絶賛混乱なう

数日ぶりに葵とシフトが一緒になった。


葵はテスト期間だったみたいで、バイトを数日お休みしていた。


なので、会うのは、家にお邪魔した日以来1週間振りだった。


暇な時間帯に入ると、葵が話しかけてきた。


「一緒にシフト入るの久しぶりだね。」


「え、あぁ。そうだな。」


「サクは、ずっとバイトしてたの?」


「え、あ、うん。バイトしたり、教員免許の勉強したりとか…。」


「そっか、勉強順調?」


「あ、あぁ、まぁぼちぼち?」


し~ん。


「サク、何かあったの?」


葵が聞いた。


「な、なんで?」


俺が聞き返した。


「だって、何か変だよ?ずっと挙動不審だし。」


そう。


俺はこの日めちゃめちゃ挙動不審だった。


自分で分かってるけど、気をつけようとすればする程おかしくなってしまう。


あの出来事があってから、必要以上に葵を意識してしまっていた。


まるで、女子と初めて話をした思春期の男子のように、何をどうしたらいいか分からなくなっている。


俺だって恋愛経験はそこそこある。


なのに、こんなに自分がおかしくなるなんて初めてで、動揺している。


もはや、自分が自分でないような感覚すらある。


「そ、そうか?」


「うん、絶対変。疲れてるの?」


葵が心配そうに俺の顔を覗き込む。


そんな可愛い顔で俺を見ないでくれ…!


「…疲れてる、いや"憑かれてる"のかも。」


俺の意味不明な返しに、葵は少し考えてから言った。


「あ、幽霊的なものに"憑かれてる"ってこと?ごめん、ちょっと僕霊感ないからそういうのはわからなくて…。おばあちゃんなら分かるかも知れないんだけど…。」


「いや真面目に答えなくていい!自分で滑ったの分かってるから追い討ちかけないで!」


こんな感じの俺。


もう、ほんっと絶望的にダメダメ。

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