第8話 我が愚妹の記録 前編
我が妹、月門美湖は俺の自慢だった。退魔師の中でも屈指の実力者を輩出して来た七門家が一つ、月門家に年子で生まれた妹。
容姿端麗、文武両道。退魔師としての才能も高い妹はどこに出しても恥ずかしくない。懇意にしている日門家の次期当主との婚約もあり、妹の将来は安泰だと安心していた。
実に誇らしい妹だった。妹があの男と出会うまでは。
蛇口京助。妹と同じ年齢で妹の同級生だった。
昨今で問題視されている退魔師の実力不足が目立つ中でその男はそれなりに才能がある退魔師の男。
だがまだまだ実力不足。それなのに自信過剰。妹だけでなく複数の女性に言い寄っていると言う不誠実な男。
つまり人としてはあまりよろしく無い男。それが我々月門家がその男を調査したことの結論。
妹には「しっかり人を見る目を養え」、「付き合う人間は考えろ」と忠告した。しかし妹は聞く耳を持たず婚約者を蔑ろにして蛇口と浮気する様になった。
妹は日門との婚約を破棄し、蛇口と婚約しようとしたが、当然月門家は反対。すると妹は蛇口とその女達で月門家に襲撃を仕掛けて来た。
蛇口に負傷を負わせる事は出来たが逃げられてしまい、妹も蛇口と一緒に逃げ、行方を晦ませた。
当時月門家当主であった俺達の父は娘がこんな馬鹿な事をした事に怒り狂い、精神を病まれ、俺が月門家の当主になった。昔は人々を守る為に活躍し俺達子供にも愛情を注ぐ立派な人だったのに今は見る影もなく、ぼーっとする事が多い。
蛇口は常に女達を侍らせている。複数の女性を侍らせている怪我人に絞って探せばすぐに蛇口達は見つかった。それから毎日部下を監視につけさせ、ずっと見守らせて来た。
その報告が来た時、俺は父のように怒り狂いそうになった。
蛇口は妹達以外の女性とも関係を持っていると聞いて、イライラとはしていたが俺が怒り狂いそうになったのはそのことでは無い。
あの男は愚かにもまだ我々に見つかっていないと思ってるのか逃亡生活に近い事をしている。
その一つが病院へ行かない事。
それは奴に侍っている女達も同じ事をしていた。何が言いたいのか?
つまり妊娠しても病院には行かないと言う事だ。そして奴の女の中で唯一妊娠したのは我が愚妹、月門美湖ただ一人。
妹達はあの男と暮らすボロアパートの部屋で出産しようとしていた。
妹が出産関連の教えを受けていたとはいえ、妹自身が出産するのは初めて。周りはほとんど素人ばかり。
いくら妹が霊力を操れるから身体が丈夫とはいえ、生まれてくる赤ん坊は霊力も操れない。母胎が丈夫。しかし環境は最悪。
これでは生まれてくる赤ん坊が心配だ。
そして、あろうことか。あのクズ、蛇口はその場にいない。奴は自分の女が自分の子を産もうとしているのに、側におらず、新しい女と逢引きしていたのだ!
俺はその報告を受け、
「殺す!奴を人ではなく、化け物畜生共と同じ様に殺す!」
と心の底から思った。
ーーーーー
現代ファンタジー週間ランキングが上がりました!星、フォローをつけてくれた皆様のおかげです!ありがとうございます!
今の目標はランキングを二桁代にすること!主人公を大人まで成長させること!ヒロインを作ること!の三本です!
明日もまた見てくださいね!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます