第96話 変わらない
あっという間の夕方。
私は急いで現実に戻る準備をしていた。
大輔さんはこのままその部屋にいる、二泊で予約していたと言っていた。
明日もこの部屋でのんびりしたいと言って部屋をあとにした。
セレブな気持ちを車の中で運転中に一気に妻、母、に替える。
私はこの瞬間がとてもむなしいときと、とても優越感を感じるときがある。
今日はむなしい感覚だった。
家に帰ると、先に帰っていた子供たちが、お菓子の食べかすやおもちゃや、脱ぎっぱなしの靴下をひっ散らかしていた。
私は子供たちに、
「片付けて!!誰?靴下をこんなところに脱ぎっぱなしにしてるの!」
と強めに言ってキッチンで手を洗い、すぐに夕飯の準備に取り掛かった。
潤が帰ってきた。
子供たちと会話しながら、お風呂に入る準備をしていて、裕彩だけをつれて入った。
「パパ!あいちゃんも!」
「パパ!ぼくも!」
と、愛彩や彩斗の声を聞きながら、お姉ちゃんと入りなさいと言って、お風呂に行った。
疲れて帰ってくるんだから、気持ちはわかるけれど、ここにきて、上の四人を面倒に思ってきたのだろうか。
みんな俺の子供、と言ったのは噓だったのか・・・。
小さいことまで気になってくる。
でも、それ以外はみんなで一緒にご飯を食べたり後片付けをみんなでしたりと、分け隔てなくしてくれていた。
その夜、潤に、今の気持ちをきちんと聞いたほうがいいと思った。
でもどんな言葉がこぼれようとも受け止めていける自信がなく、やめておいた。
当たり障りのない会話だけして眠りについた。
もちろん大輔さんにおやすみとメールを送り携帯を枕元に置いて・・・。
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