6話 解呪
駅から出て二百メートルくらいは
建物の陰や、草むらに隠れて、進んで行くッス。
上空を旋回している翼魔さんは
「
「ああ。では早速、お茶をいただくとしよう」
ジュマの空間倉庫から武那さんが、念話で答えたッス。
あ、でもよく考えると、いま受け答えしているのは神様である武那さんッスが、
そんで、和歌子さんは気を失っている状態で、目も閉じているから物理的には見えないかんじなんッスけど、そこは神様。
神気の目で見てるってことッスね。
「このほうじ茶、うまいな」
「それは良かったッス」
うん?
うまいってことは、味覚もシンクロしてる?
まあ、和歌子さんの身体を動かしているんで、感覚を共有していてもおかしくないっスけど、なんか違和感を覚えるッス。
とか考えているうちに、だいたいのところに来たみたいッス。
「分かりやすくていいわね」
「そうッスね」
華彩の言うとおり、片側一車線の道路の交差点から向こうがぼやけて何も見えない感じになっているんで、そこが境い目だと分かるッス。
「それじゃあ、あそこのアミューズメントパークでやるッスか」
「そうね。解呪の時に閃光や、魔力波が発生するかもしれないからね。屋内で広い方がいいわ」
「
「了解ッス」
会話になっているッスが、華彩と武那さんは認識がないんでいまは直接、会話できないッス。
華彩の言葉は指向性があるんで基本的に私しか聞こえないし、武那さんはチャンネルを合わせた無線でのやり取りみたいなかんじッス。
必要があれば、その時に紹介するッス。
「野八、中に入るのではないのか?」
私がアミューズメントパークの入り口を通り過ぎてわきにある小道に入ったもんだから、武那さんが声をかけてきたッスね。
「いちおう保険をかけておくッス」
「保険?」
「そうッス。使わなければ放っておいてもいいやつッスよ」
そう言い名がら、私は空間倉庫から
よし。
そして、あらためてアミューズメントパークの入り口へ向かい、中へ入っていったッス。
「けっこう広いな」
「そうッスね」
一階はプリクラや、クレーンゲーム、レースゲームなんかの
二階へは左側にある階段を上っていけるようになっていて、レバーやボタンのついたゲームのアップライト筐体が並んでいるようッス。
はっきりとした数字は分からないッスが、百人ぐらいのお客さんが入っても余裕がありそうッス。
もっとも、電気が通ってないんで、薄暗く沈んだ雰囲気になっているッスけどね。
「そこの、何もない所がいいッスね。武那さん、そこに出すッスよ」
「うむ。いつでもいいぞ」
「じゃあジュマ、和歌子さんを出してほしいッス」
「ジュマ!」
ジュマの声と同時に、正座を崩したかんじで和歌子さんが現れたッス。
「さて、解呪だが、
「いや、武那さんも和歌子さんも、特別することはないッス」
そう答えて、私は空間倉庫からスピールを取り出したッス。
「それは?」
「これはコルトパイソン357マグナムのスピールカスタムになるッス。このシリンダーに解呪の
「ふむ」
「そして今度は、この
「焼き払う?」
「あ、焼くと言っても、要は排除で、炎に包まれるッスが、和歌子さんは何も感じないし、無害なんで心配はないッスよ」
「そうか。ならばいいが」
「そんで、翼魔さんから解放された和歌子さんに、今度はパイソンのシリンダーにあるもう一つの効果筒からの魔法で転送。和歌子さんを現実世界へ帰してあげるッス」
「覚醒した我がいるからな。一度、取り除かれれば、次は
「そのあと、私が
「ふむ。だが、転送の魔法を使わずとも、一緒に空間を渡れば良いのではないか?」
「余裕があればそうするッスが、翼魔さんは速いかも知れないんで、きびしいと思うッス。それぞれでやった方が確実なんじゃないッスかね」
「そういう事であれば仕方あるまい。野八、では頼む」
「分かったッス」
理解してもらえたことですし、早速、始めるッス。
右手にハロー。
左手にパイソンを持って和歌子さんに向ける。
これだけみると、射殺のシーンみたいッスね。
いちおう利き手にハローを持って翼魔さんが来ても
「じゃあ、まずは呪紋の解呪ッス」
私はパイソンの引き金を引いたッス。
ぱっと青白い光が和歌子さんの身体を包み、同時に肌から
その紋様が兵器団体さんのものッスね。
解呪の力で青い粒になって散っていくッス。
もともと目印をつけたくらいの、強くはないものなんで、簡単に効いているッス。
十秒かかるかどうかくらいで、呪紋は完全に消滅し、青い光も消えたッス。
「早いな」
武那さんも意外に思ったようッス。
でも、こっからが本番ッスよ。
ポー~ー~ー~ー~ー~ー~ー~ー~ー~ー~ー~ー~ー~ーン。
呪紋という邪魔者がいなくなって、和歌子さんの背中にある翼魔さんがその翼を広げ、仲間を呼ぶ魔力波を放ったッス。
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