第27話─駅のホーム12─
ふと端末から目を離し主と小娘を見た
ふむ…協調率は確かに高いな。無意識かもしれんが、
となればあとは肉体を構築するだけ…ではあるのだがこれが最も難しい
「ふぅ…こんなところかな?なんとなく構造は理解したよ」
「…では物理構造体を構築するための基礎理論だ。まず物理構造体を構築するためには、錬金術まがいのことをできるようになる必要がある。例えばそうだな…」
俺は手のひらの中で金属製の黒い棒を作り出した
振りながら長さを2メートルまで拡張する
「錬金術と違う点は等価交換ではないことだ。分子に対して霊力を流し込み、構造式を変更する。今回実行したのはまず酸素を凝縮し、これに霊力を流し込んでアルミニウムとタングステンの合金に変更した。これができるようになればもう少しだな」
とはいえここまでくるには10年はかかるだろう
ちなみに今霊力を,などと言ったが俺は霊力を持たない
そのため流し込んだのは妖力───怪異や妖怪の持つ力だ
妖力の源は人間たちの恐怖心。故に古のものほど強い
「…酸素を凝縮ってのがまずわからん。それはどうやるんだ?」
「そこからか…。ではそこから訓練しよう」
俺は水道水をバケツに入れて主と小娘それぞれの前においた
ちなみにこれらも先程の術で作ったものだ
「まずこれを術で操ってもらう。霊力を水に満たして回すのが目標だ。この水は霊力に反応して色が変わるから…例えば俺がやるとこうなる」
俺が水に魔力を込めれば少し赤みがかった黒になる
それは俺の妖力がそのような性質を持つためだ
「さて、霊力を水に満たす方法はわりと単純だ。まずは手を水につけて、神経を拡げるイメージ。それができれば手を徐々に水面から離していき、最終的には他の何かをやりながらでもできるようになってもらう」
言われた通りに霊力を流し込む主
小娘は少し戸惑っているようだ。仕方がないだろう、人に説明することには慣れていないのだ
「主には簡単過ぎたか?」
「まぁ、飛行だと思えば」
「ほう…。では小娘の後ろから手を重ねて同じことをやってみるといい。少しは感覚がわかるだろう」
「「えぇ!?」」
主が戸惑ってるのは初めて見るかもしれない
少しだけ主のことを理解できた…気がした
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