第6話 我が猛獣よ、鎮まれ! 中中編

「貴様は一体どれなのだろうな?」

「お、俺は、人間、だ……!」


俺が喋ると叔父さんは驚いた顔をした。ぐっ、痛い……!喋る力さえ使えないのか……!?


「これは驚いたまだ喋れるとはな。だがその様子だとそろそろ自我を保つのも限界のようだな。叫びたいのだろ?叫んでみろ」

「っ!?」


 そういう時と叔父さんは手に持った刀の頭を俺の腹に押し込んで来た。そして、押し込んだ刀をぐりぐりとさせてくる。


「ーーーーーー!」

「ハハハハハッ!いいぞ!その調子で正体を現せ!」


 俺が叫び声を上げると叔父さんが愉快そうな顔で笑う。ぐ、ぐりぐりは、ぐりぐりはやめろぉ!


「ーーーーー!そんなに楽しい!人を苦しめてそんなに楽しいか!」


 俺がそう聞くと叔父さんは先程の愉快そうな顔から若干不機嫌そうな真顔になった。


「人を苦しめて楽しいわけあるか。護助はあの男と妹との子であるから半妖でないことは知っている。貴様ら化け物が俺の甥っ子に取り憑いたか化けたかどっちかは知らんが、“どちらかだとしても”胸糞悪い」


 た、助かった……ぐりぐり攻撃は一旦収まった。あっ、やべ何言ってたのかあんまし聞いてなかった。


 でも最後のは聞いた。どちらかだとしても胸糞悪いって、一体何が?


「三分経った。ここからは地獄の苦しみだ。そして、これから本番だ」


 っ!?痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い!


 痛みが!?


「がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!?」

「ハハハハハ!さぁ、正体を現せ!我が甥の敵!今すぐその頸刎ねてやろう!」


 クソッタレガァぁぁぁぁあああああ!!!!


「ゼッテェ後悔するぞ!いや、させる!」

「ハハハハハ!ついに正体を現したな!さぁ化け物!俺の甥の姿ではなく、己の真の姿を見せてみよ!」


 出来るかボケ!アホ!バーカバーカ!


「ガルルルグルルルルルグリュルルッ!」

「ほほう!それが貴様の唸り声か!」


 いいえ違います。


「テメェが悪いんだぜ?テメェがコイツを、猛獣を生み出したんだから?」


 まぁ原因は叔父さんですけどこの猛獣を生み出したのは俺だな。


「さぁ我が猛獣よ!今すぐ自由にしてやる!」

「こい!」


 叔父さん刀を構えいつでも抜けるような体勢をとる。


「ブリュルルルルルルビュル、ビュリィィィィ、ブリュル、ブリュル!」

「……………」


 俺は今、解放感に満ちた顔をしているだろう。何故なら痛みの原因を外に出したのだからな。


 その猛獣を世に解き放った解放感の喜びと俺の肌にその猛獣が張り付いている不快感で泣きたくなる。


 赤ちゃんが泣きたくなるのもわかるな。これは嫌な経験だが貴重な体験だな。もう二度と体験したく無いけど。


 えっ?皆さんなんだと思ってたの?毒に冒されて身体がドロドロにされそうになっていたのじゃないかって?


 なってましたよ、腹が。腹ん中ドロドロにされて超強烈な便意を感じてましたよ。えぇ、アレはじご、く……!


 は、腹が!?痛い!痛い痛い痛い痛い痛い痛い!?


 どうして!?さっき腹痛の原因である猛獣は解き放った筈!なのに……。!まさか!双子!?


 コイツ、双子だとォォォォォォ!?


ーーーーー

現代ファンタジー週間ランキングが上がりました!星、フォローをつけてくれた皆様のおかげです!ありがとうございます!

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る