第99話 重ねる秘密
家庭も、大輔さんともうまくいってる。
うまくいっているのは、いいことなのだが、私には刺激が足りない。
なんともつまらない、窮屈な気分になる。
私のゴールデンタイムは、子供たちが登校して、家事が終わってからだ。
その時間は大輔さんと会ったり、やりとりする時間でもあった。
ただ、大輔さんが出張だったから、それだけだった。
ただの暇つぶしだった。
出会い系サイトで知り合った男の人と会うことになった。
大輔さんから頂いたものはどうしても着たり、つけたりできないなと思ったから、自分のもともと持っている服で、おめかしして出かけた。
待ち合わせはいつもとは反対の隣町のカフェ。
私のことをとても気に入ってくれたらしい。
写メを交換していたから入ってきたときにはすぐにわかった。
身長は高くて、写メとほとんど変わらない顔立ち。
手を軽く振ると、クシャと笑顔になり、こちらにきた。
「初めまして」
お互いになんだかはじめましても変だね、などと言いながら、座り、ランチを頂いた。
箸の持ち方も上品、聞き上手、仕事は大手の会社員。
名前は健太。
私もなのって、お互いにさやちゃん、けんちゃんと呼び合うことになった。
そのあと、カラオケに行って、お互いに好きな歌や歌手が一緒だったりして気の合う人だなと思った。
もちろん自分の身の上は話してあるが、大輔さんのことは話していない。
もう少ししてからでもいいかと思った。
そして、楽しい時間はすぎ、帰り際に、また会いたいからと、連絡先を交換してほしいと言われ、もちろん私もまた会ってみたいから交換した。
いくつもの秘密、隠し事をして、このままうまくいくとは限らない。
でも、このスリルも含めて私は楽しいのだ。
バレなきゃいい。
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