第169話 忠誠の儀ふたたび

 アリエスの護衛となった女戦士ヴァルキュリーとの忠誠の儀が行われようとしていた。


 王国軍の女性エリート部隊『聖騎士隊』の二人が、オレとアリエスの専属護衛となり、絶対的な忠誠の意思を示すために女の操を捧げると言う、転生者であるオレには理解できないことであるが、こちらでは当たり前の考え方なのだ。


「カイト、2階で待ってて」

 アリエスにうながされ、オレは主寝室に付いている浴室でシャワーを浴び身を清め待っていた。


 忠誠の儀は、これで2回目であるが、思った以上に緊張するものだ。

 いつドアがノックされるか分からない緊張感に胸の鼓動が聞こえて来るほどだ。


 迎える側がこれほど緊張するのだから、ドアをノックする方はもっと緊張するだろう。

 20分ほど経った頃、ドアがノックされた。

 オレがどうぞと返事をすると、失礼しますと言って入ってきたのは、体に大判のバスタオルを巻いたレイフェリアであった。


 こうして見るとレイファリアは、確かにリリアーナと良く似ていた。

 レイフェリアは、明らかに緊張している様子で、小刻みに震えているようだった。


「レイフェリア、緊張しているみたいだね」


「はい、初めてなので、どうしたら良いのか分からなくて」


「大丈夫、優しくするから、心配要らないよ」


「はい、よろしくお願いします」

 そう言って一礼すると、その拍子にレイフェリアの体に巻いていたバスタオルがヒラリと床に落ちて、生まれたままの姿になった。


 そこには聖騎士隊の制服である白のアーマースーツ姿からは想像もできない見事な肢体があった。

 惚れ惚れするような綺麗な足、細く括れたウエスト、先端が少し上を向いた形の良い胸、やや褐色の滑らかな肌、背中までの長い黒髪、少しエキゾチックな顔立ちにコバルトブルーの瞳が印象的な美少女が、恥じらいを見せながら立っていた。


 ベッドから手招きすると、レイフェリアはオレの横に滑り込んできた。

 天井の間接照明だけを残し、他の灯りは全て消し、オレとレイフェリアは『忠誠の儀』を開始した。


 ♡ ♡ ♡ ♡ ♡


今日最初の『忠誠の儀』が終わり、ありがとうございましたと言う言葉を残し、レイフェリアは階下へと消えた。


 レイフェリアとの『忠誠の儀』の余韻に浸っていると、ドアがノックされバスタオルを体に巻いたアンジェリーナが部屋へ入ってきた。


「カイト様、ご指導のほど、よろしくお願いします」

 アンジェリーナはそう言って頭を下げた。


「ああ、こちらこそ宜しくね」


「それでは失礼致します」

 そう言うと、アンジェリーナは自らバスタオルを取ってオレに美しい肢体を晒した。


 細身だが無駄なく鍛え上げられた体、透き通るような白い肌、形の良い大きな胸、細く括れた腰、魅力的なヒップラインを持つ抜群のプロポーション、腰までの黒髪、エメラルド・ブルーの瞳を持つ美少女がそこに立っていた。


「アンジェリーナは緊張していないみたいだね」


「いえ、これでも緊張しているんです」

「でも、私の初めてがカイト様で幸運だと思いました」


「ありがとう、そう言ってもらえて嬉しいよ」


 アンジェリーナは手招きすると、オレの待つベッドへ滑り込んできた。

 これほどまでにハイレベルで魅力的な美少女を一晩に二人も抱けるとは、男冥利に尽きると言うものだ。


「準備はいいかい?」


 アンジェリーナは無言で頷き、目を閉じた。


 ♡ ♡ ♡ ♡ ♡


 アンジェリーナとの『忠誠の儀』が終わると、彼女は一礼すると部屋を出ていった。

 レイフェリアもアンジェリーナも初めてだったし、優しくすると言った手前、激しくする訳にも行かず、オレは少し不完全燃焼気味であった。


 そう思っていると、部屋がノックされアリエスが入ってきた。

「カイト、お待たせ!」

「私との『忠誠の儀』もお忘れなく」

 そう言ってオレの待つベッドへダイブしてきた。


「おいおい、アリエスはいつから女戦士ヴァルキュリーになったんだい?」


「いえ、私のは婚約者フィアンセとして『忠誠の儀』なんです」


 アリエスが婚約者フィアンセとなってから、初めてベッドを共にする夜であるが、今まではセフレみたいな関係だったから、今日は改めましてよろしく的な意味があるらしい。


「そう言うことなら、お手合わせ致しましょう」


「この前は陛下の御前で、私の我儘わがままのせいでカイトを困らせてしまってご免なさい」


「あ~、あれね、最初は困ったけど、ジェスティーナが助け舟を出してくれから、事なきを得たよ」


「そうね、ジェスティーナにも謝らなきゃ」


 ジェスティーナの2番目の姉であるアリエスは今年17歳で、明るく爽やかで笑顔が魅力的な超絶美少女である。

 透き通るような白い肌、腰までの流れるような金色の髪、見惚れてしまうほど綺麗な足、芸術的に括れたウエスト、彫像のように美しく形の良い胸、均整の取れたプロポーションは見事の一言であった。


「カイト、今夜は、私を満足させてね」


「はい、精一杯頑張ります」


 その夜のアリエスは、これまで以上に激しくオレを求めた。

 性に覚醒して、女の悦びを知ってからのアリエスは実に積極的になっていた。

 その夜、オレとアリエスは深夜まで何度も愛し合った。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「カイト、朝よ、起きて」

 次の朝、朝食が出来たとアリエスがオレを起こしに来た。

 眠い目を擦り、1階のダイニングへ行くと二人の女戦士ヴァルキュリーが元気よくオレに挨拶した。


「カイト様、お早うございます」

「昨日は、ありがとうございました」


 ありがとうございましたと言われても何と答えていいか分からず、オレは『お早う』とだけ答えて、席に着いた。


 アリエスが気合を入れて作ったと言う朝食は実に美味しかった。

 焼き立てクロワッサン、3種類のパスタ、フレッシュサラダ、ベーコンエッグ、ポタージュスープ、淹れたてコーヒーと派手さは無いが、どれも感心するほどの出来だった。


(続く)

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