電話越しの君
携帯に繋げたイヤフォンから楽しそうな声が聞こえてくる。
最近、彼女さんと別れたらしい。
「……もう一回、付き合いたいとか思わないの?」
呟く様に聞けば笑い声が返ってきた。
「思うことは思うけど、それが重りになったら意味ないじゃん。付き合うってことになって、それが理由で別れたのに」
ああ、それにっと彼は確認するように言葉を吐く。
「嫉妬ってくだらないじゃん。感情と行動はワンセットなんだよ。嫉妬したとしても、そこからどう動くかが大事だと思うんだよ。嫉妬するにしてもそこまで考えないと。……好き勝手に生きた結果、誰かが我慢するのは違うじゃん?」
「嫉妬したり、するの?」
純粋な疑問が口からこぼれる。
「んー、するよ? 嫉妬も嫌いも好きの一部でしょ? 好きだから嫉妬するし嫌いになるんじゃない?」
「哲学的なこと言われた」
「えー?」
ケラケラと笑う声が聞こえてくる。
随分と楽しそうだな。
「……じゃあ、もう恋なんてしないの?」
「うーん……それはないと思うな! だって、恋って楽しいじゃん? あ、俺と恋、してみる?」
「ふざける様なら切りまーす」
待って、と引き止める声が聞こえない様に電話を切ってから息を吐いた。
熱くなった頬を覚ます様に、冷えてる手を押し付ける。
「……ばーか……」
冗談でもやめて欲しい。
「あんたみたいな浮気者、好きになったら困るのは分かってるんだから」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます