第98話 誠実
ほんの少しの出来心だった。
そんな言い訳で済まないのは自分の心の中も一緒だ。
今日は何も予定がない。
大輔さんとはあれからよく会ってるし、やりとりも四六時中している。
でも、何かが足りない。
刺激がないとつまらなくなる。
現状に満足したら、しばらくすると悪い虫が動き出す。
私はまた出会い系サイトを物色しだした。
とくに意味もない。
何かが足りない、そう、刺激が足りないのだ。
そして、サイトを開いたまま寝てしまっていた。
気付いたら、家事を終えた一息つくところからタイムスリップして子供たちが帰ってきて起こしてくれた。
寝ぼけていたので、最初は気づかなかったけれど、出会い系サイトのアプリを開いたままで寝ていて、そのままにしていそいそと夕飯の準備をして、洗濯ものをとりこみ、畳み、そして片付け、子供たちに夕飯を食べさせているときに潤が帰ってきた。
潤の座ったところに夕飯を持って行ったら、
「ありがとう」
そういわれ、ちょっと胸がチクりとした。
子供たちの笑い声や、じゃれあう音を聞きながら、何気に携帯を見たら、開きっぱなしだった出会い系サイトのアプリの広告が流れていて、慌てて閉じた。
そして、わからないように履歴や何もかもをいつもは潤が帰ってくるまでにするのだが、それを潤が帰ってきてから気づくという、なんともばかげたことをしていた。
隠すなら隠し通さないと・・・。
私は潤に誠実なのだろうか・・・。
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