バラの花:決めた人
私はあなたに突き立てたい。鋭い爪を、歯を、棘を。
ええ。私はあなたを憎んだわ。恨めしかった。目の前が真っ暗になって、どうすれば良いか分からなかった。けどね、あなたと過ごしてて私、思ったの。愛しているから憎むのよ。ヴォルフィ、私はあなたを愛してる。だからこそ憎らしい。だからこそ愛おしい。気がついてみれば、そんな当たり前のことなのね。
本当に不思議なのだけど、あなたが傷つけたはずの私を、慰め得るのもあなただけだった。「男の傷は他の男で癒せ」なんて言うじゃない。ダメね、私は。あなた以外の男では。だから私はあなたが与える傷や涙を、それこそ私の宿命なのだと覚悟した。滴る血は心を壊す
あなたはどこかで私を恐れてる。だからもっと、もっと、と、私を
二人、共に歩みましょう。あなたはおバカさんで、時々本当に嫌気がさすけれど、そんなあなたを愛してしまった私こそ、愚かなのかもしれない。そうね、私たち、互いに欲の押し付け合いをしているわ。どこにでもいる、唯一無二の男女だわ。
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