ふわとろオムライス

翌朝、俺が目を覚ますと、葵くんはもう起きていた。


掛け布団と、俺が貸した服は綺麗に畳まれてあり、葵くんは元々着ていた服に着替えていた。


「おはよう。寝れた?」


「おはようございます。はい、お陰で良く眠れました。」


葵くんは、礼儀正しく一礼した。


それに反応する様に、俺のお腹の虫がグーっと鳴った。


「はは、なんか腹減ったな。」


俺は腹を擦りながら言った。


「あの、泊めて貰ったお礼にご飯作ってもいいですか?」


「え、マジで?いいの?」


「はい、ほんのお礼です。冷蔵庫開けても大丈夫ですか?」


俺が頷くと、葵くんは冷蔵庫を開けて、使っていい食材を俺に確認した。


そして、キッチンに立つと、慣れた手つきで料理を始めた。


俺は、料理をする背中に向かって尋ねた。


「あのさ、あんまり聞くのもあれかなと思って聞かなかったんだけど、昨日、なんであんな遅い時間に駅いたんだ?」


葵くんは、少し間を置いてから、背中越しに答えた。


「友達と遊んでいたらつい遅くなっちゃったんです。」


確証なんて全然ないけど、何故か、その発言が本当のような気がしなくて、少し引っかかった。


そうこうしているうちに、あっという間の手際で料理が2人分運ばれてきた。


お礼を言って頂いた。


「え、うま!!」


一口食べて、俺はめちゃくちゃ驚いた。


こんなに美味いオムライス初めて食べた。


卵ふわとろだし。


この卵の中身がトロッと流れるやつ、テレビで見るやつじゃん。


「ほんとですか?」


「あぁ、めちゃくちゃ美味い!料理スキル高すぎない?」


「良かったです。お母さんが仕事で忙しいから、僕がいつも料理しているんです。」


「そうなんだ、凄いな!才能だよ。俺もこういう特技があればいいんだけどな、はは。」


料理が苦手な俺は、少し情けない気持ちになりながらも、葵くんの手料理を頬張った。


葵くんは、そんな俺を見て少し安心したような顔をして、自分の分のオムライスも食べ始めた。


そして、昨日買ったカフェラテを飲んでいた。


その様子がなんだか可愛くて、思わず微笑んでしまった。

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