第8話 夜のご奉仕サービスはポイント制!?

 プールでのんびりした後、シャワーを浴びてメインダイニングへと向かった。

 今日の夕食は、オレが湖で釣り上げた虹鱒を中心とした料理のはずだ。


「ご主人様、お待ちしておりました」

 ルイ、レイ、リイの3人の専属メイドたちが、声を揃えてオレを迎えてくれた。

 全員がポニーテール、どの娘もタイプは違うが、オレ好みの美少女だ。


 微笑みながら席に着くとソニアがこう言った。

「ご主人さま、何か良いことでもございましたか?」


「いや、自分で釣った虹鱒料理が楽しみで、つい頬が緩んでしまったよ」

 そう言って誤魔化したが、ソニアはオレのニヤけ顔の理由をお見通しのようだ。


 ほどなく虹鱒料理が運ばれてきた。

 虹鱒のカルパッチョ、レモンソースがけ

 虹鱒の香草焼き

 虹鱒のムニエル、トマトとマッシュルームソテー添え

 虹鱒とトマトのコンソメスープ

 その他にも色々な料理が並ぶ。

 どれも美味しそうだ。


 メイド達がオレのために料理を取り分けてくれた。

 するとローレンがワゴンに乗せて何やら運んできた。


「カイト様、虹鱒料理にスパークリングワインは如何でしょう」


「お~、気が利くね~、さすがはローレン」


「お褒めいただき、ありがとうございます」


「ワインセラーには、他にも数多くのワインが常備されておりますので、お料理に合わせてその都度お勧めのワインをお持ち致します」

 そう言うと、ワインクーラーでよく冷えたスパークリングワインを注いでくれた。


 ワイングラスに注いでもらって、さあ飲もうとすると…

「ご主人様、窓の外をご覧下さい」とソニアが言った。


 ソニアが指差す方向を見ると、今まさに湖の対岸に陽が落ちようとしているところだった。

 鮮やかなオレンジ色に輝く夕陽が素晴らしい。


 この世界に来て、まだ僅かであるが、このリゾートは本当に素晴らしい環境にある。

 オレはワイングラスの中で気泡を発する黄金色の液体の向こうに、オレンジ色に輝く夕陽を重ね、こう言った。

「豊かな森と湖、そして素晴らしい夕陽に乾杯」

 ちょっとキザだったかも知れないが、メイド達は拍手してくれた。


 虹鱒料理はどれも絶品で、味付けも申し分なし。

 きっと料理人の腕は、かなりのモノなのだろう。

 厨房の奥で誰が料理をしているのか見たことはないが、ソニアに頼んで料理人に会わせてもらおう。

 その後、ゆっくりと時間をかけてオレは食事を楽しんだ。


「食後のコーヒーでございます」

 そう言ってソニアが、コーヒーを運んできた。


 コーヒーの芳醇な香りが漂い、それを飲みながら食事の余韻に浸った。

 これぞ、まさにリゾートライフ、いや極楽と言ってもいいんじゃないだろうか。

 そしてこの後、夜のお楽しみが待っているはずである。


 夕食を終えて、屋上のペントハウスへの階段を上った。

 今日も晴れていたので星が良く見えるはずだ。


 ドーム型の天井を透明にしてみた。

 上空は雲一つ無い満天の星空である。

 目を凝らし星を見たが、見知った星座はひとつもなかった。


 ペントハウスの一角にはジャクジーバスが備え付けられており、既に湯が張られていた。

 オレは湯に浸かり、リラックスしながら星を眺めた。


 するとソニアと臨時専属メイドのルイとレイが入って来た。

「お寛ぎのところ失礼致します」

「宜しければ、お背中をお流ししますが、如何なさいますか?」

 ルイとレイはバスタオルを体に巻いているが、中は裸だろう。


「あ~、せっかくだから、お願いしようかな」


 ジャグジーから出て洗い場に行くと、間接照明がともり、待ち構えていたルイとレイが手際よくオレの体を洗ってくれた。


 ひょっとして、今夜もこのまま昨日のような流れになるのか?

 オレは期待に胸を膨らませながら、メイドたちが洗うに任せた。


 メイドたちの体に視線が行くとオレの男が反応してしまう。

「ご主人様、私達のことは気になさらないで下さい」

 そう言ってメイドたちは、何も見なかったようにそのまま洗い続けた。


 メイド達が気にしなくても、オレが気になるのだ。

 一連の作業を終えると、レイとルイは失礼しますと言って部屋を出て言った。

 どうやら今回は、単純にご主人様の体を洗う純粋な『洗浄サービス』だったようだ。

 オレは風呂から上がり、ラウンジでソニアが注いでくれた冷たいビールを飲みながら考えた。


「ソニア、ちょっといいかな」

 ラウンジの隅に控えていたソニアを呼ぶ。


「はい、ご主人さま、御用でございますか?」


「え~っと…

 夜のサービスって、今夜もあるのかな?」


「申し訳ございません。

 メイドたちの夜のご奉仕は、昨日ご主人さまがポイントを全部使われましたので、本日のサービスは、ご提供は出来かねます」


「え、ポイントって何の?、って言うか、あれってポイント制だったんだ」

 オレはソニアの言葉に落胆した。


「これが、ご主人さまの現在のステータスでございます」


 ソニアがそう言うと、目の前にオレのステータス一覧が浮かび上がった。


 名前 ハヤミ・カイト(男)

 年齢 18歳

 身長 180cm

 体重 70kg

 経験値レベル 3(116/300)

 HP 0 

 LP 2280

 保有アイテム 英知の指輪

 保有スキル

 ①マルチリンガル   レベル1 最大2つの言語を聞く、話す、書くスキル

 ②ファッシネーション レベル2 自分が好意を持った人が自分に好意を寄せるスキル

 ③リッチライフ    レベル3 努力の必要なく豊かな生活が過ごせるスキル

 他にも攻撃力や防御力、敏捷性など色々なステータスが書かれている。


「これが、ご主人さまの現在のステータスとポイント残高です。

 タッチパネルのように指で操作することが可能となっています」


「このステータスは、ご主人さまと私、執事長のローレン様にしか見えません」


「へ~、こんなふうに自分のステータスが見られるなんて知らなかったよ」


「現在の3つのスキルは、女神様から賜った「英知の指輪」のスキルが反映されています。

 今後は『ステータスオープン』と念じていただければ、ステータスが開きます」


「この指輪にそんな力が隠されていたなんて…

 そう言えば女神様からスキルのことを説明されたけど、すっかり忘れてたよ」


「この指輪には、まだ色々な力が隠されていますが、ご主人さまの経験値レベルが上がると、スキルのレベルも上がりますし、使えるスキルも増えます。

 まずは色々と経験されて、経験値レベルを上げるのが宜しいかと存じます。

 それとメイドたちの夜のご奉仕サービスですが、HP100ポイントで1回のサービスが受けられます。

 因みにHPはエッチポイントの略です」


 そのまんまやん、オレは心の中で呟いた。


「ご主人さまは、昨日メイド3名をご所望でしたので100ポイント×3で300ポイントをお使いになられて、現在のポイント残高は0でございます」


「1人1回100ポイントか…

 最初からそれを知っていれば、1人ずつにしたものを…

 ちなみに、そのポイントって、どうすれば増えるんだ?」

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