第9話 番外編─如月さんの気まぐれ─
閑話休題。今日は主の散歩の後をつけてみようと思う
未だ俺は主のことをあまり知らぬからな
「…散歩とはいえども、さすがに駅周辺から離れはせぬか」
駅の周りを歩いて回るようだ
とはいえこの辺りにあるのはただの暗い道だ。これも怪異…俺の同族が絡んでいる
交差点というものは、必ずしも人間用の道だけが交差しているとは限らない
妖なる者の道が交わることもあるのだ
その妖なる者用の道がこれだ。ここから離れることのできぬ俺のようなものがいる
「よう、
「…遅い」
…おっと?どうやら四辻路の怪異も名をもらったようだ
と同時に体も与えられたらしい。濃緑の長い髪に黒のセーラー服。主の趣味か?
「悪かったよ。お前がここから離れられればなぁ」
「…叶わない願い。今更言うことでもないけど」
体を与えられてたとしても怪異は怪異だ。この場を離れることはできない
俺は「駅前」自体も俺の一部だからこそ動ける
「離れることはできるよ。ただ、俺から離れられなくなる」
「結末が変わってないし…。それより、地上に帰らなくていいの?」
「帰る場所はない。体もボロボロだしな」
「…まぁ、この世界にきた時点で肉体は崩壊してるし…」
「帰る手段はある。あるけど、そこまでする理由がないんだ」
ふむ、知っていたのか
肉体は確かに崩壊した。しかし、復活できる
人間は魂、精神感応体、精神構造体、物理構造体の四つで構成されており、肉体は物理構造体に該当する
そして精神構造体さえ残っていれば、物理構造体は直せるのだ
「…如月、いつまでのぞいてるつもりだ」
「…ほう、気づいていたか」
「魔力くらい隠せよ」
少し機嫌が悪いな
そういえば人間界では主の妹、紗奈が雪菜と話をしていたらしい
何を話していたのかは、主にしか見えん
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