8話 空中戦、そして
「神か」
呟くカイエスさん。
どうやら彼女もその気配を感じたようッスね。
いまはその神様、
まあ、それは私も同じッスけど。
「はっきり言おう。その女を渡してもらおうか。従わなければ容赦なく撃つ」
奈樹さん、低いトーンながら目つきを鋭くして言うんで、意志の強さを感じるッス。
本当に容赦なく撃ちそうッス。
「容赦なくね。それじゃ、こっちだって遠慮なくやっていいってことだろう。神が相手だろうが、関係ねえ」
カイエスさんも負けじと答えているッス。
はったりではないッスね。
神様ではないッスが、神様を相手にできる力があるッス。
「……」
「……」
譲らない視線がぶつかっているッスね。
お二人が戦っている隙を狙って逃げることもできそうッスが、その場合、戦闘が激しくなって和歌子さんを転移させることが難しくなると思うッス。
私一人ならどうとでもなるんで、とにかく和歌子さんを優先して、確実に転移させなきゃならないッス。
となれば。
ブシュ────────────────────!
「!?」
「!?」
空間倉庫から取り出し、いつピンを抜いたか分からない、リングマジックのテクニックで軍用品のスモークグレネードを使ったッス。
屋内なんであっという間に灰褐色の煙が充満。
「ジュマ」
同時に、カイエスさん、奈樹さんを空間倉庫に入れたッス。
何も見えなくなって翼魔さん、機製人さんが動揺しているうちにパイソンを出し、シリンダーを自動回転。
簡易版転移魔法を発動させ、この場を脱出ッス。
脱出といっても私が
「
「了解です」
元気で誠実な声とともに、私のツインテは水色になって空中へ飛び、ビルの谷間を翔けていくッス。
待機していた翼魔さんたちが、追いかけてきてッスね。
再びスモークグレネードでこちらの行方をくらますッス。
そして。
「
「そうか、分かった」
「ジュマ、前方ッス」
「ジュマ!」
空間倉庫から和歌子さんが現れ、落下するすれ違いざまに専用転移魔法に切り替えたパイソンを向け、引き金を引いたッス。
空中で光に包まれ、そのまま消えたんで、大丈夫ッスね。
「ジュマ、今度はあっちと、こっちへ解放ッス」
「ジュマ」
指示すると、ジュマはカイエスさんと奈樹さんを空間倉庫からそれぞれ別のビルの中へ出したッス。
空間倉庫にある個別の部屋に入れたとはいえ、力を持ったお二人をいつまでも置いておくわけにはいかないんで、その処置ッスが、訳の分からない建物内への解放なんで、ちょっとでも時間が稼げると思うッス。
あとは、私が脱出ッスよ。
バシュ────────────────────。
バシュ────────────────────。
バシュ────────────────────。
「っく……」
下から青い光線。
この辺に残ってた機製人さんが撃ってきたッス。
しかも、空中を蹴って、私に迫る機製人さんもいるッス。
速い。
ジグザグにッスが、意外とくせ者ッス。
バシュ────────────────────。
バシュ────────────────────。
バシュ────────────────────。
バシュ────────────────────。
バシュ────────────────────。
空中の機製人さんも撃ってきたッスね。
私の動きに合わせて気功波を撃って動きを鈍らせ、他の機製人さんが有利になるようにしてるッス。
見事な連携ッス。
これだと回避に専念しなきゃならないんで、無理に突破できないし、私が疲れてくるッス。
「そこか、女!」
「見つけたよ……」
お二人も出てきたッスね。
カイエスさんは銀色の翼を八枚広げて飛んでいるし、奈樹さんは神様だけにそのままで浮いているッス。
翼魔さんたちも飛んできたッスよ。
このままでは、どちらかに捕まってしまうッス。
仕方ない。
一か八か。
「
「うむ」
クールな答えと同時に私のツインテは真っ赤になり魔人化。
魔力が全身を駆け巡って半分実体半分精霊みたいな状態になって、そして──。
「はあっ────────────────────!」
全方位に強烈な魔力波を放って、物理非物理に関係なく、私に近づこうとするもの、全てを押し返したッス。
そんでパイソンと入れ替えに、エンプレス・エリーとハローを空間倉庫から取り出し、真上に向かって引き金を引いたッス。
パラララララララララ────────────────────!
バチチチチチチチチチ────────────────────!
さっきの魔力波はロックオンレーダーの効果もあるんで、半径三百メートルほどの範囲で全て捉えているッスからね。
逃がさないッスよ。
しかも、今回はリミッターを解除してるんで、威力は倍増。
消費魔力は三倍増ッス。
そんなもんで、長くはやっていられないッスから、タイミングを見てエリーの射撃を
ド────────────────────ン!
魔人化した私が散射を応用し、大規模爆炎魔法を放ったッス。
ミサイルが着弾したような衝撃と金色の炎が周囲に広がって、機製人さんや翼魔さんの被弾部から内部へ侵入し、攻撃。
被弾がなかったとしても、しばらくは視界と行動を奪うことができるんで、いまのうちに離れるッスよ!
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