さよなら、ぼく
@yaseiriko
第1話
ぼくは一時保護された。理由は…まだよくわからなかった。
児童相談所で決定されたそれによって、ある日突然ぼくの人生は止まった。毎日めくられていた部屋の日めくりカレンダーを、母は泣きながら見ていた。それは後から聞いたことで、家からも学校からも突然いなくなったぼくのことを、みんな忘れて楽しく過ごしているだろう。そう思って怖かった。周りの時間だけが進んでいるようだ。きょうだいも、教師も、友達も、なぜいなくなったのかわからずにいる。わかっているのは、ぼくと親とごく一部の人間だけなのだ。
ぼくが生まれた日、母にとって人生で最高の日だったらしい。でも母はすぐにイヤになった。毎日毎日泣きやまない。丸1日泣き続けるぼくに『どうしろっていうのよ!』と泣きながら言った。いつも一緒に泣いていた。かわいいなんて思う余裕は母になかった。そして保育園でトラブルがたくさん発生し、それがおさまるどころかエスカレートしていく中で、発達障害という1つの壁にぶち当たる。
どんな子どもも母親が大好き、それは発達障害でも同じらしい。でもそれ以外の人との距離感はつかめない。そして人を、傷つけて、痛がる顔や悲しい顔をさせるが、何も感じない。だから友達はいなかった。
さよなら、ぼく @yaseiriko
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