第268話 セレーナ

 セレーナは、サファイア・レイクのビューポイントを慣れた様子で案内してくれた。

 湖の深さ、透明度、成り立ち、周りの山々について説明してくれたが、その声がオレ好みの美しいトーンなのである。

 オレは説明を聞くフリをして、セレーナの顔ばかり見ていた。


 次は15分ほど歩いて、大きな滝が見える絶景ポイントへ案内してくれた。

 そこは、湖の縁でそこから大量の水が流れ落ちる滝となっており、まるでナイアガラ瀑布フォールのような壮大な滝となっているのだ。

 セレーナは、そこでも滝の成り立ちや、幅や高さなどを詳しく紹介してくれたが、オレは上の空で、セレーナばかり見ていた。

 その後、数か所の観光スポットを見て歩き、2時間あまりのガイドツアーは終了した。


 サファイアパレスに戻ると、温泉の用意が出来ておりますと露天風呂に案内してくれた。

 男の客はオレ1人で、ステラとリリアーナは女性用の風呂に入った。

 やっぱり、温泉はいいなぁ。

 早くアクアスターリゾートの温泉が復活しないかなぁなどと考えていると、露天風呂の扉が開き、失礼しますと言う声が聞こえた。

 見ると、観光ガイドをしてくれたメイドのセレーナではないか。

「公爵様、お背中をお流しします」

 そう言って大判のバスタオルを体に巻き、長い髪を頭の上で纏めて何の躊躇もなくオレの方に近づいてきた。


「お、お、お願いします」


 露天風呂に浸かっていたオレは、慌てて前を隠しながら、洗い場の風呂イスに腰掛け、セレーナに体を洗ってもらった。


 間近に感じるセレーナの息遣いと、得も言われぬ甘い香水の匂いに、ついオレの男が反応してしまった。

 まずい、まずいぞコレは…

「前も洗って差し上げましょうか?」

 セレーナは気を使ってくれたが、流石に前を見せられる状態ではない。


「けっ、結構です。

 前は自分で洗いますから」

 動揺しているのがバレバレではないか。


「分かりました。

 他に何か御用はございますか?」


「あ、いや、今のところ間に合ってます」


「畏まりました。

 もし何かございましたら、傍に控えておりますのでお声がけ下さい」

 そう言うとセレーナは露天風呂から出ていった。


 普段から美少女は見慣れており耐性も有る筈なのだが、柄にもなく動揺してしまった。

 セレーナは、それ程までにオレ好みの『どストライク』な美少女なのであった。


 その夜、オレとステラとリリアーナの3人は、王宮が用意してくれた数々の珍しい料理と酒に舌鼓を打った。

 珍しくステラが酔っ払うほど酒を飲み、リリアーナもほろ酔い状態である。

 これもメイドのセレーナが、勧め上手だからだ。

 話術巧みにオレ達と会話のキャッチボールをしながら、心地良くもてなしてくれたのだ。


 オレ好みの超絶美少女が酌をしてくれる酒が不味い訳がない。

 いつもより飲み過ぎてしまった。


 2時間ほど経つとステラは酔い潰れ、リリアーナは風呂へ入りに行った。

 オレもセレーナに礼を言い、自分の部屋に戻って寝ようと思った。

 すると、廊下にカルロスが待ち構えており、オレにこう囁いた。

「公爵閣下、セレーナに随分とご執心のご様子ですが…

 もし、宜しければ、お部屋へ伺わせましょうか?」


 カルロスは、オレがセレーナばかり見ていたから、気を利かせてくれたのだろう。

 お部屋へ伺わせますか?

 と言うことは、つまり夜の相手を務めてくれると言うことか。

 どうするオレ。

 『旅の恥は書捨て』と言う言葉がある。

 それに『据え膳食わぬは男の恥』と言うオレの座右の銘もある。

 しかも相手はオレ好みの超絶美少女である。

 このチャンスを逃したら、恐らく次は無いだろう。


 その時のオレには『YES』以外の答えは考えられなかった。

「お、お願いします」


「畏まりました、それではお部屋にて少々お待ち下さい」

 そう言われ、オレは部屋で30分ほど待っているとドアがノックされた。

 鍵を開けて応対に出ると、そこにはセクシーなナイトウェアにガウンを羽織ったセレーナが立っていた。

「公爵様、セレーナ、お召しにより参上致しました」


「な、中へ入って…」


 セレーナは、部屋に入ると入口で三つ指付いてオレにお辞儀した。

「今宵は、公爵様のお相手を精一杯お務めさせていただきますので、宜しくお願いします」


 そう言って、上目遣いでオレを見た。

「こちらこそ、宜しく…」

 こういう事は何度も経験しているのか?

 彼女は、客人を持て成すための娼婦的な役割なのだろうかとオレは思ったが、それにしては擦れていないように感じた。


 もうここまで来てしまえば、オレの男の本能は止めようがない。

 セレーナは立ち上がるとガウンを脱ぎ、着ている物を全て脱ぎ捨てると、生まれたままの姿となった。

 その姿は美しく、まるで美の女神ビーナスのようであった。

 艶やかでサラサラな腰までの黒髪、透き通るような白い肌、細身ながら形の良い大きな胸、細く括れた腰、魅力的なヒップラインを持つ抜群のプロポーション、サファイアブルーの大きな瞳、その顔立ちは可憐で愛らしく、ひと目見ただけで、思わず息を飲むほどの超絶美少女である。


 オレは辛抱たまらず、着ているものを脱ぐと、セレーナの手を引きベッドへ入った。

 逸る気持ちを抑え、セレーナにラブポーションを渡し、効能を説明して飲み干してもらう。

 今日のオレは、酒も入り性欲全開である。


 オレはセレーナの可愛い唇に口づけし、やがて舌を絡ませるとディープへと変わっていった。

 彼女の得も言われぬ上品な香水の匂いが、オレの性欲を刺激した。

 セレーナを抱き寄せ、最初はうなじから足元まで全身に舌を這わせる。

 形の良い大きな乳房を優しく舐め、乳首を吸うとセレーナはけ反った。

 ここがセレーナのスイートスポットなのか。

 舌でセレーナの乳首を何度も攻め、頃合いを見て下の方へ少しずつ下がって行くと、そこは既に濡れていた。


 「セレーナ入れるよ」

 すると彼女は黙って頷いた。


 ♥ ♥ ♥ ♥ ♥


 その瞬間、声にならない声を発し、両手でオレにしがみついて来た。

 セレーナの顔を見ると、顔をしかめており、まるで初めて時のような反応だ。

「セレーナ、大丈夫?」


「だ、大丈夫です、続けて下さい」

 

 セレーナの中は狭く、奥へ進むには時間が必要だった。

 まだ経験が少ないのだろうと思いながら、頭を撫で、優しくキスして、少しずつゆっくりと動いた。


 セレーナの中は徐々に広がり、馴染んできた。

 頃合いを見計らい、少しずつ動きを早めると喘ぎ声の中に嗚咽が交じり、部屋の中に響いた。

  

 激しく前後運動を繰り返し、オレがピークを迎えると同時に、セレーナも絶頂アクメに達した。

 暫くはお互いの腰を両手で抱え、快感の余韻を楽しんだ。

 その夜は、深夜までセレーナと何度もセックスに耽り、いつの間にか寝てしまった。


 翌朝、目を覚ますと既にセレーナの姿は無かった。

 朝飯を食べに食堂に行くと既にステラとリリアーナが朝ごはんを食べているところで、それを給仕していたセレーナが爽やかな笑顔でオレに挨拶した。

「お早うございます、昨日はありがとうございました」


 昨日は、ありがとうって言いたいのはこちらだと思いながら、

「お早う」とただ挨拶しただけであった。


 視察が完了し、帰る時間になると、来た時と同じメンバーがオレの飛行船に乗り、帰りもまた30分と短い空の旅を楽しみ王都クリスタリアに到着した。


 オレはセレーナと別れるのが辛かったが、彼女は何事も無かったかのようにあっさりと挨拶して王宮の奥へと姿を消した。

 

 あとは帰るだけであるが、その前にレオニウス国王に挨拶して帰らねばなるまい。

 オレは謁見の間でレオニウス国王に拝謁した。


「おお、どうであった?

 気に入ったか?」


「はい、とても気に入りました、

 リゾートとしては、かなり有望だと思います」


「そうか、そうか。

 それは嬉しいのう」


「ところで、儂の娘も気に入ってくれたようじゃのう」


「は?、陛下の娘さんとは、まだお会いしておりませんが…」


「何を申しておる、昨日ずっと一緒に居たではないか」

 そう言って国王は隣の部屋に手を上げ合図した。

 すると、扉の向こうから1人の女性が姿を現した。


 それはセレーナであった。

「これが儂の娘のセレーナじゃ。

セレーナから、昨夜貴公と男女の中になったと聞いたが、責任は取ってくれるのであろう?」

 オレは、その言葉を聞き、ただ呆然とするだけで、何も言葉が出てこなかった。


「公爵様、昨日はありがとうございました」

 セレーナはオレが政略結婚の相手だと知った上でオレに抱かれたという事か。

 反則スレスレのような気もするが、手を出したオレにも確かに責任はある。

 ということで、なし崩し的にアプロンティア王国第2王女であるセレーナ王女がオレの7人目の婚約者となることが決まった。

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