嘘だと言ってくれ

でも、こんな時に限ってシフトが重ならなかった。


そのまま2週間近くが経った。


シフトが重ならすぎて、おかしいと思った。


テスト期間はこの間終わった筈だし…。


もしかして、完全に避けられてる…?


そんな風に考え、世界の終わりかの様に1人でシュンとなっていたが、ある日、バイト先の出勤表を見て驚いた。


葵の出勤日がない。


なんだこれ。


これは、流石に変だ。


「店長、葵、どうしたんですか?全然バイト入ってないじゃないすか。」


この日一緒だった店長に聞いた。


「お前、聞いてないのか?」


店長が妙に神妙な顔をして聞き返してきた。


「何をですか?」


「…ひまわり君のおばあ様、亡くなられたらしいんだよ…。」


「え…?」


嘘だろ。


つい2~3週間前に、会ったばかりなのに。


「持病が急に悪化したらしいんだ。学校から帰ってきたひまわり君が、部屋で倒れているおばあ様を見つけたらしい。バイトは、葬儀等の関係もあって暫く休む事になったんだ。」


俺は絶句した。


信じられない。


信じたくない。


誰か嘘だと言ってくれ。


茫然自失とした俺の様子を見た店長は、俺にメモを渡した。


「個人情報だからこういうのはあんまり良くないんだが、今は非常事態だ。行ってやれ。」

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