第9話 驚異の神テクノロジー
「イベントをクリアすればポイントは増えますが、イベントの難易度によって付与されるポイント数が違います」
「因みに、カイト様がお持ちでしたHP300ポイントは、深い森を抜けて、このリゾートを発見した時のイベントクリアによるものです」
「そう言えばここに来た時、派手なファンファーレが鳴ったなあ…
あれもイベントだったんだ。
うん、何となくシステムは分かったよ。
ところで、他にどんなイベントがあるんだ?」
ソニアはオレのステータス画面を操作した。
「このイベントタブをクリックするとイベント一覧が見られます。
イベントには【クリア済イベント】、【未クリアイベント】、【繰返しイベント】の3種類があり、タブで分かれています」
各々のタブをクリックするとイベント一覧が表示され、概要欄にイベント名と難易度、付与ポイント数が書かれていた。
一覧にあるイベント名をクリックするとイベントの詳細が表示されるのだ。
イベント一覧を見てみる。
クリアしたイベントとして一番上に「レイクリゾートを発見、難易度F、付与ポイントHP300、LP3000、達成状況クリアと表示されていた。
これはボーナスイベントのような感じか。
「なんか、ホントにRPGみたいだなぁ」
未クリアのイベント一覧をスクロールさせるとズラッと表示され、その中に温泉発掘があった。
「温泉発掘、難易E、付与ポイントHP100、LP1000ポイント、クリアは未チェック」となっていた。
確かに温泉を掘ろうと言い出したのはオレだけど、実際の作業はローレンやドロイドたちがやっているし、温泉が出ればイベントクリアになるんだろうか?
その他の未クリアイベントを見てみた。
錬金術師招聘 難易度D、HP1000、LP2000
王女救出 難易度D、HP1000、LP2000
魔鉱石発掘 難易度C、HP1500、LP3000
盗賊団討伐 難易度B、HP2000、LP4000
その他にも色々あるが、なんか大変そうだし、言葉だけでは良く分からん。
その先は、まだロックされていて表示されていないない。
繰り返しイベントの一覧を見てみる。
あるのは2つだけ
湖で釣りをする 難易度G、付与ポイントHP0、LP20、毎日繰返し可
農園や畑を手伝う 難易度G、付与ポイントHP0、LP30、毎日繰返し可
なるほどな~、こういうのも地味にポイントになるんだ。
「ソニア、イベントとHPは分かったけど、このLPって何?」
「LPはライフポイントの略で、このリゾートに滞在するのに必要なポイントです。
現在は1日当たり100ポイントのLPを消費致しております」
「1日でLP100ポイント消費するってことは、LPの残りが2280だから、あと22日しか、ここで暮らせないってこと?」
「さようでございます。
女神フィリア様から最初に説明があったと思うのですが、聞いておられませんでしたか?」
真面目な顔でソニアが言った。
「そんなの聞いてないよ…
それで、もしLPが0になったらどうなるの?」
「そのような状況は、想定しておりませんでしたが…
多分、強制退去となり、このリゾートには入れなくなるかと思います」
マジかよ、オレは全身から血の気が引いた。
やはり世の中そんなに甘くないんだ。
「それじゃ、ポイント稼がなきゃ…
ポイントを稼ぐにはイベントをクリアしろってことか」
とりあえず、釣りと農園と畑の手伝いでもやって、ポイントを稼いでおこう。
「経験値レベルを上げていけば、イベントクリアも楽になっていきますよ」
「でも、経験値レベル上げるのって大変そうだなぁ」
「そうでもありませんよ。
簡単なものからイベントを確実にこなしていけば、必ずレベルアップしますし、そんなに時間はかからないと思います」
「そうだといいんだが…
HPがゼロって言うことは、今夜はおとなしく寝ろって言うことか…」
「はい、それが宜しいかと存じます」
「分かったよ、ソニアおやすみ」
「はい、ご主人様おやすみなさいませ」
そう言うとソニアは部屋を出て行った。
オレは、ベッドに入って眠ろうと努力したが、今説明されたことが頭から離れず、その夜はなかなか寝付けなかった。
そうだ、女神様に電話してみよう。
スマホを取り出して女神フィリアの電話番号に掛けてみる。
「はい、もしも~し、フィリアで~す」
あっさりと女神に電話が繋がった。
「あ、カイトです、夜分遅くにすみません」
「あ~、カイトくん、元気してた~?
いいよ、いいよ、こっちは時間なんて関係ない世界だから」
「ところで、何か用?」
「あ、えっと~、LPとHPとかステータスのことなんですが、今日初めて知ってビックリしたんですよ~」
「あれ、説明してなかった?」
「はい、今日初めて知りました」
「そっか~、ごめんごめん。
説明するの忘れてたかも、てへ」
てへっ、じゃないわと思いながら気を取り直して女神を問い詰める。
「女神様~、困るんですよ、そういう重要なことは最初に説明してくれないと…」
「いや、ほんとにゴメン、悪かったよ~」
そう言いながらも、女神はそんなに悪いとは思っていない感じだ。
「いや~、あの時色々と案件抱えててさ~、つい説明するの忘れちゃったんだわ。
今度、なんかで埋め合わせするからさ~、カイトくん許して、ね、オ・ネ・ガ・イ」
「しょうがないですね…
分かりました、ホントに頼みますよ~」
「用事はそれだけ?」
「あ~、あともう1つあります。
異世界宅配便で車とバイク送ってくれたじゃないですか。
あれって、燃料はどうするのかな~と思って…
どこかでガソリンみたいな燃料が手に入るのかな~って」
「あ~、ガソリンはムリムリ」
「やっぱり、そうですよね~」
「でもね、あの車、水で走るからガソリンいらないよ」
「はぁ?…、水で走る?…」
今、女神様、変なこと言わなかった?
「あれね、こっちの世界に運ぶ時にね、燃料困るだろうな~って思って、水で走るように改造しておいたから。
詳しいことは省くけど、燃料タンクの水を電気で水素と酸素に分解して、その混合気をエンジンで燃焼させた駆動力で走るんだよ~。
確か水素エンジンとか、言ってたよ~」
なんですと~、水が燃料?、水素エンジン?
現代日本にも確かに水素エンジンは存在するが、水素は燃料タンクに入ってて、使ったら補充するタイプだし、水を電気分解して走るタイプではなかったはず。
確かに水は電気分解すると水素と酸素になるが、その装置って大き過ぎて車に搭載出来るレベルじゃなかったと思う。
いったい、どんな技術を使ったんだろう。
恐るべし神テクノロジー。
「なるほど~、水で走るんだ。
それじゃあ、燃料の心配は不要ですね」
「そうそう、どこへ行っても水はあるし、燃料の心配いらずだよ。
ちなみにV型8気筒DOHC5.0リッター水素エンジンだから、パワーもあるよ」
「え、そんなにハイパワーなんですか?
女神様、何から何までありがとうございます」
「あっ、そうだ…
さっき、何か埋め合わせするって言ったけど、カイトくんの車とバイクにおまけスキル付けとくから、それで許してね~」
「え、なんですか、おまけスキルって?」
「いやいや、それは乗ってみてからのお楽しみ!
じゃあ、そう言うことで…
また何かあったら電話してみてね~、ばいば~い
そう言うと女神はガチャッと電話を切った。
おまけスキルって一体なんだろう。
明日、車に乗って確かめよう。
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