🚱13 女神ファリテー?

 愛唯あおいに見えないように、白い髪をフードの中に押し込む。纏めて捻り、湿っているのでピンはなくても崩れないのでダンゴのようにして、漏れてこないようにする。


 私達を代表して、愛唯あおいが質問を続ける。こんな時でも肝が据わってるのかな。


「女神ファリテーとかに何を祈ったら私達が出て来たと言うのかしら?」

「勿論、世界の平和です」


 漠然としてるなぁ。戦争を無くす、でも、流行病を快癒する、でも、食糧難を乗り越える、でも、世界の平和に暮らす大切な事だよね。


「平和? 私達のようなただの女子高生に戦争を止めろと? 魔王でも倒せと言ってるのかと思ったわ」

「勿論、戦争を行っている嘆かわしい国もありまするが、一番の望みは、瘴気が蔓延し病が蔓延り食糧難に喘ぐ我らを、魔物や魔獣から護って欲しいのです」


 はい来たー、定番のお願い。


 いや、それ無理だよね? 私達、ただの女子高生だよ? 流行病のせいで学校へ行く事もままならない、成績不安のあるただのそれ以下の学生だよ?


「急にそんな事言われても、私達ただの女子高生に、無理な話でしょう?」

「ジョ・シコー・セーとは何でしょうか?」

「アンタ達の国には、女子高生はいないの? 女子の学生の事よ」

「おお賢者のタマゴでありましたか。それは心強い。

 何、ご心配なされるな。女神ファリテー様の御遣い様には、それぞれ加護の息吹ギフトブレス固有能力ユニークスキルを授かっておりますはずですので、安心くだされ」

「そうでした。いつまでも水に浸かっていては、大切なお身体を冷やしましょう。暖かい部屋にて、今後の話を致しましょう」


 そこはやはり有無を言わさずなのね。


 ここは、地球上のどこかではないらしい。

 女神ファリテー様を聞いたことはないし、そこは日本人に馴染みのないマイナー宗教だとしても、魔物や魔獣は空想上の生き物(?)だ。


 泉から出て、階段状になった祭壇?を降りると、女性が数人出て来て柔らかいタオルケットを肩から被せられ、別の部屋へと案内された。



 ところで、私達、元の世界に帰れるのかな?



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