大気中の力を操り大気中に存在する事象を魔力によって引き起こし、世界の法則を見出し、扱うのが魔術です。


魔法は自らの魔力を操り特定の現象を起こしたり、魔術の応用を行うのが魔法です。


これらを行うには知識が沢山必要です。より優れた術や魔法を扱うには必要不可欠なのです。


だから魔法使いを目指すものは知識を求められます。そうして認められた人間だけが魔道士となれるのです。


貴方方も魔法は使える筈ですのでしっかり勉強するとよいでしょう。より強くなれ色んな事ができるようになるのだから。貴方方は適正がありますからね。


一応こちらからも魔術を教えはしますが時間はいくらあっても足りません。この世界にはスキルがあります。努力すれば得られるもの、先天的に与えられているもの、なにかのきっかけで得られるもののその3つです。


貴方方は召喚をきっかけに得られたものですね。強力なスキルが多いのでそれらを使える気分はとても良いでしょうが…、まずは使い方を学ばなければなりませんね。」


はやくスキルを使いたいと彼らは期待に目を輝かせている。


「スキルの中には戦闘スキルや魔法系スキルなどがあります。スキルを使うにも魔力が必要なものが多いです。


行使するにも知識がなければうまく使いこなせないでしょう。なにも知識ないまま使おうとするとスキルに振り回される事になります。


まずは自分のもつスキルについて知る事と扱い方を学ばなければなりません。魔術を使うにしろスキルを使うにしろ己の魔力を感じられるようになる事がまず必要ですね。」


煩く盛り上がって意気込む彼らを見やりながら抑えるよう説明しました。


「なので学ぶ前にスキルを使おうなどとあまりお考えにならない方がよろしい。貴方方のは強力な分一歩間違えると肉体や精神等に強い負担を与え体が壊れたりしかねません。」


スキルを行使したがってる彼らに再び注意をする。


「なあ!早くスキルを使わせてくれよ!!」


…駄目ですね。話を真面目に聞いていない。

はあ…。これからが思いやられます…。

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