第13話 別に俺はそういう性癖ではないが
「さっきはすまなかったな」
「いえ、俺がおかしいのは自覚してましたから」
俺は美女二人に身体を洗ったもらうという至福の時間を過ごしていたのだが、俺に毒を盛り、美女二人に身体を洗ってもらう原因を作った男で俺の叔父、月門………そう言えば名前を聞いていなかった、と一緒風呂、どころか隣に座って風呂に浸かっている。
「む?どうした?」
どうやら叔父さんをずっと見ていた様で、叔父さんが不思議そうにこちらを見て目が合った。
「あっ、えー。名前、聞いてないなーと」
俺がそういうと、叔父さんは「そういえばそうだ」と気不味そうに呟く。
「我が名は月門|日影(にちかげ)。護助、母美湖の兄で、君の叔父だ」
我が叔父、日影さんの自己紹介を俺は薄らと聞きながら、鍛え抜かれた日影さんの肉体を見ていた。
別に俺にはそういう性癖ではないが、男として叔父さんみたいな肉体美を見ると、なんだろう。感動?憧れ?みたいなものを抱く。
「改めて、君には辛い思いをさせた。すまなかった」
叔父さんはそう言って頭を下げた。
叔父さんの筋肉が動くごとに膨らんだり伸びたりして迫力が変わるから叔父さんの謝罪に集中できねぇ!?
「いえホント、俺の身体がおかしい事には自覚ありますから。大人数人を伸したりとか普通化け物だって思いますもんね!……ところで、やっぱり叔父さんは化け物とかを退治したりする人達、なんですか?」
「そうだ。退魔師、昔は陰陽師と呼ばれていた者達だ。俺は退魔師の中でも七門家と呼ばれる退魔師達を纏める家の一つ、月門家当主だ」
叔父さんはそのあと色々と教えてくれた。この世界には普通の人間には見えない化け物、所謂超常現象、怪異などが存在し、多くの者が一般人には見えないし、対処できない。
そんな化け物に対抗できるのは同じ化け物か、霊力や気力、呪力などの科学では感知できない力を持った退魔師だけだ。
だから人間に害を及ぼす化け物から一般人を守る為に叔父さん達は陰ながら化け物達と戦ってきた。
七門家と月門というのから他にも○門家がある。それぞれの家で何か役割があり、月門家は人間に化けた化け物の正体を探る為の尋問などの後ろ暗い事をする役割がある。
そしてこんな事も教えてくれた。
「我々退魔師の最終目標にして、使命がある。それは鬼を殺す事だ。昔からある使命で今も残っている使命だ。今も残っているから当然それ達成されていない」
「鬼は人間と交配し鬼の血が一部の人間に流れた。鬼の血は輸血などでどんどんと広がって行き、鬼の血を持つ者が増えている。
「鬼の血を引く者を『鬼の子』、『鬼の末裔』と呼ばれ彼らは超能力や異能力を使える」
そう言えば拘束されてる時に叔父さんが言っていたな。鬼の子がどうとか、鬼末裔がなんとか。
「話はこれくらいにしてそろそろ上がろう」
そう言って叔父さんは風呂から立ち上がり、出入りて口に向かおうとするがすぐに立ち止まる。
「ああ、言い忘れていたが。もし鬼の子が悪事を働けば化け物と同じ扱いになる。護助、絶対に人に迷惑をかけるな。妹達を悲しませたくないならな」
叔父さんはそういうと浴場から立ち去った。
「実はいい人、なのかな?」
俺は拘束されていた時と今のとのギャップに叔父さんは実はいい人なのではないかと思うのだった。
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