第97話 お昼間シンデレラ

次の日、子供たちが学校に登校してから、大輔さんとやり取りをしながら家事をしていた。

大輔さんの仕事はIT関係で部長だと言っていた。融通のきく立ち位置だと聞いた。

今日もリモートワークのような、PCだけで仕事が完結するというのだから、敏腕だなと頼もしく思う。

昨日と同じ部屋にいるから早くおいでと言われ、心が踊るとは、この事かと、思いながら準備して出掛けた。


部屋に着いた時、お昼近い時間だったからと、ホテルのレストランランチを食べることになった。

私は、身の丈に合わない場所にきていると自覚していたか、少し緊張していて味がイマイチわからなかった。

コース料理で、メインをお魚かお肉どちらかと聞かれ、お魚にした。

どちらも食べられるように、大輔さんがお肉にしてくれた。

お腹いっぱいで、最後に香り高いコーヒーを頂いて、レストランを後にした。


そして、部屋に戻るかと思ったら、あるブランドショップについて行くことになった。


流行りのブランドではあったが、落ち着いたものが多かった。

財布をずっと見ていた。

こんなに高価な財布、中身が伴わないと、思いながらいろいろ見ていたら、大輔さんが他にも見たら?と言うのでバッグの方も見に行ってみた。

狭いけれど、開けたお店だから、セレブ感も感じた。


ベルトを購入すると聞いていたので、購入したようだったから、もう存分に楽しめましたよと言いながら、店を後にした。


大輔さんのとってくれたホテルのお部屋に戻った。

私は大輔さんに、日頃の鬱憤をはらすように、甘えたりしている。

ギュッと抱きしめてもらって、シャワーを浴びに。

そして、重なり果ててから。


大輔さんは、軽くシャツを着て、紙袋を持ってきた。


ベルトを購入したと聞いていたから、見せてくれるのかと思ったら、それは、リボンのかかった箱。

「さやかにプレゼントだよ。」

そう言って渡された。

でも、あのお店の物は全て目が飛び出るほどの値段だった。

受け取れないと言うと、俺には似合わないんだよ、ごめん、さやかが使ってと。


恐る恐る、開ける。

さっき行ったブランドショップの、目が飛び出るほどの値段の、財布だった。

高級なほどこしがしてある、上品な財布。


言葉が出なかった。


しばらくして、大輔さんは、なぜこんなにいろいろしてくれるのか、聞いてみた。


愛は形がない、だから、信用出来ないこともある。

でも形がないからこそ、こうして贈り物で愛を伝えることが出来るから、それを喜んで受け取ってくれるのなら、愛が伝わっているっていうことだと。


でも、それは将来性のない愛だと、現時点では私は既婚者子沢山、それについては、深い話になるから、もっと信頼関係が出来たら真剣に話そうと。


なんだか、誠実だなと思った。

私は潤には誠実なのだろうか。


色んなことがよぎったけど、ありがとうと言って受け取った。

キスをして魔法がとける、お昼間のシンデレラは現実に戻るための準備をして、ティータイムを楽しんで、かぼちゃの馬車ならぬ、ファミリーカーを走らせ帰路についた。




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