第2話 神はいた!?

く、苦しい!押し潰されるぅ!?


「ふんっ!ふぅっ!ふんっ!」

「ミコ!」

「その勢いよ!」

「あと少しよ!」


 女の踏ん張る声と別の女達の声が聞こえると同時に、俺は何かに押し出されるような感触を感じた。

 そして、さっきまで感じていた押し潰される感覚が無くなった。

 その代わりに息苦しい、それどころか息ができない!?


「オギャー!オギャー!(呼吸がっ!?空気を、!)」

「はぁ、はぁ」

「ミコ!お疲れ!」

「ヘソの切らなきゃ!」

「はい、ハサミ」


 痛ぁぁぁ!?ヘソの辺り、なんか切られた!?痛い痛い痛い!

 一体なんだってんだよ。てかっ、うっせえな。赤ちゃんの夜泣きか?


一体なんだってんだよ人が気持ちよく寝てたってのに!


「ハァ、ハァ。生まれて来て、くれた。あの人との、私の、赤ちゃん……」


呼吸とヘソ辺りの痛みで忘れていたがどうやら俺はぬるま湯どころ温い水に浸かっていたようで、そこから掴み出された。


「ア、アウ?ダァ〜?(な、なんだ?此間成人したばかりとはいえ成人した大人を追い上げるとか熊か!?)」


開きずらい瞼をなんとか開けて、見えた光景は


「あ、アゥ(び、美人……)」


涙目になっていた影響もあるだろうけど、そこに見えた光景には周りが輝くような美人の顔があった。


「アゥ、スゥ(い、意識が、急にスゥ)」


 そこで俺の意識は途切れた。


 次に俺が目を覚ました時に目に入ったのはボロ部屋と一人の男に複数の女達の姿だった?


「アゥ?」


 「なんだコレ?」と言ったつまりなのだがうまく喋れなかった。


 目覚めてすぐ病室?じゃなくただのボロ部屋ってことは、ここ異世界?


 なんて思ったがよくよく考えたら時間が経って、此処に今生?の母と一緒に来たって事なんだろう。


 最近異世界転生ものが流行ってて、俺もその影響を受けたからそう考えただけで、此処が異世界なんてことはないだろ。そもそも俺転生したのか?まぁしたんだろうな。手小さいし、


 そう言えば俺の母親って誰だ?父親はあの男一人だからわかるが、ってコイツまさかハーレム野郎か!?ぺッ(唾吐きの音)!


 てか、ここで目覚める前に母親らしき美人の顔見たな。ってあっ。横にいたよ。横で俺と一緒に寝てたわ。






 あれから5年。

 俺と母は貧しいながらも二人で協力して生きてきた。最初の頃は父の女達と母が協力して俺を育てた。


 だが俺が二歳になる頃には母さんだけを残して父から女達は離れていった。女達で分散されていた父との夜は女達がいなくなってからは母さんに父の性欲が集中した。


 俺が三歳の頃に母さんが妊娠した。しかし母さんは何故か病院には行かず、なんの設備もない、このボロ部屋で出産しようとしていた。


流石にそれは無理があると母さんを説得したが、俺が三歳児だったからか聞いてくれなかった。


こんななんの設備も助産師もいないボロ部屋で出産しようなんて生まれてくる子にも、母胎である母さんも命の危険がある。


父?あのクソ親父はクズだからなんの関心も持っていない。




「しくっ、しくっ。私の、赤ちゃん」


女の子の赤ちゃんが母さんから生まれた。しかし産声は上げず、呼吸もしない。身動き一つもしないその状況。


それは赤ちゃんが死んだと言う事だった。


「そんな……動いて、泣いて。声を聞かせて?うぅぅ」


母さんはそう言うが赤ちゃん、美怜は当然動く事もなく事も、声を出す事もない。


「美玲……」


 母さんに抱かれて垂れて下がっている美玲の手を取って、俺は涙を流しながら彼女の名前を呼んだ。


 母さんのお腹が大きくなる毎にこの子が生まれてくるのが楽しみになって来て。クソ親父が母さんに暴力を振おうとすれば俺が盾になって胎児だった美玲と母さんを守った。


男の子女の子どっち生まれてくるか?名前はどうするかと母さんと話せば、俺は「女の子なら美玲」と言って、女の子が産まれたら美玲と名付ける事が決まった。


俺がこの子の名付け親になる事で愛着は増していた。


 あぁ、神様!いるなら俺の願いを叶えてくれ!妹を、美玲の命を奪わないでくれ!俺の全てなんでもやるから!美玲を助けてくれ!


俺は無神論者だったが、この新しい生を授かっているから少しだけ神はいるのではないかと考えていた。


そんな考えがあったから俺は全力で神に祈った。涙を流し、この手に握った小さな命を「奪わないでくれ」と神に祈った。


【その願い、叶えたやろう】


 男の声が頭の中で聞こえ、俺から何かが、抜けるような感覚がした。


「オギャー、オギャー!」

「!?護助(もりすけ)!美玲が!」


 すぐ後に、美玲が泣き出した。


「あぁ!よかった!」

「奇跡だ!」


 美玲の産声に俺と母さんは美玲を挟んで抱き合い、喜びを共有した。


 ありがとう、神様!ありがとう!


 俺は心の中で頭に聞こえた声、神に向かって感謝した。


 息を吹き返した奇跡の子、マイエンジェルシスター美玲と母さん、俺の三人で支えあって生活した(クソ親父は入れない)。


 そして二年後、クソ親父が事件を起こし、前回の話に戻る。


ーーーーーーーー


フォローありがとうございます!

初のカクヨムで不安はあるけど、この物語の面白さに不安なんてないぜ!ってな自信があります!( ✌︎'ω')✌︎

30話超えるように頑張ります!てか、超えて100話行きたいね!


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