明日も君が笑顔でいるために。

マジで何をしているのでしょうか

Side 朔也

あの日。

俺が勢いで葵に告ってしまったあの日。

一方的に言いたい事だけ言って、逃げるようにその場を走り去ってしまった。

マジで何をしているのでしょうか俺は。

連絡したいと思ったけど、なんて連絡すればいいか分からなくて、LINEの文字を書いては消して、ようやく送ったのは、「よ、元気？この間はなんかごめんな。」なんて間抜けな文章だった。

でも、返事はなく、既読にもならなかった。

この日は、バンドの練習日で、クジや他のバンドメンバーと久しぶりに会った。

「ライブ、もうすぐだな。」

練習の合間に、クジが言った。

「あぁ、そうだな。」

「お願いしてた歌詞、書けた？」

「うーん、まぁぼちぼちかな。ライブまでに間に合うか微妙なところだけど…。」

「まぁ、今回のライブは前座だし、尺的に1曲までだから、既存曲でやろうと思ってるよ。新曲は今日は音合わせだけして、お披露目はまた次回だな。」

「おう、歌詞書くの遅くてすまん。」

「かまわんよ。いきなり頼んだの俺だし。てか、お前、なんか今日ぼーっとしてんな。大丈夫か？」

「あーそうかな。うん、実は好きな人が出来てさ。」

「え、マジで？」

「うん。で、勢いで告って返事も聞かずに"忘れてくれ"なんて言って、逃げてきちゃった。」

「何してんだよお前！」

本当だよ。

「ははは…」

もう笑うしか無かった。

「まぁあれだな。脈はありそうなのか？」

「脈アリかどうかなんて、考えるだけで不整脈になりそうだよ…。」

「何うまい事言ってんだよ。連絡はしたのか？」

「LINEしたけど、未読のまま。」

「会って直接話すんだな。」

「でも、去り際に"忘れてくれ"なんて言っちまったし。正直、俺の事、そういう風には考えてないと思うんだよな…。」

「そんなの分からないだろ。向こうも色々考え込んでるかもしれないぜ。」

クジに言われ、まぁそうだなと思った。

葵の気持ちはやっぱり知りたいし、色々考えさせているとしたら申し訳ないと思う。

もし、無視されているのだとしたらヘコむけど、会って話さないとわからないままだし。

次にバイトで会った時に話をしよう。