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     5.


 暴れていた札が漸く静まり返り、小夜の元へと帰ってきた。小夜は札を手にすると深く長い溜め息を零し、力の抜けた様子にてその場へ蹲(うずくま)る。

「あれで封じられておらねば今頃、格好がつかなかったな。いや、よかった──…」

 小夜は膝を抱いたまま鵺の脚へと八つ当たった。




「──ピャ~ア!」

「豆助…」

 亡骸(なきがら)を前に、いつものように親狸へと甘えようとする子狸の姿に小夜は胸が痛んだ。

「ごめんね。もっと早く来てあげればよかったね……」

 子狸へ歩み寄り、そっと抱き上げ抱き締める。

「ちゃんと弔(とむら)ってあげるから、お前も強く生きるんだよ───」



 鵺はその場へしゃがみ込み、涙する小さな背中を見つめ静かに紫煙をまた吐き出した。




 

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