破滅フラグが一向に俺から離れてくれない!〜俺は主人公でも悪役でもないのに!?

トレント

第1話 我が人生、苦難ばかり

 我が母は男を見る目がない。


 我が母は月門(つきかど)家と言う、怪異や物怪などを退治する現代では退魔師などと呼ばれる人たちの中でも、七つの家系の一つ、月門家の娘だ。


 我が母には、日門(にちかど)輝正(てるまさ)と言う許嫁がいた。退魔師としての実力は強く、日門家次期当主の最有力候補で、顔良し、性格良しの将来性があり、理想的な旦那になってくれそうどこに出しても恥ずかしくない男だ。


 だが我が母はそんな輝正のどこが気に入らなかったのか、高校生の時に、輝正を無碍に扱い、どこの組織にも属さない野良の退魔師である別の男、つまり俺の父と浮気をしていたのだ。


 我が母は実家に輝正との婚約を破棄し、その浮気相手である父と婚約させるよう頼んだ。


 当然実家はそれを拒否、それどころか浮気相手である父が我が母以外の複数人の女とも関係を持っていると告げた。


 それに対して我が母は


「そんな事承知しています。優秀な男には複数の女を侍らすの当然です」


と。


 実家は「コイツは正気か?」と思ったが、そんな何処の馬の骨とも知らない、それどころかうちの子以外の女達と関係を持っている不誠実な男にうちの娘はやらん!と、実家は我が母に父と関係を断つように言った。


 母は当然そんな指示には従わず、父に実家の指示を伝えた。


父は


「俺達の愛を断ち切ろうなんて、なんて分からず屋なんだ!俺達で新しい月門家を作ろうぜ!」


 と父は自分の女達に声をかけ、月門家を乗っ取る為に、月門家へ攻め込む計画を建てた。

 それを母に隠して耳をつけていた実家は万全の対策で父達を返り討ちにした。


 母は当然実家から勘当され、月門家からの報復を恐れた父は母と女達を連れて実家から遠く離れた地へと逃げた。


 そこからの生活は地獄だった。

 実家が裏で何かしたのか退魔師関係の仕事を受ける事が出来なくなった父達はなんとか金を稼ごうと就職活動をするが、どこにも受からず、借金をして、それは膨らみ、父達はどんどんと落ちぶれていった。


 父から女達は離れていき、最後には母だけが残った。


 父は憂さ晴らしのように毎日母に暴力を振るった。

 当時五歳だった俺にも父は暴力を振おうとしたが、それを毎回母が庇ってくれていた。


 急に父が母に暴力を振る回数が減った。

 そして父が堅気の人間ではない人達と連むようになり、家へ連れてくるようになった。


どうやら一般人よりも強い父は堅気とはとても思えない人達にスカウトされて暴力専門家になったようだ。


ある日、父の同僚や上司の男達が家に土足で踏み入って来た。


俺や母に「あの野郎はどこに行きやがった!」と聞いて来た。


男達の会話を聞くに、父は所属していた組の組長刺して組の金を持ち逃げしたらしい。


「野郎がやったツケは野郎の女であるテメェがツケを払わなくっちゃなぁ?」


苛立っていた男達は美人な母を目をつけ、輪姦しようとしていた。


「グヘェッ!?」

「な、なんだ!?」

「ガキッ!」

「グハッ!?」

「グァッ


そんな男達を俺は叩き伏せ、


「母さん!逃げるよ!」

「へっ?」

「早く!」


 当時五歳だった俺がガタイの良い男達を一掃した事に驚いて茫然していた母の手を取って、二歳の妹も連れて家から抜け出した。









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