ひまわりのように

そして、葵と一緒にバイトをする日々が始まった。


店長が気を使って、俺と葵がなるべく同じ日になる様にシフトを調整してくれた。


葵は、週5でバイトに入った。


「働きすぎじゃね?」と俺が言うと、「本当は毎日働きたいけど…」と言っていた。


「学業に差し支えるよ?」と俺が言うと、「就職するから受験しないし、そもそも勉強ならできるもん。」とサラッと言われてしまった。


そんなこんなで葵とのバイト生活は、想像以上に楽しいものだった。


葵は、仕事覚えが早く、スポンジのように仕事内容を吸収していった。


バイト仲間からは、"ひまわり君"の相性で、めちゃくちゃ可愛がられていた。


葵より少し年上の女子大生達や、パートの奥様方から、「ひまわり君、本当可愛いよね。」「学校でモテるでしょ。」「成績優秀なんですって?才色兼備とはこの事ね。」などと持て囃され、その度に葵は顔を赤らめていた。


俺が近くにいる時は、俺に目配せで助けを求める事も多く、その度に「この子、ちょっと人見知りなところがあってまだ緊張してるんすよ~」なんて言いながら間に入ったりしていた。


「葵、バイト慣れてきた?」


2週間くらいが経過したある日、2人で検品をしている時に聞いてみた。


「うん、楽しいよ。みんな優しくしてくれるし、仕事もだいぶ覚えてきたしね。」


「そっか、良かった!」


「サクって、色んな人と仲良くなれるんだね。」


「そうか?まぁ無駄にコミュ力はあるかもな。」


「羨ましいよ。僕、あんまりノリ良くお話するの苦手だから。みんな"ひまわり君"って呼んで優しく接してくれるけど、僕どっちかって言うと陰キャだし、あだ名に合ってないって思われているんじゃないかなって。」


「はは、葵、考えすぎ!みんな、そんな事思ってないよ。葵の事を可愛い弟みたいに思っているんじゃないかな。みんな葵と仲良くなりたいんだよ。無理にノリ良く話する必要なんかないさ。葵のペースでやってけばいいよ。」


「そっか…。うん、そうだね。サク、いつもありがとう。」


葵が笑顔を見せる。


「葵、最近笑顔の事が増えたよ。」


「え、そうかな?」


「そうだよ。やっぱり笑顔が似合うよ、葵には。」


ひまわりのように明るく可愛らしい笑顔。


俺は葵の笑顔が本当に好きだ。

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