第11話 我が愚妹の記録 後編
まさか。まさか毒の効果ではなく、便意それも下痢による腹痛で苦しんでいたとは。いや、これも毒の効果だったのか?
「しかし……臭い!」
半妖、憑依や変化した化け物達の正体を暴く為の尋問部屋は今ではただの汚物だらけの部屋と化していた。
天井に壁、床は汚物で塗り尽くされており、俺自身も全身汚物塗れ。天井から垂れてくる汚物を躱す気さえなくなった。だって俺自身が全身汚物塗れだから避けても意味ないしな。
護助は汚物塗れの壁に顔を突っ込み、尻を突き出して意識を失くしている。あれ程の汚物を放出したのだ。生きているだけでも奇跡だ。
それに加えて妖鬼蜘蛛の毒をくらっていたのでそれも込みだと生きてる事自体がおかしい。
………ん?アレ?護助、妖鬼蜘蛛の毒を注入されたはずだよな?妖鬼蜘蛛の毒に汚物をあんなに出させる効果はなかったはずなんだが。
アレじゃあまるで超強力な下剤?では?。一応確認……………よし、ちゃんと妖鬼蜘蛛の毒だ。
「これが護助の、鬼の子の能力、なのか?」
我々退魔師、七門家の使命「鬼殺し」の最重要目標の血を受け継ぐ人間。血縁に関係なく、奴等の血を体内に取り込み受け継いだ者達の事を我々は「鬼の子・鬼の末裔」と呼ぶ。
奴等は半妖ではなく、超能力者や異能力者と呼ばれる存在で鬼の力、超能力や異能力を使う。
もし鬼の子が悪事を働けば化け物と同じ扱いになる。例えそれがどんな罪であっても。
「護助には悪い事をしたが、しかし良い事が知れた」
護助には酷い事をしてしまった。何か償いが出来れば良いな。
だが護助が鬼の子である事には喜ぶべきなのだろうか?部下の報告では護助は輸血などをする様な事はないと聞いている。つまり遺伝、それも相手は父親であるあの蛇口。
蛇口がいつから鬼の子になっていたのかはわからないが、奴は鬼の子。そして暴力団の組長とはいえ人を殺している。
つまり奴は化け物と同じ扱いとなった。我々退魔師の化け物に対する扱いは三つある。一つ、無害、刺激しなければ無害の化け物に対しては放置。一つ、危険ではあるが、従順になるのであれば式神として服従させる。一つ、危険であれば退魔師の判断で討伐して良い、もしくは討伐しなければならない。
奴は人を殺めた。人を殺めた化け物は討伐対象。
「これで、これで奴を殺す大義名分を得られた!フハハハハッ!護助、感謝するぞ。お前のお陰で奴を殺す事ができるのだからな!フハハハハッ!」
俺が笑い声を上げて、喜びを体現して、すぐに落ち着く。
「これ、どうしよう……」
俺は汚物塗れの部屋を見渡し、そして自身の身体を見た。
「流石に人を呼ばないとなぁ。でもここじゃ人呼べないし、この状態(汚物塗れの自分)で部屋を出たらそれはそれで怒られるよなぁ……。ハァ、嫌だなぁ。…………仕方ないか。おーい誰か居ないかぁ」
俺はため息を溢し、部屋を出て人を呼ぶ事にした。
ーーーーー
やっと終わった!次に進める!
次回は視点が主人公に戻ります!
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