7話 それぞれのリーダー
予想どおり
私はすかさず右手にあるハローの引き金を引いたッス。
背中の翼魔さんと一緒に和歌子さんの
それを示すように、和歌子さんに変化はなく、翼魔さんは翼の先とか弱い部分から焼け落ちていってるッス。
このままいけば翼魔さんは抵抗もできず消えていくッスが、仲間を呼ばれているし、それまで待っていられないんで、さらに三発、強射を撃つッス。
燃焼は加速され、みるみるうちに翼魔さんはは消えていくッスね。
左手のパイソンで和歌子さんを──。
「彩!」
く。
窓やガラス戸を破って、翼魔さんたちが一斉に入って来たッス。
「ジュマ」
ジュマに声をかけ、和歌子さんを空間倉庫に入れたッス。
これでいますぐ和歌子さんが捕らえられることはないッスね。
とはいえ翼魔さんに囲まれてしまったッス。
中にいるのは十二体。
天井付近で旋回しているのが三体で、残りは私のまわりにいるッス。
その翼魔さん、六枚の翼を頭に二枚、左右の手足に一枚ずつみたいな感じで人間のように立ってるんで、なんか銃を構えた兵隊さんを連想してしまうッス。
「翼魔の信号を受けてきたが、あの娘ではないな」
言いながら女の人が入ってきたッス。
年齢は二十代前半といったかんじ。
身長は私よりちょっと大きいくらいッスね。
紺色の髪をショートカットにした、やや筋肉質ながらもスレンダーな体型をしているんで、格闘するならスピードを活かしたキレのある攻撃ができそうッス。
ギリシャ神話の彫像なんかで見かけるような衣装、キトンって言うんでしたっけ、それを着てるッスが、ミニスカートみたいに生足をだして、革を編み込んだ隙間の見えるサンダルを履いているんで、古代の西洋人みたいなかんじになってるッス。
そして、その背中には銀色の翼があるッス。
コンパクトに折りたたまれているものの、たぶん、八枚くらいはあるんじゃないッスかね。
和歌子さんを捕えるために翼魔さんたちを指揮するリーダーってことッスか。
「俺の名はカイエス。ここに女子高生がいたはずだが、お前、知らないか?」
体育会系の先輩を思わせる、どこか偉そうな口調で訊いてきたッスね。
「それは秘密ッス」
答えるつもりはないッスけど、嘘をつく気もないんで、こう答えるッス。
「ほう。言いたくないということか。ならばお前、あの人型どもの仲間か?」
「違うッス」
「ではなぜ、ここにいる」
「依頼を受けたからッスが、それが誰かは言えないッス」
「そうか……」
えっと、カイエスさんでしたか。
呟くように答えると、じっと私を見てるッスね。
「その容姿にその魔力。お前、メオウさまが言っていた、ツインテールの女か?」
おや。
この様子だとメオウさん、部下に私のことを伝えていたみたいッス。
「そうなのかは分からいッスが、メオウという人は聞いたことがあるッス」
「教えられた情報と一致する。間違いないな。そしてメオウ様は発見した場合、我らが楽園に迎え入れよと言っていた。翼をつけてな」
「……」
「女子高生の行方を知るため。加えて、メオウ様の指示に従って、お前を我らの末席に加える!」
そう叫んでカイエスさんが右手を前に向けると、周囲の翼魔さんが一斉に襲ってきたッス。
でも慌てないッスよ。
以前にやった金聖魔法による線射で──。
バシュ───────────。
バシュ───────────。
バシュ───────────。
バシュ───────────。
外から青い光線!?
いや、気功波の類ッスね。
それによって翼魔さんの四体は撃たれて消え、他の翼魔さんは私から離れたッス。
これはいったい……。
とか考えている間に、
全員、右手を添えて左手を突き出した構えをしてるんで、そうやってさっきの気功波を放ったみたいッス。
そして、いまヘタに動くと撃たれるッスね。
「ちょっといいかなあ」
ぼやくかんじで女の人が入ってきたッス。
濃い緑色のツナギに白衣を着た、二十代後半といったかんじの人。
身長は百七十センチくらいはありそうな細身で、長い黒髪をポニーテールにしているッス。
銀縁のメガネをかけているッスが、目には
だから、研究者なんだけど肉体労働もして疲れているみたいな雰囲気があるッス。
「なんだ、お前は」
振り向いてカイエスさんが、その人に訊いたッス。
「私か? 私は
やや不機嫌そうッスが、白衣を着た奈樹さんははっきりとした口調で言ったッス。
この奈樹さんが機製人側のリーダーってわけッスね。
そして、この気配。
どうやら神様のようッス。
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