第20話─駅のホーム9─
俺が観測端末から目を離すと、唯利が主と話をしていた
そしてそんな主の背後に歩み寄る被害者女性が1人
「夜斗」
「…すまない。仇討ちが遅れたな、
「ううん。ありがとう」
笑うその少女は、淡い青のような髪を持ち目も碧眼という日本人離れした姿をしている
というか誰だろうか
「私を蘇生させたら許す、なんて許さないと同義だよ」
「許す気なんてないからな。彼女殺された分もう一回殴れば良かった」
「そしたらまた手を怪我していただろうね」
どうやら先ほど言っていた、殺された恋人というのがこの少女のことらしい
瑠璃という少女、見た目は高校生だが動作の節々に子供っぽさが見え隠れしている
まさか死んだのは…
「もう4年前か。悪かったな」
「謝らないでよ。話したいことは山ほどあるけど、時間がないみたいだね」
俺の2番ホームは天国行きだ
これも唯利と同じ電車の付喪神がいるのだが一応別個体である
この電車は俺が要請しなければ一切来ることはなく、先ほど呼んだばかりのためまだ時間がある。ならば
「1つだけなら方法があるぞ」
「え…?」「は…?」
「体を造ればいい」
「私は一度死んでいるんだよ?死体だってどこにあるかもわからない」
「それに関しては問題ない。それも合わせて構築すればいいだけのことだ」
俺が指を鳴らすと、黒いモヤが隣に現れた
そして中から飛び出してきた女は主に抱きつき押し倒した
「痛い」
「あっごめんね。ども、閻魔です」
閻魔を無理矢理呼び出す術がある
というより俺は「死を誘う者」という能力があり、死んでいる者を呼び出すことができたり、生者を死者に変えることができる
というかこれがないとホームに降りた人間は、肉体を持ったまま冥府に入ることになってしまう
…まさか、閻魔が元々生きた人間だったなんて主も知らぬことだろう
「閻魔よ。肉体を構築すればこの2人を蘇生することは可能だろう?」
「可能不可能で言うなら可能だよ。でも前例はない。そもそも肉体を構築するためには、真に密なる人が精神構造体を見て、組成を観て針を糸に通すような作業をしなきゃだめ。莫大な魔力が必要だし、その方法で蘇生しても人間としては生きられない。よくて死神、悪くて悪霊化するの」
「可能であれば問題ない。主ならできよう」
「…それだと、夜斗が蘇るには誰かがやってあげなきゃいけないんじゃないの?」
「そうだね。元カノのあなたがやればいいだけ」
「自慢じゃないけど、私は細かい作業は不得手だよ。それに、精神構造体とやらを見ることはできないしね」
ふむ。であれば、その辺りから話すことにしよう
まぁ説明にもなるしな
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