第24話─人間界10─
…さて。主が過去の記憶を辿る間暇だな
少し霊斗の様子を見てみることにしよう
主の誕生日を過ぎ、バレンタインとかいう日に近づいていた
主は「お菓子会社の陰謀」だと言っていたが、その意味は教えてくれなかった
「夜斗…お前チョコもらえたか?」
ここは主の墓の前だ
横にいるのは雪菜と紗奈の2名。紗奈のせいで画面が見辛い
「ということでお兄様、これは私からです。奏音さんからも預かってますよ」
「一応私からも。義理ですけど…。先輩ガトーショコラ食べたいと前に言ってたので作っておきました。ちなみに霊くんのものを作ったあまりの材料です」
そんなこと言うてやるな
アレ実は打たれ弱いのだぞ。ほんとマジで
カタンという音が聞こえた。宅配ボックスにチョコが届いたようだ
「夜斗は死んでないんだよな…」
「亡くなりはしてますよ。私とお兄様の肉体は接続されていたので、つながりが切れたことは確認済みです」
「希望を断たないでくれませんかね!?」
「閻魔裁判にでもかけられてるんじゃないですか?あの先輩、人を落とす天才でしたし」
そうだったのか
ここにくる女全員が主を好いてるとは思っていたが…
「さて…感想は後で聞かせてもらいますね。ちゃんと私たちの結婚式は来てくださいよ」
「気が早いって…。でもまぁそうだな…俺の心の準備ができたらいうから戻ってこい」
「ヘタレですねこの吸血鬼…。私はいつでもお待ちしております」
線香を置き手を合わせる3人
完全に死人扱いだな。いや間違ってないが
久遠を通して会った事実はなかったことになっている
どうやら記憶を消されたらしいのだが、要となる「結婚式には参加する」ということだけ消されていないらしい
おそらく消したのはあの悪魔だ。見つけ次第、唯利を向かわせる手筈になっている
「…なんか、夜斗が見えた気がする」
「私も…」
「私もです。何故でしょう」
それは主がチョコ食ったからだな
前にもあったが供物を食うことで一時的に置き場所にその姿が現れることがある
俺の中だからこそ起こるバグのようなものだがな
「おや、奇遇ですね3人とも」
「冥賀さん。貴方こそ、あまり来てなかったじゃないですか」
「中々暇を見つけられなかったというのはありますね。というか、死なない者に与える必要はありませんから」
和服に身を包んだ冥賀が合流した
意図したものではないのだろう。顔は全員驚きに染まっている
「あと緋月君に誕生日プレゼントを渡しておきます。夜斗が用意していたものですがね」
霊斗が受け取ったのは小さな箱だ
手のひらサイズで、何が入っているかは見た目で判断することはできない
「なんだろうなこれ」
「さぁ…?」
「お兄様が用意するものにハズレはありませんよ」
「「ブレないなぁ」」
開けた中に入っていたのは木札だ
それが2枚。それぞれには幾何学模様が刻印されており、ストラップ用の紐がついている
「…これはなんだ…?」
「…お兄様はなんでもお見通しですね」
「そのようです。持っておけばいつか役に立つことでしょう」
冥賀はそう言い残して立ち去った
黒塗りの高級車が走り去っていくのが見える
どうやらいいとこのお坊ちゃんというやつらしい
あの木札には不可解なモノが封入されているように見える
さて、鬼が出るか邪が出るか
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