5、友情
*
「な、なんだと。バカな!そんなはずは、、、、。私は確かにこいつに【鑑定】の祝福を授けたはずだ。」
目に見えてうろたえる神。
それもそうだ、自信満々に陥れたはずの相手にいっぱい食わされたんだから。
「じゃあ、そういうことだから。これで儀式は終わりだね。」
目の前にいるうろたえた神などお構いなしに新たに授かった鑑定書を胸ポケットにしまうとミナトは一方的に終わりを告げる。
どうやら鑑定書を渡された時点で儀式は終了らしく神の意思とは関係なくミナトの意識は小さな小部屋に戻された。
意識が戻る最後に見えた神の顔は傑作だったがあの様子では更なる妨害を加えてきそうだ。
だがあの神の事だ、せいぜい小さな嫌がらせをするくらいが関の山だろう。
*
「ミナト!どうだった⁉俺は
教会を出るとすぐにケイトに捕まった。
その顔からはうれしさがあふれ出ているどころか大洪水だ。
よほどうれしかったのだろう。
Aランクと言えば1000人に一人のレアスキル、それも戦闘系。
Dランクスキルのミナトとは比べ物にならない。
「よかったね。僕は低ランクスキル、
自分が高ランクスキルで親友が低ランクだったためかケイトは申し訳なさそうな表情になる。
そんなケイトを見ながらミナトは歩きだす。
わかってたとは言えケイトが臨むスキルを得られたことは親友としてもうれしいしミナト自身のスキルに関してもなんの不満もない。
むしろ望み通りだ。
「僕は気にしてない、これでよかったんだ。それにケイト、もう僕の前で嘘は言えないから覚悟しなよ。」
「うげ、親友の嘘くらい見逃してくれよ。」
ミナトの表情を見て本当に気にしていないことがわかったのか無理をして気にしないようにしている親友に合わせようと思ったのかはわからないがいつも通りのケイトに戻った。
「嘘を言う気満々じゃないか。なおさら見逃せないな。」
「い、いや、そんなつもりはないというか少しだけあるというか、、、。」
「ケイトは相変わらずだね。」
「ミナトこそな。」
「「っぷ、ははっ。」」
そこからはただお互いに笑い合い肩を取って歩いた。
正反対の性格をしているが互いを認め合った大事な親友でることは間違いない。
たとえこれから先、二人の歩む道が交わらなくても一度芽生えたこの繋がりだけは断ち切れることはないだろう。
それが二人の絆だ。
「じゃぁね、ケイト。お父さんに負けない英雄になりなよ。」
「おう!ミナトも頑張れよ。何かあれば俺を頼ってくれ。」
そうして新しく神からの祝福を受けた青年が2人。
それぞれがそれぞれの道を己の力進むべく、一歩を踏み出したのであった。
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