第36話 コドクオオスギマダラカミキリの爪の先。
さて。
『そんな簡単なことで良かったの?!的タイムトラベル』の他に、発展途上惑星・地球 (当時)が星間連合と云うか銀河に与えた大きな影響が、実はもう一つある。
それは、『ロボット種の地位及び権利の向上』と云うようなものなのだが、それは一体どう云うことだろうか?
実は、発展途上惑星・地球 (当時)が加盟する以前の星間連合と云うか銀河系の多くの惑星において、ロボット種の地位などと云うものは限りなくゼロに近く、また、その権利についてはアルファケンタウリのコドクオオスギマダラカミキリの爪の先ほども無いような状態であったワケだが (嘘だと思われる方はその時代の文献やテレビドラマを見てみれば良いだろう。「奴らが存在していることにユウグレジンチョウコドクミノウスバの命ほどの意味もありませんよ」とか「この私にあんなオオツタハコバツバメバチ野郎と一緒に仕事をしろと言うのですか?!」と云うようなレベルの、目を覆いたくなるような差別表現がそれこそ繁殖期のグランダナモキイロマダラカの卵のごとく出て来るのだから)、そんな彼ら彼女らの地位・権利と云うものが、それこそまるで発展途上惑星・地球 (当時)の連合加盟・地位向上と足並みを揃えるように、徐々にではあるが、改善・向上していったと云う歴史的事実があるのである。
では、何故、そんなことが起きたのか?
これについては、連合の医師団にも参加した経験のある一人のお医者さまの話を聞いた方が話は早いし分かり易いだろう。
と云うことで以下は、荘の静公六十三年発行の『季刊・医師団』秋号に掲載された彼のインタビューからの抜粋である。
*
《(…)僕の種族は大変な長寿命で、僕自身も現在972才なのだけれど、そのおかげで宇宙のありとあらゆる場所で様々な立場のロボット種を見ることが出来た。
(…)その中には、仕事を通して大変親しくなったロボットたちもいたし、今でも友人として交流を続けているロボットたちもいる。
(…)しかし、悲しいことに、他の非ロボット種の多くは、彼ら彼女らをとにかく労働用か戦闘用に特化させようとしたがるものだと云うことも、よく分かっていた。
そう。例えば、オートマータ戦争におけるランベルト大帝のようなね。
(…)あの頃は苦しかったよ。いや、連合の医師になったからじゃない。歴史を知っていたことが僕を苦しませたんだ。
(…)でも、そう。その流れが変わるのでは?と感じたのは、例の未開、おっと失礼。(*検閲ガ入リマシタ)は差別用語だったな。
そう。あの地球と呼ばれる惑星の医療ロボット達に初めて会った時、その流れが変わるのでは?と、思ったんだ。
(…)あの星のロボット種には、他の非ロボット種にとっての良き友人・隣人であろうとする設計意図が確かに認められたんだ。
つまり、彼らの基本設計に、地球人たちの『ロボット種とも良き友人・隣人でありたい』と云う意識・考えが含まれていたと云うことなんだ。
わお!流石は (*検閲ガ入リマシタ)!!最高!!って感じじゃないかい?》
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