バラの花:序
憎たらしい人。
きっと私はあなたを傷つけているでしょう。でも、あなただって、それがわかっているくせ離れない。私に触れる時は心して。ゆっくりと、あなたの肌を。そう、ゆっくりと。そうして滴る血のぬくもりは、あなたと私が共に在る、たしかなしるしとなるでしょう。しるしの数も数えきれぬものになった頃、あなたを愛する人々が口を揃えてきっと言う。
「モーツァルト、君は天才だ」
なんてね。
違うのよ、私はあなたに笑っていてほしいし、あなたのままで飛び回っていてほしい。昔、あなたが私の姉さんにこっぴどく振られた時、
「僕を好かぬキミなんか、僕だって大っ嫌いだ!」
ってクラヴィーアを叩いて叫んでた。
私、あの頃からずうっと、あなたのことが大好きよ。だから、私に歌わせて。あなたが紡ぐ言葉の音を。かわいいかわいい、私のヴォルフィ。
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